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第二十話 結婚式の決断

 わたしたちが学校を卒業してから二年目の五月のある日。休日だったので、わたしは王宮に呼ばれ、グレゴノール殿下の庭でお茶をしていた。


 ここのところ、休日もグレゴノール殿下はプロジェクトチームで対策を立てていることが多かった。


 しかし、ようやく一段落がついたので、わたしとも休日に会えることができるようになった。


 グレゴノール殿下は、


「あなたのアドバイスはいつも的確で助かっている」


 と言ってくれていた。


 わたしのアドバイスが、少しでもグレゴノール殿下のお役に立てているのであれば、うれしいことだ。


 爽やかな風が吹く中、しばらくの間は紅茶を飲みながら雑談に興じていたのだけれど、結婚式のことはどうしても触れないわけにはいかない。


 わたしは、グレゴノール殿下に。


「もうそろそろ結婚式のことをお考えいただけないでしょうか?」


 と言った。


 今まで微笑んでいたグレゴノール殿下は、真剣な表情に変わる。


「そうだなあ……」


「やはり、まだ無理な話なのでしょうか?」


「いや、プロジェクトの方もだいぶ軌道に乗ってきているので、そろそろ検討してもいい頃だとは思っている。でも決断がつかないんだ。もぅ少し成果が出てからの方がいいのではないかと思って。まだ成果が上がっていない状態で結婚式を挙げると、批判される可能性があると思っている。それはわたしだけではなく、レデシアーヌさんの方も。だから、どうしても躊躇する心が生まれてしまうんだ」


 グレゴノール殿下はわたしのことを想ってくれている。


 でも……。


「グレゴノール殿下、わたしのことを心配していただくそのお心づかいには感謝を申し上げます。でも、わたしたちは、これから結婚をしていく仲です。批判があったとしても、お互いの愛があれば乗り越えていけるものと思っております。そして、わたしはグレゴノール殿下のことをその妃として、お支えしていきたいと思っているのです、今の状態でもそれはできなくはないのですけれど、正式な妃として、わたしはグレゴノール殿下に尽くしていきたいと思っています」


 わたしはグレゴノール殿下に熱を込めて言った。


「レデシアーヌさん、あなたはそこまでわたしのことを想ってくださるのですね」


「そうでございます。もちろん、わたしは無理なことを申し上げるつもりはありません、グレゴノール殿下の思っていることに従うだけでございます。でも、できれば二年以内に結婚式を挙げたいというわたしの想いも汲んでくださると、ありがたいと思っております」


 わたしはそう言った後、少し言い過ぎたかもしれないと思って、すぐに反省した。


 いくら親しいからと言って、


「無理なことを申し上げるつもりはありません」


 と言いつつ、無理なことをお願いしているのは、あまり望ましいことではないと思う。


 わたしはすぐに。


「申し訳ません。ちょっと無理な話をしたかもしれません」


 と言って謝った。


 グレゴノール殿下は少し考えていたが、


「いや、レデシアーヌさんの言う通りだと思う。レデシアーヌさんはわたしのことを待ってくれている。もうそろそろレデシアーヌさんを待たすわけにはいかないと思っている」


 と言った。


「それは、どういう意味でございましょう?」


 わたしの心に希望が湧いてきた。


 グレゴノール殿下とわたしは向き合っている。


 わたしはグレゴノール殿下の次の言葉を待った。


 胸のドキドキは大きくなってくる。


 グレゴノール殿下は心を整えると、


「わたしは、レデシアーヌさんと結婚式を挙げたい。いや、わたしは近い内に、レデシアーヌさんと結婚式を挙げることにしよう。よろしいですね、レデシアーヌさん」


 と言った。


 しっかりとした言葉だった。


「結婚式を挙げる」


 わたしたちが、入学後五年目で、お互い恋人どうしというところに意識が変化してからは、その言葉をずっと待っていた。


 でも、これは夢ではないだろうか?


「それは、グレゴノール殿下の今のお気持ちということでよろしいのでしょうか?」


 わたしから催促をしていたことではあるけれども、実際言われると信じられない気持ちがしてくる。


「もちろんだよ。レデシアーヌさん、わたしと近い内に結婚式を挙げよう。好きだ」


 幼い頃から一緒にいたわたしたち。


 でもグレゴノール殿下がこれほど真剣な表情で言うのは初めてだった。


 わたしの心の中に、一気にうれしさが湧き上がってくる。


「面白い」


「続きが気になる。続きを読みたい」


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