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第六話 思春期

 わたしに思春期が訪れた。


 入学して四年目の春以降、わたしの心の中にグレゴノール殿下への恋する心が、わずかではあるものの、芽生え始めてきたのだ。


 クラスは違うものの、相変わらず仲はいい。


 それまでは、ほとんど異性であることを意識せずに話していた。


 それが、少しずつではあるけれども、異性としての意識を持つようになってきた。


 この意識の芽生えは、グレゴノール殿下への言葉づかいを変えることにつながった。


 今までのわたしは、グレゴノール殿下に対して、打ち解けた言葉を使っていた。


 しかし、異性としての意識を少し持ち始めてからは、そういう言葉を使うことに抵抗を覚えるようになり、ていねいな言葉を使うようになった。


 この変化に対して、グレゴノール殿下は最初、驚いていた。


 でも、それは最初の内だけだった。


 わたしがていねいな言葉を使い始めてから一か月も経つと、自然と馴染んでいった。


 ただ、わたしがていねいな言葉を使うようになった理由はよくわかっていないようだった。


 わたしのグレゴノール殿下に対する異性の意識の芽生えということを、理解してもらえていれば、この頃からグレゴノール殿下のわたしに対する対応は違ったものになったかもしれない。


 グレゴノール殿下は、幼い頃からイケメンの片鱗を見せていた。


 そして、入学して一年も経つと学校でも一・二を争うほどのイケメンな男性に成長していた。


 それだけではない。


 成績も常に学校のトップだし、剣術も学校で一番。


 文武両道を極めていこうとするお方だ。


 やさしくて頼りがいがある性格をしているのも高ポイント。


 こうしたとても魅力的な男性に成長してきたグレゴノール殿下。


 今までのような形式的な婚約者というだけではなく、グレゴノール殿下とラブラブになれたらいいなあ、ということを漠然としてではあるが、思うようになってきた。


 しかし、とても魅力的な男性になってきたということは、それだけ女性の「あこがれ」の対象になっていくということ。


 わたしという婚約者がいるにも関わらず、グレゴノール殿下に近づいてくる女性は、入学直後の頃からいたのだが、入学して一年後になるとその数は増えてきた。


 わたしは最初の内は、たいして気にしていなかった。


 グレゴノール殿下を一人占めしようとする気はなかったし、それだけグレゴノール殿下の人気は高いのだから、むしろいい方向なのではないかと思っていた。


 思春期を迎えていなかったこともあって、グレゴノール殿下が、他の女性と仲良くおしゃべりをしていても、それほど気にはならなかった。


 しかし、思春期を迎えた女性たちは、わたしの想定を越えるアプローチをグレゴノール殿下にし始めていた。


 わたしはそのことに気づくのが遅れた。


 グレゴノール殿下は、入学後四年経った頃から、ただ仲良くしてほしいということだけではなく、告白されるようになってきていたのだ。


「グレゴノール殿下、婚約者がおられるのはわかっています。でもわたし、殿下のことが好きなのです。この想いは燃え上がる一方です。第二夫人の立場でよろしいので、わたしと付き合ってください」


 このように自分の想いを伝える女性も出てきていた。


「第二夫人」の立場でもいいので、付き合いたいと言っているのだ。


 この王国では、正妃の他に、側妃を置くことが許されている。


 今の国王陛下には正妃しか存在していない。


 しかし、過去をさかのぼると、側妃を置いた国王は存在している。


 したがって、グレゴノール殿下がその気になれば、第二夫人として迎えることは可能だ。


 女性からそういう申し出をしてくるのも、問題になることはない。


 それどころか、歓迎をする人だっていると思う。


 グレゴノール殿下はそういう方ではないことを信じたい。


 しかし、婚約をしている方からすれば、決して気分のいい話ではない。


 特に、この頃から思春期を迎えたわたしにとっては、そういう話を聞く度に嫌な思いをさせられるようになった。


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