第四十一話 セリラーヌさんと幼馴染
幼馴染どうしは、月日が経っていくと、だんだん疎遠になっていくことが多いと聞く。
このゲームにおいても、次々に魅力的な男性キャラクターが出てくるし、ゲームの中では究極的なキャラクターであるイケメンのマクシノール殿下が最後に登場してくる。
幼馴染に対する想いを高めていくのは、なかなか難しいということが言える。
結局、それで、幼馴染と結婚するところまで到達できないことが多くなっている。
わたしの場合は、このゲームではないけれど、二度目の転生で、幼馴染と結婚するところまで行きながら、浮気をされて、心も体も壊れてしまった。
結婚までいきながら、なんでこんな目にあわなければならなかったのだろう、と思う。
幼馴染と一生幸せに暮らしたかったというのに……。
選択肢を間違えたからだとは言っても、わたしにしてみれば、酷い仕打ちだったと思う。
セリラーヌさんは、幼馴染のことを好きな人として名前を挙げた。
セリラーヌさんが、マクシノール殿下のルートに入る為には。この幼馴染への好感度がゲーム開始時より、それほど上がっていないことと、他のキャラクターについても、それほど好感度が上がっていないことが条件となってくる。
恋人どうしになっていないとは言っても、セリラーヌさんのこの幼馴染への好感度はかなり高いように思われる。
セリラーヌさんは、マクシノール殿下ルートから外れ、幼馴染ルートに入ってきていると判断していいような気がする。
わたしが悪役令嬢のルートから外れ始めている為、他のキャラクターも想定外の動きをしてくる可能性がある。
セリラーヌさんが、このまま幼馴染ルートのまま進むかどうかもわからないところだ。
わたしは、セリラーヌさんのマクシノール殿下に対する印象を聞くことにした。
聞くのはちょっと怖いところはある。
しかし、今後のわたしの人生は、この人の人生の進み方に左右されるところがとても大きい。
どうしても聞かざるをえないところだ。
わたしは、
「セリラーヌさんは、マクシノール殿下のことをどのように思っているの?」
と単刀直入に聞いた。
「マクシノール殿下の印象でしょうか?」
「そうです」
「マクシノール殿下の婚約者でいらっしゃるクラデンティーヌ様の前で、そのようなことを申すことは、おそれ多いことと存じます。それに、クラデンティーヌ様がなぜそういうことをわたしに聞きたいのかがよくわかりませんので」
「マクシノール殿下が、そのように思われているのかを確認したいだけなの。あなただけではなく、他の方にも聞くつもりでいる。マクシノール殿下の印象をみなさんから聞くことは、婚約者としての義務だと思っている。もちろんここだけの話なので、気にしないで率直な印象を言ってもらえると助かる」
わたしがそう言うと、セリラーヌさんは、
「ここだけの話とおっしゃられるのであれば、話をさせていただきたいと思います」
と言って一旦言葉を切り、心を整えて話をし出した。
「マクシノール殿下とは直接話をしたことはまだありません。学校行事でもそういうことはありませんでした。しかし、遠くから眺めたことは何度もあります。遠くからでもその姿は凛々しいものだと思いました。お近づきになったことのある方の話を聞いたこともありますが、一目でその素敵な容姿に、あこがれを抱いたそうです。このことを申すことは、クラデンティーヌ様のご機嫌をそこねるかもしれませんが、わたしもその話を聞いただけで、マクシノール殿下をあこがれの対象と思うようになっていたのです」
セリラーヌさんは、少しうっとりとした表情で言った。
「面白い」
「続きが気になる。続きを読みたい」
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