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第三十二話 侍女とわたし

 わたしが新しい自分に生まれ変わっていくことを決意し、その為の方策を練り始めていると、ドアを叩く音が聞こえてきた。


「クラデンティーヌ様、わたしでございます」


 侍女のドディアーヌさんだ。


「どうぞ」


「ありがとうございます」


 ドアが開けられると、ドディアーヌさんは。


「クラデンティーヌ様、朝食の時間でございます」


 と言った後、テーブルのセッティングを行う。


 そして、料理を運んできた。


 緊張をしている。


 無理もない。


 いつもだと、こういう時は、ささいなことで小言を言っていたからだ。


 我ながら、転生のことを思い出すまでの自分がいかに小さ人間だったと思うと、こういうところでも情けなくなってくる。


 料理とは言っても、わたしは食欲がまだ回復しないので、ほんの少しのパンとスープだけを食べることにした。


 しかし、これだけでも今のわたしには、量が多いように思っていた。


 料理のセッティングが終わった後、わたしは席につき、


「いただきます」


 と言って食べ始めた。


 ドディアーヌさんは驚いている。


 そして、黙々と食べた後、


「ごちそうさま」


 と言った。


 また驚いているドディアーヌさん。


 わたしは今まで、一人で食べる時は、


「いただきます」


「ごちそうさま」


 と言ったことはなかった。


 彼女にとっては、驚くべきことなのだろう。


 わたしは、食後の紅茶を楽しんでいた。


 まだ体は万全ではない。


 しかし、なんとか出されたこの分は食べることができてよかった。


 そう思っていると、ドディアーヌさんは、いつもよりもさらに緊張した表情で、


「クラデンティーヌ様、ちょっとお伺いしてよろしいでしょうか?」


 と言ってくる。


「なんでしょうか?」


「あの、大変失礼なこととは存じますが、今日のクラデンティーヌ様はいつもと違うように思います。突然、性格が丸くなられたような気がいたします」


 まずわたしは、このドディアーヌさんに対する対応を変えなければならないと思っていた。


 それをドディアーヌさんはすぐに把握してくれたようだ。


 そして、ドディアーヌさんは、


「失礼を承知で申し上げますが、今までのクラデンティーヌ様は、わたしに対して厳しい言葉をたくさんかけて参りました。もちろん、それはわたしが不束者であるからなので、仕方がないと思っています。でも今日のクラデンティーヌ様は、目を覚まされてから、そういう言葉をかけようとする気が全くありません。正直言って、戸惑ってしまっております。いつもだったら、こういうことを申し上げることはできないのですが、今日のクラデンティーヌ様は受け入れていただけそうなので、申し上げさせていただきました。もし、今、わたしが申し上げました話の中で、クラデンティーヌ様のお気に触れるところがありましたら、申し訳なく思っております」


 と言った後、頭を下げた。


 わたしは、ドディアーヌさんにどう声をかけようか迷った。


 転生の話はできないと思う。


 もともとわたしがいた世界でも、転生をした世界でも、人生はこの世一度きりと思う人が大半を占めていた。


 実際はこうして転生をしていくので、一度きりというわけではないのだけれど、説明をしても、多分理解はしてくれないだろう。


 そう思ったわたしは、熱を出して、心が変化したという話をすることにした。


「わたしは熱を出して寝込んだのは、ドディアーヌさんも知っての通りですね」


「もちろんでございます」


「そこで、熱を出して苦しんでいた時に、このまま悪役令嬢のようなふるまい、いや、もう悪役令嬢そのものという振る舞いを続けていいのだろうか、という反省の心が生まれてきたのです」


「クラデンティーヌ様……」


 ドディアーヌさんはわたしの言葉を真剣に聞いている。


 わたしはありがたいことだと思った。


「面白い」


「続きが気になる。続きを読みたい」


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