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第五十二話 抜擢をした三人

 執務室には、プロジェクトチームに抜擢した三人が残っていた。


 三人とも、決してわたしに対して好意を持っているわけではないと思う。


 固いままの表情に、それが反映されていると言えそうだ。


 わたしは三人に向き合う。


 まずクラシディネさんが口火を切る。


「クラデンティーヌ様、プロジェクトチームを作るという話は、最初はなにかの冗談か思いました。でも、それについては、本気だということを理解したしました。しかし、なぜわたしたちを抜擢することになったのでしょう?」


 他の二人も、同じ思いを持っているようだ。


「あなたたちは、前当主閣下がわたしに、若くて能力のある人材ということで推薦していただいたのです。しかし、前当主閣下は、最終的には、わたしがきちんと評価をして、メンバーに選定するかどうかを決めなさい、とおっしゃっていました。そして、今日、あなたたちとここで初めて会いました。他の人たち黙っている中、わたしに敬意を持ちつつも怖れることはなく、意見をきちんと言っておられました。そういうところにあなたたちの能力を感じたのです。そこで、わたしはあなったたちをメンバーに抜擢することに決めました」


 わたしがそう言うと、今度はサロレデシアさんが、


「わたしたちを選定した経緯は、理解はいたしました。ただ、わたしにはどうにもよくわからないことがあります。それは、今までのクラデンティーヌ様のイメージと今日お会いしたクラデンティーヌ様のイメージは、あまりにも違い過ぎるのです。ご無礼を承知で申すのであれば、今までのクラデンティーヌ様は、わがままで、自分のことしか思うことのない人だと周囲の人たち入ってしましたし、わたしもそう思っていました。しかし、今日のクラデンティーヌ様は、心からのやさしさにあふれいるような気がいたします。わたしたちは、クラデンティーヌ様のことを信じていいのでしょうか? 信じていきたいと思いますし、信じられるのであれば、わたしはこのプロジェクトチームで、一生懸命働きたいと思います」


 と力を込めて言う。


 ルナリアーヌさんも続いて。


「わたしもクラデンティーヌ様がこんなに変わられたことが信じられないでいます。でも、わが公爵家は、改革が必要だというクラデンティーヌ様のご意見には賛成いたします。サロレデシアが今申しました通り、クラデンティーヌ様が今日のようなお姿で、今後も変わらないのであれば、わたしもクラデンティーヌ様についていきます。プロジェクトチームで尽くしていきたいと思います」


 と熱を込めて言う。


 クラシディネさんも。


「わたしも、今二人が申した通り、クラデンティーヌ様のことは信じたいと思いますし、信じられるのであれば、プロジェクトチームで一生懸命働いて、成果を出していきたいと思います」


 と熱を込めて言うのだった。


 ここで、お父様の言葉が、わたしの心の中に浮かんできた。


 三人はまだまだわたしのことを信頼していない。


 というより、信頼以前の問題かもしれない。


 こういう場合、こちらの立場を少し弱める形でお願いをしに行きがちだ。


 しかし、それでは、本当の意味での信頼は得られない。


 こちらから依頼をするにしても、気品を持って、乗り切らなければならない。


 そういうことをお父様は言っていた。


 わたしは、気品を持って、


「皆さんが、今までのわたしの行いから、わたしを信頼できないのは理解します。それだけわたしは。酷いことをしてきたということは、自分でも思っていて、反省をしているところです。しかし、これからのわたしは違うということを、何度でも約束させていただきます。コルヴィシャルデ公爵家の為、領民の為、このプロジェクトを作り、運営していくのです。皆さんを幸せにする為に、これからは働いていくのです。どうか、わたしを信じて、ついてきてください」


 と言った。


 この言葉には、三人とも驚いたようだ。




「面白い」


「続きが気になる。続きを読みたい」


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