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第五十七話 マクシノール殿下の思い

「あなたの家のコルヴィシャルデ公爵家のことも、あなたが重税を課しているとか、臨時税を取り立てているという情報は入ってきていました。しかし、われわれ王室は、反乱が発生しない限りは、その家の内政には、介入しないことになっています。税負担が重くなって。領民の生活が苦しくなってきているという情報が入ってきても、反乱が発生しない限り、介入ができません。それでもわたしはあなたに、『贅沢は領民を苦しめるので抑えた方がいい。税率は上げない方がいい』と言ったことはあります。でもあなたは全く聞く耳を持とうとはしませんでした。そのことがわたしの心を少しずつ悩ませるようになってきたのです。もともとあなたとは政略結婚ということで、愛情があったわけではありません。だから、この状況が続くのなら、婚約を続ける意味がないのです。王室の評判が悪化し、支持をされなくなってしまいます。王室というのは、貴族を含めた王国民の支持に支えられています。王室はコルヴィシャルデ公爵家の内政には、反乱が発生するまでは介入できませんが、あなたとの婚約破棄は、『反乱が発生しようになるまでの圧政をしていて、しかも、改善要請を断っている』という理由で十分です。その婚約破棄をすれば、王室の支持が下がるのを避けることができますし、クラデンティーヌさんを反省させ、圧政を止めることができるという効果も期待できます。わたしはもうあなたとの婚約を破棄するしかなさそうだ、と思い始めたところだったのです」


 セリラーヌさんに心が奪われなくても、婚約を破棄される可能性は強かったということだ。


「しかし、今日のあなたは、この部屋に入ってきた時から雰囲気が、今までと全然違っていました。別人と言うことができるほどの違いです。そして、気品のある先程の言葉。あなたが、変わろうとしていることは、わたしにも十分伝わってきていました。しかし、それでも、あなたの言うことはまだ信じることができないでいます。それだけあなたの今までのイメージが強すぎたのです。それは理解してほしいと思っています」


「急に今までと違う態度に変化したら戸惑ってしまうのは、当然だと思います。この一か月でも、そういう対応をされた人は多かったです。仕方のないことだと思います。自分でも周囲に酷い態度をしてきたと思っていますので」


 わたしがそう言った後、マクシノール殿下は、少し腕を組んで考えていた。


 やがて、


「後、もう一つ、わたしの中で、複雑な心が生まれつつあるのです」


 と少し恥ずかしそうに言った。


「複雑な心と申しますと?」

「これは、口にするのはかなり恥ずかしい話なのですが、今日あなたと会って、あなたと話をしている内に、わたしの心は、今までになく沸き立ち始めています。こんなことは今までなかったと言うのに……」


 マクシノール殿下の顔は赤くなってきている。


 マクシノール殿下はなぜそう言う話をするのだろう?


 そう思っていると、マクシノール殿下は予想外の話をし始めた。


「わたしは以前からあなたのことは美しいとは思ってきました。でもあなたの性格もあって、愛情というものは、あなたとこうして会っても、一向に湧いてくることはありませんでした。しかし、今日のあなたは、ただの美しさではない。心の底からの美しさがあると言っていいです。今のわたしは、あなたに魅力を感じつつあります。そして、それは恋に近いものだと思います。でもだからこそ、わたしは思うのです。今、わたしはあなたに心を傾け始めたといっても、それは今だけかもしれない。もしこのまま恋まで進んで、あなたの心がまたもとに戻ってしまったら、わたしは失恋をしたのと同じ苦しみを味わうことになってしまいます。それは避けたいと思うのです。そういうこともあって、わたしはあなたの変化を受け入れることがなかなかできないでいるのです」


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