第六十四話 マクシノール殿下に心が傾いていくわたし
わたしは、マクシノール殿下の魅力により、一気にマクシノール殿下に心が傾いた。
マクシノール殿下の方も、わたしの魅力により、わたしに心が傾いたと言ってくれた。
想定外のことだった。
マクシノール殿下は、ゲームではわたしの推しで、好きなキャラクター。
出発点の世界では、
「こういうキャラクターと結婚できたらいいな……」
と思ったことは、それこそ数え切れないほどある。
しかし、ゲームということで、自分とマクシノール殿下との間に少し隙間があるということはどうしても認識せざるをえない。
転生一度目の時は、自分がこの世界に転生していることが認識できなかったので、そういうことを思うこともできなかった。
でも今日は、マクシノール殿下と間近で接することができた。
そして、わたしは素敵な時間を過ごすことができた。
もちろん、キスやそれ以上の世界に入ったわけではないので、言っていることは大げさなのかもしれない。
しかし、わたしは今まで、このような素敵な方のそばで。これだけのたくさんの話をしたことはない。
しかも、マクシノール殿下は今まで、わたしとはほとんど話をしなかった方だ。
それだけでもわたしにとっては、素敵なことだった。
これから、マクシノール殿下とは、たくさん思い出作りをしていきたいと思っているのだけれど、今日はその出発点として忘れられない一日になりそうだ。
マクシノール殿下は、今日、わたしと話をしている間、複雑な心の動きをしていたと自分自身で言っていた。
わたしの心の変化があまりにも激しすぎたので、まだまだ信じられない。
一方では、わたしに心が傾いている。
もともとわたしとしては、今日の時点で、マクシノール殿下がわたしに心を動かすようになるとは思っていなかった。
複雑な心の動きをするのは当然だと思っていたので、その点については気にしていない。
むしろ、マクシノール殿下の心を苦しめる結果になったことを、申し訳なく思っている。
このマクシノール殿下のわたしに対する想いは、恋する心まで育っていけるのだろうか?
マクシノール殿下は、
「今、わたしの心の中で育ちつつある、あなたへの恋する心、それを育てて、あなたとの仲を深めたいという気持ちも、わたしは持っているのです」
とわたしに言ってくれた。
この言葉を希望にしていきたい。
それにしても、わたしのマクシノール殿下に対する想いは、この屋敷に戻ってからも、どんどん大きくなってきている。
ゲーム内では、マクシノール殿下と主人公のセリラーヌさんとの仲が深まらなけば、マクシノール殿下の心からの微笑むシーンはなかった。
クラデンティーヌである限り、向けられることはないと思っていた、
その貴重とも言える微笑みを、今日、少しではあるのだけれど、わたしに対して向けてくれたのだ。
わたしは、その直後よりも、そのことをこうして思い出している今の方が、心の沸き立ちは激しくなってきている。
ああ、マクシノール殿下、わたしはマクシノール殿下のことがどんどん好きになってきています。
恥ずかしいことではあるのですけど、これからは、マクシノール殿下と毎回お会いする度に「好き」という言葉を言っていきたいと思います。
「マクシノール殿下、好きです」
という言葉で。
もしかしたら、マクシノール殿下は嫌がるかもしれない。
でも、マクシノール殿下に対しての恋する心が育ちつつあるわたし。
その想いを伝えていきたい。
想いを伝えていけば、最初は嫌がっても、きっと想いはマクシノール殿下に通じていくと信じたい。
わたしはそう思っていた。
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