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第五十五話 マクシノール殿下に一目惚れするわたし

 わたしが転生の記憶を思い出してから、まもなく一か月。


 今日は、マクシノール殿下の謁見を受ける日だ。


 わたしは馬車に乗り、王宮に向かっている。


 今までもマクシノール殿には、定期的に謁見を受けてきた。


 でもそれは、婚約者としての単なる表敬訪問に過ぎなかった。


 しかし、今日は違う。


 マクシノール殿下に対して、今までのような、「悪役令嬢」としてのわたしではなく、生まれ変わったわたしを認識してもらわなければばらない。


 この一か月の間、わたしは、自分を変えようと一生懸命努力してきた。


 心の底からのやさしさを持ち、思いやりをを持ちながら、しかも気品も持っていく。


 長い間、


「わがままで傲慢な冷酷女子」


 という最悪なイメージだったわたし。


 このイメージを変えるのは、そう簡単なことではなかった。


 学校でもしばらくの間は、このイメージのままだった。


 取り巻きの二人と友達になり、セリラーヌさんと友達になっても、すぐにイメージは変化することはなかった。


「イメージを変えようとしているのは気まぐれで、いずれもとの傲慢な女子に戻るだろう」


 そう思う人が多かったようだ。


 しかし、この四人と談笑することが増えてくると、ようやくわたしに対するイメージは好転するようになってきた。


 そして、コルヴィシャルデ公爵家の中や領民の間でも、税についての見直しを行ったことで、少しずつわたしの評判も良くなってきているようだ。


 プロジェクトチームの方の作業も順調に進んでいるようだ。


 来週、領地に戻った時に、報告を受けることになっている。


 計画のまとめ、そして、その実行まではまだまだ先にはなるのはさらに先。


 しかし、前途に大きな希望がある。


 このまま順調に計画が進むことを願っていた。


 でもまだまだ。


「税の見直しについては、気まぐれで行っているだけで、その内、また増税をしたり、臨時税を取り立てたりするのだろう。改革をすると言っているが、それも途中で飽きてしまうに違いない。性格も良くなってきたと言っているが、今まで人のことなど思ったことのない、わがままな当主のことだ。性格がそう簡単に好くなるとは思えない。その内にきっとまた、もとの性格に戻っていくに違いない」


 と言っている人も多いようだ。


 わたしとしては心外なことではある。


 しかし、今までが今までだから仕方がない。


 わたしにできるのは、地道に自分を磨き、人のことを常に思いやったやさしい対応をしていくことだ。

 それを続けていくしかない。


 ただ、マクシノール殿下には。今の時点でもこういうわたしの変化を理解してほしいと願っていた。




 馬車は王宮に入った。


 わたしは執事に出迎えられ、マクシノール殿下の執務室にまで案内される。


 そしてドアの前にきた。


 今までのわたしは、こうした時、それほど緊張したことはなかった。


 一度目の転生の時も、今の三度目の転生になってからも。


 しかし、今日の訪問は、今までにない意味を持っている。


 緊張して、胸のドキドキが大きくなってきている。


「クラデンティーヌです。入ってもよろしいでしょうか?」


 わたしは緊張で、少し声がかすれながらも、なんとかそう言った。


「どうぞ。お入りください」


 マクシノール殿下の声。


 わたしとは違い、落ち着いた声だ。


「失礼します」


 わたしは、そう言ってドアを開けると、そこには……。


 わたしが今まで、見たことのない素敵な男性がそこにいた。


 容姿が整っていて、イケメン。


 そして、頭が良く、剣術と馬術が得意な、文武両道のマクシノール殿下。


 出発点での人生では、ゲームの中で、よく見ていた姿。


 一度目の転生では、実際にそばで見ていた姿。


 今の三度目めでの転生でも、実際、そばで見ていたはずなのに……。


 転生のことを思い出してから始めて会ったからなのかもしれない。


 わたしが、生まれ変わった思いで、人生を歩み始めているからなのかもしれない。


 マクシノール殿下のことが、わたしにとって、この上もない素敵な男性に思えてくる。


 わたしはマクシノール殿下に一目惚れをした。


 初めて会ったわけではないので、言い方は少しおかしいかもしれない。


 でも言葉で表すには、この表現が一番いいと思う。


 わたしはマクシノール殿下に恋をしたのだった。


「面白い」


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