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第四十二話 セリラーヌさんと仲良くなっていわたし

 わたしの予想していた通り、セリラーヌさんは、マクシノール殿下にあこがれを持っていたようだ。


 しかし、問題は、あこがれが恋する気持ちに変化し始めているかどうかだ。


 わたしが目の前にいるので、ライバル心が頭をもたげ、かえって恋する気持ちが湧いてこないとも限らない。


 わたしはさらに集中して、セリラーヌさんの話を聞く態勢に入る。


 すると……。


「でもクラデンティーヌ様、ご安心してください。わたしはあこがれをマクシノール殿下に対して持っていますが、心は幼馴染にあります。わたしは幼馴染が好きです。恋人どうしとはまだ言えないですし、幼馴染の方は、わたしとの仲を進展させる気はないようです。しかし、わたしの方は魅力を増してきている幼馴染のことがどんどん好きになってきています。学校卒業までには、恋人どうしになりたいと思っているのですが……」


 セリラーヌさんは少し恥ずかしながら、そして、少し愁いを帯びながらそう言った。


 わたしはホッとした。


 セリラーヌさんが、


「マクシノール殿下をあこがれの対象と思うようになっていたのです」


 と言った時は、心が動揺せざるをえなかった。


 このままでいくと、舞踏会でマクシノール殿下に出会った時、セリラーヌさんは一気に心がマクシノール殿下の方に傾いてしまう。


 マクシノール殿下もそんなセリラーヌさんの姿に心を奪われてしまう可能性は強い。


 そうすると、結局は、わたしが婚約破棄されることを避けることはできなくなる。


 もちろん、セリラーヌさんはこのゲームの主人公なのだから、その主人公がマクシノール殿下ルートを選ぶのであれば仕方がない。


 その時は、別ルートとして検討をし始めている、「スローライフ」のルートを進んでいくしかないだろう。


 いや、わたしとしては、そのルートでも、別にいいとは思っているのだけれど……。


 しかし、セリラーヌさんは、マクシノール殿下はあくまで「あこがれ」の存在で、幼馴染と恋人どうしになりたいと言っている。


 幼馴染ルートをそのまま進んでいることは間違いない。


 わたしはマクシノール殿下との仲を深めていくルートを進み、セリラーヌさんは幼馴染と恋人どうしになるというルートを進んでいく。


 それがお互いにとって、一番いいことのような気がしてきた。


 わたしは。


「セリラーヌさん、わたしはその恋を応援します。二人が結婚して幸せになれるように応援します」


 と言った。


 セリラーヌさんは驚いている。


 無理もない。


 わたしには長年、嫌味はそれこそたくさん言われている。


 でも、応援の言葉など。一度も言われたことはない。


 ここで、応援の言葉を言われることは想像もしなかっただろう。


 セリラーヌさんはしばしの間、呆然としていたのだけれど、やがて、


「その言葉をいただけてうれしいです、わたしは幼馴染と恋人になり、そして、結婚できるように、一生懸命努力していきます」


 と力強く言った。


「その意気よ。あなたのように、頭が良くて、辛抱強く、やさしくて、しかも美しい女性だったら、きっと、その幼馴染の心をつかみ、結婚まで到達することができると思う」


 わたしも、できるのであれば、この主人公の方に転生したかったほどの優れた女性だ。


 応援を全力でしていきたい。


 わたしがそう思っていると、セリラーヌさんは、


「クラデンティーヌ様、わたしの方も、クラデンティーヌ様がマクシノール殿下と幸せになっていけるように、お祈りをしたいと思っています」


 と言ってくれた。


 わたしにとっては、意外な言葉だった。


 まさか、セリラーヌさんがわたしの為に祈ってくれるとは。


 うれしさがだんだん湧き上がってくる。


 セリラーヌさんと仲良くなれてよかったと思う・


「ありがとう。これからも仲良くしていきましょう」


 わたしがそう言うと、


「こちらこそ、よろしくお願いします」


 とセリラーヌさんもそう応える。


「わたしはあなたの幸せを祈ります。お互いに幸せになりましょうね:


「わたしのようなものに、お気づかいをいただきまして、ありがとうございます。わたしもクラデンティーヌ様の幸せをお祈り申し上げます。そして、お互いに幸せになっていきたいと思っています」


 わたしたちは微笑み合うのだった。


「面白い」


「続きが気になる。続きを読みたい」


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