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第六十二話 仲良くしていきたいと思うわたしたち

 マクシノール殿下の話は続く。


「わたしはあなたに対して、先程も申しましたが、美しいとは思っても魅力的だとは思っていませんでした。しかし、今日、あなたに会った時から、その魅力に心を奪われ始めていいるのです。そして、こうして話をしている内に、あなたへの好意は増しています。でもまだまだあなたのことを心の底から愛し始めるというところまでは行っていません。先程わたしは、『逆にもう時間は必要なく、このまま仲を深くしていって、本物の恋としての意識を持っていけばいいのでは、という気持ちも湧いてきているのです』という話をしました。わたしはこの時、クラデンティーヌさんのことを心の底から愛するということへの芽生えだと自分では思ったのですが、今思うと、それは一瞬のことだったようです。こうしてまた冷静になってみますと、わたしの心はそこまで到達していないと言わざるをえません。わたしとしても、あなたは婚約者である以上、そこに到達したいです。『形式結婚』『白い結婚』のことを話しましたが、わたしとしては、そうなることは望んでいないのです。できれば、あなたとの愛を育みたい。今、わたしの心の中で育ちつつある、あなたへの恋する心、それを育てて、あなたとの仲を深めたいという気持ちも、わたしは持っているのです」


 最後の方は少し恥ずかしそうだった。


「マクシノール殿下、わたしも同じ気持ちを持っています」


 わたしも少し恥ずかしい気持ちになった。


 少しの間、わたしたちは、その少し恥ずかしい気持ちで話が止まっていた。


 やがて、マクシノール殿下は、


「今日は、わたしの心の複雑さを話す結果になって、申し訳ないと思っています」


 と言った。


「いえ。マクシノール殿下のとてもまじめな人柄を改めて認識することができて、よかったと思いっています。それに、マクシノール殿下の心を複雑なものにしてしまったのは、もとはと言えば、わたしが酷いことをして来たからなのですから、マクシノール殿下にはわたしの方こそ謝らなければならないと思っています」


「その気持ちはありがたいです。でもあなたは、今までのことについて、反省をし、生まれ変わろうとしている。それは、誰にでもできることではありません。普通は、さらに状況を悪化させることが多いのです。その点で、わたしはあなたに心を動かされるところはあったのです。そして、あなたはわたしを愛し、尽くすことを誓ってくださった。わたしはあなたと今日会えてよかったと思っています、今まで、こうして話をしながら自分の心を整理してきました。まだまだ整理はしきれませんが、まずあなたとの仲を深めるというよりも仲良くしていくことが大切だという結論になりました」


「仲良くしていくことが大切……」


「そうしていくためにも、月二回まずは会うようにして、それから少しずつ会う回数を増やしていく。こうして地道に付き合っていくことが大切だと思いました。このことを理解していただけますでしょうか?」


「わかりました。これから当分の間、月二回、伺わせていただきますので、よろしくお願いします」


 わたしはそう応えた。


「よろしくお願いします」


 マクシノール殿下は、少しだけ微笑みながら言う。


 少しだけとはいうものの、心の底からの微笑みのようだった。


 マクシノール殿下は、舞踏会のような場所では、微笑んでいることが多い。


 この微笑みが、マクシノール殿下の人気を高くしている理由の一つだ。


 しかし、わたしに対して今までは、普通に微笑むことすらほとんどなかった。


 少し微笑んだだけとは言っても、心の底からのものだと思うので、うれしい。


 この調子で、これからマクシノール殿下と仲良くなっていきたい。


 わたしはそう思うのだった。


「面白い」


「続きが気になる。続きを読みたい」


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