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第二話 追い出されてしまったわたし

「よくもまあ、そんな厚顔無恥なことが言えますね。セリラーヌさんは、学校であなたのイジメにあってずっと苦しんでいたというのに。それを『親切に教えて差し上げた』とは。わたしも途中までは気がつかずに、セリラーヌさんを苦しめていました。このことについては、セリラーヌさんには申し訳ないと思っています」


 マクシノール殿下がそう言うと、セリラーヌさんは、


「マクシノール殿下、もうそれは過ぎたことでございます。お気になされないでください。このお方はマクシノール殿下にはつり合わないのです。その程度の人間のしたことなど、わたしは忘れます」


 と言って、意地の悪い微笑みをこちらに向け、


「婚約を破棄されて、おかわいそうに」


 といかにも残念そうに言ってくる。


 そして、


「マクシノール殿下の方も、もう忘れになってください。わたしは今、こうしてマクシノール殿下の婚約者になる喜びをかみしめております」


 とマクシノール殿下に向かって微笑みながら言う。


 学校では、いつもわたしに言われるがまま。


 従順そのものだったと思っていたのに……。


 もともとは、このような意地の悪いことをタイプではなかった。


 それだけわたしのことを憎んでいたのだろう。


 その憎しみが、わたしを乗り越えたいという強い思いを生んだのだろう。


 いつの間にか、マクシノール殿下の心をつかみ、婚約者の座に登りつめてしまった。


 わたしからマクシノール殿下を奪ってしまったのだ。


 そして、わたしのことを憐れんでいる。


 なんという屈辱……。


 だんだん腹が立ってくる。


「ありがとうございます。セリラーヌさん、あなたはやさしいですね。こういう醜い心の持ち主に、憐みの心を持つのは、とてもいいことだと思います。わたしは、あなたのそういうところも好きです。しかし、彼女はただあなたをイジメたけではありません。領民イジメをしました。そのことは、忘れるわけにはいきません」


 マクシノール殿下がそう言ったのに対し、わたしは、


「先程も申しました通り、わたしが贅沢をする為に存在するのです。領民をイジメているわけではありません。贅沢をするのは為政者として当然の権利であり、やるべきことをしているだけです」


 と反論する。


 マクシノール殿下は、眉間にしわを寄せ始めている。


 怒りをため始めているようだ。


 何か怒らせるようなことをわたしは言ったのだろうか?


 そう思っていると、


「まあ、いいです。これ以上、あなたと話をしても無駄だということですね」


 と言った。


 そして、側近に、


「この者を会場の外に追い出しなさい」


 と命じた。


 言葉こそていねいなのだけれど、言っていることは厳しいこと以外の何ものでもない。


「マクシノール殿下、いったい何をおっしゃるのですか?」


「あなたは婚約破棄をされた人間です。本来ならば、自分自らこの場所を去るべきです。なのに、あなたは、ここに居座っている。ここに居座っているだけならまだしも、わたしに対し歯向かおうとしています。だからあなたをここから追い出すことにしました」


 わたしは、もちろん納得できない。


「マクシノール殿下の婚約者はこのわたしです!」


 と叫ぶが、護衛により連れ出されようとする。


 わたしは、それに抵抗し、


「マクシノール殿下、なぜこんな酷い仕打ちをわたしにするのです! 嫌です。ここから離れるのは嫌です! わたしはマクシノール殿下と婚約し、結婚するのです!」


 と言って泣き叫ぶ。


 しかし、護衛の力の強さにはかなわない。


「わたしは、マクシノール殿下のものなのです。わたしこそがマクシノール殿下にふさわしい人間なのです。今、隣にいる人ではありません。マクシノール殿下、思い直してください、お願いします」


 一生懸懸命マクシノール殿下に哀願するわたし。


 でも、その叫びは、マクシノール殿下には届かない。


 わたしは護衛によって、会場の外に追い出されてしまった……。


「面白い」


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