第二十九話 三度目の転生・新しい自分に生まれ変わりたい
新しい自分に生まれ変わる。
それには、まずコルヴィシャルデ公爵家でのわたしのイメージを変えることだ。
幼少期から、わがままなお嬢様と言われ、心服も尊敬もされていない。
公爵家の人たちや、領民が従っているのは、公爵家当主の地位に座っているからにすぎない。
そして、その権威と、わたしの傲慢な態度を恐れているだけなのだ。
だから、わたしに対する反乱が発生した時、ほとんどの人たちが反乱に参加する結果なってしまった。
そのことを思うと、自分のことではありながら、情けなくなってしまう。
わたしはまず侍医のディディネさんと侍女のドディアーヌさんのことを思っていた。
ディディネさんは、わたしが病気の時はいつも効果的な治療をしてくれたし、可能な限り、わたしの病気に付き添ってくれた。
それは今回もそうだった。
ドディアーヌさんも、可能な限り、わたしの病気に付き添ってくれた。
それは今回も同じだった。
わたしはその間、ディディネさんに対して、
「苦しい。なんとかしてほしい、名医なのだから、これくらいすぐ治せるはずだ」
と無理なことを言っていたし、ドディアーヌさんに対しても、
「あなたのわたしを思う気持ちが足りないから、こんなに苦しんでしまうのだ」
と滅茶苦茶なことを言っていた。
それでもディディネさんとドディアーヌさんは付き添ってくれる。
ディディネさんの処方とドディアーヌさんの看病のおかげで、昨日の夕方になって、ようやく熱が下がってきた。
二人は、
「まだ治りきってはおりませんので、今晩も付き添わせていただきます」
と申し出ていたのだけれど、わたしは、虫のいどころが悪かったこともあり、
「もう結構です」
と厳しい口調で言って、断っていた。
二人は、
「苦しかったらお呼びください。また朝になったら伺います」
と言って、この部屋を去って行った。
二人は一生懸命わたしに尽くしていたのに、ねぎらいの言葉一つかけることはかった。
親切をされるのは当然。
感謝などする必要はない。
これが今までのわたしの典型的な対応の仕方だった。
そう思うと、自分が恥ずかしくなってくる。
すると、ドアをノックする音が聞こえる。
「クラデンティーヌ様、ディディネさんとわたしが参りましたが、部屋に入ってもよろしいでしょうか?」
「入りなさい」
わたしがそう言うと、ディディネさんとドディアーヌさんが入室してきた。
どちらも緊張しているのがよくわかる。
この人たちに対してだけの話ではないけれども、わたしは人に対する対応が雑だった。
自分に奉仕してくれる存在としか、思っていなかった。
当然、厳しい言葉を言うのは当たり前。
二人ともどういう文句を言われるのか、と恐れているようだ。
まず、こういうところから直していかなくてはいけない。
ディディネさんは、一通りわたしの診察をする。
そして、
「熱は下がりましたが、ご気分はよろしいですか?」
と聞いてきた。
わたしは、それに対し、
「まだちょっとフラフラするところはありますが、体の苦しさはもうほとんどありません。だいぶ良くなってきています」
と応えた。
ディディネさんはホッとした様子で、
「よかったです。もう熱がでてくることはないと思っています。ただ、体力がかなり低下していますので、今日を入れて後三日ほどはご静養ください」
と言った後、
「それでは、もし具合が悪くなりましたらまたご連絡ください。それでは戻ります」
と言って、この場を去ろうとする。
ドディアーヌも、
「わたしも一度戻ります。また後ほど、朝食の時に参ります」
と言って、この場を去ろうとしていた。
病気がほぼ治ってきているので、この場に長くいたくはないのだろう。
二人への今までのわたしの仕打ちからすると、仕方のないことだと思う。
わたしは、今までの感謝も込めて、
「ありがとう。おかけで体は良くなりました」
と二人に声をかけた。
二人はとても驚いた様子。
それはそうだろう。
わたしはクラデンティーヌとして生まれてから、感謝の言葉というものは、両親に対しても口にしたことはなかったし、まして、他の人々に対して口にしたことなど、全くなかったからだ。
ドディアーヌさんは、
「クラデンティーヌ様、今……」
と言いかけるが、すぐに黙り込む。
そして、ディディネさんと一緒にドアの方に向かっていった。
「面白い」
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