第三十一話 新しい自分に生まれ変わる
わたしはこのゲームを始めてプレイした時からマクシノール殿下推しだった。
イケメンというのもあるが、心の底からのやさしさを持っていて、王国民が幸せになることを、いつも強く思っている。
頭もいいし、馬術も剣術も並ぶものがない。
ゲームのキャラクターとはいうものの、胸をとても熱くさせる存在だ。
主人公のセリラーヌさん役であれば、選択肢さえ間違えなければ、マクシノール殿下と結婚できる。
セリラーヌさん役で転生しかったのだけど……。
現実というものは厳しいものだ。
わたしが避けたかった悪役令嬢として二度も転生してしまうとは……。
わたしがセリラーヌさんのことをイジメていたのも、婚約者であるマクシノール殿下が奪われてしまうのではないか、ということを思っていたからという面が強そうだ。
そうすれば、セリラーヌさんはマクシノール殿下にもし言い寄られても、わたしが怖くてあきらめるだろうと思っていたようだ。
しかし、芯が強いセリラーヌさんは、そういうわたしからのプレッシャーにつぶされることはないどころか、マクシノール殿下の心をつかんでしまった。
今世ではどうなるかはわからない。
ここで、マクシノール殿下と腹を割って話すことができて、公爵領内の反対勢力を抑えることができれば、処断の方は避けられると思う。
でも、マクシノール殿下の心はつかむことはできるのだろうか?
それでも今までのわたしの悪行はなかなかものなので、今から心を入れ替えても、間に合わず、婚約破棄の方は間に合わないのではないか、という気もする。
そう思うと、わたしは少し落ち込みざるをえない。
しかし、落ち込んでいてもしょうがない。
とにかくマクシノール殿下と腹を割って話をしたい。
そこで意気投合することができるのでれば、形式的な婚約ではなく、愛のある婚約に変えていきたい。
そして、結婚にまで進んでいきたい。
それでも婚約破棄をされたら、その時はその時だ。
公爵家の領地に戻ってスローライフを送るという人生だってあると思う。
この場合は、わたしの後継者を決めることが必要。
しかし、それは悩むことはない。
ゲームでは、わたしの一族から選ばれている。
その同じ人物を後継者に選べばよい。
後は、隠居して穏やかな人生をおくっていけばいいと思う。
もし、そこでフィーリングの合う男性と出会えたなら、結婚して幸せな家庭を築いていきたいと思う。
また、これから公爵家の領内経営に熱中するというのもいいかもしれない。
公爵家の改革を行っていく。
領域の割に、まだまだ開発が進んでいないので、環境に配慮しながら開発を進めていけば、大きな発展をしていくだろうと思う。
そして、貧富の差も縮めていく。
やりがいがありそうだ。
でもこの場合も、当主の座にいるのは、改革のめどが立つまで。
どんなに長くても、十五年くらいだろう。
期間は短ければ短いほどいい。
そして、この場合でも、後継者はゲームと同じ人物にする。
その後のわたしは、先程と同じでスローライフをおくっていく。
どういう道のりを進もうと、最終的にはスローライフをおくりたいのがわたしの今の夢だ。
しかし、これを実現する為にも、新しい自分に生まれ変わっていかなくてはならない。
そう思ったわたしは、新しい自分に生まれ変わっていく決意を、さらに固めていこうとするのだった。
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