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第四十九話 会議の始まり

 翌日。


 朝食を終えたわたしは、執務室に入り、準備をして、出席者を待つ。


 心を落ち着かせようとするのだけれど、これからの人生を左右することになる会議だ。


 緊張せざるをえない。


 ここで、出席者全員におけるわたしへの敵意を少しでも弱めなければならない。


 そして、さらに重要なことは。この内から三人をプロジェクトチームのメンバーとして選び出し、承諾をしてもらうことだ。


 この三人の選抜については、お父様の意見も聞いていた。


 この日出席する十人のことは、お父様はもちろん把握をしている。


「能力は全員ある程度は持っているので、誰を選んでもいいとわたしは思っている。しかし、この中から選ぶとするならば、これからのわが公爵家を背負う若い人の方がいいだろう。この三人については、この中でも特に能力がある方だとの話も聞いている」


 とお父様は言って、候補者を三人選んでくれた。


 男性一人と女性二人で、いずれも二十台前半の若さ。


「後は、お前が直接その能力を確認することだ。ただ、気を付けなくてはいけないことがある。この十人はお前も理解をしていると思うが、何かしらお前に反感を持っていると思う。プロジェクトチームを立ち上げて改革を行うというのは、わたしにはできなかったことだから、それを行おうとするお前は、わたしの目からしてもすごいと思う。しかし、それを行う為には、まずこの十人、そして、特にその中の三人に信頼をしてもらうことが必要だ」


「信頼……」


 今までのわたしが生まれ変わる為の、大切な言葉の一つだ。


「お前なら信頼してもらえる。お前にならできる。わたしはそう信じている」


 お父様はそう言ってくれた。


 とはいうものの、信頼を勝ち取っていくのは大変なことだ。


 信頼どころではなく、わたしへの反発が大きいものになっていると、この三人とのプロジェクトチーム入りを承諾してもらえない可能性がある。


 そうなると、他から候補者を選ぶとしても、それ相応の時間がかかる。


 とにかくわたしには時間がない。


 そこで手間取っていては、婚約破棄の可能性が強くなっていくだけだ。


 しかし、そこでわたしは、お父様の、


「お前なら信頼してもらえる、お前にならできる」


 という言葉を思い出した。


 力が湧いてくる言葉だ。


 わたしは、絶対に、この十人に信頼してもらおうと思うのだった。




 今日の会議の出席者たちがやってきた。


 みな固い表情をしている。


 ギョーネさん以外のほとんどの人はわたしのことを怖がっているようだ。


 わたしに何か酷いことを言われるのではないか?


 と思っている人も多いだろう。


 しかし、その反面、わたしに対する反発心を育ててつつある人も多いと思われる。


 わたしはこの人たちの信頼を得て、味方にしていかなければならない。


 でも今の状況だと、その道のりは、とても厳しいものになる気がする。


 一瞬、気が滅入りそうになる。


 しかし、すぐにわたしは心を立て直した。


 わたしは、


「皆さん、おはようございます。今日はこの会議に出席していただきまして、ありがとうございます」

 とまずは微笑みながら言った。


 途端に困惑の表情をする出席者たち。


「面白い」


「続きが気になる。続きを読みたい」


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