第十七話 グレゴノール殿下にふさわしい女性になろうと一生懸命努力するわたし
わたしたちは十八歳の春、学校を卒業した。
わたしはここで、いろいろなことを学び、いろいろな経験をすることができた。
成績は、トップはずっとグレゴノール殿下だったのだけれど、わたしもずっと二位を維持することができた。
親友のノディナーヌさんと出会うことができたし、友達を作ることもできた。
そして、何よりも、グレゴノール殿下と恋人どうしの意識になることができた。
入学後五年目以降は、王太子妃としてふさわしくなる為の細かい教育を受けるようになったので、忙しい毎日となった。
きついことも多かったけれど、一生懸命努力をした結果、周囲からも王太子妃としてふさわしくなったという評価をだんだん受けるようになってきた。
グレゴノール殿下も、王太子としてふさわしい人物になってきたと評判だ。
こうなってくると、後は、いつ結婚式を挙げるか、ということになってくる。
わたしたちの仲は深まっていたので、いつ結婚式を挙げても、そして、いつ結婚生活を始めてもいいと思っていた。
お互いに、心の準備はできていた。
しかし、グレゴノール殿下にはその前にしなければならないことがあった。
ボダンシャルフィス王国は、二十年ほど前から経済活動が停滞し始め、十年ほど前からは財政赤字にも陥っていた。
王国全体の活力が弱まってきていた。
国王陛下は、対策を打ってはいたのだけれど、なかなか改善は進まない。
そこで、グレゴノール殿下が学校を卒業すると同時に、グレゴノール殿下がリーダーとなって改革を行うことになった。
グレゴノール殿下は、最初、
「まだわたしは若いので、他の方に任せた方がいいのでは」
と国王陛下に言ったそうなのだけれど、
「グレゴノール、この王国のおかれた状況は、想像以上に厳しい。それを克服するには、改革が必要だ。それができるのはお前にしかいない。よろしく頼む」
と言われたので、断ることはできず、リーダー役を受けることになった。
こうして、グレゴノール殿下は、学校を卒業すると同時に、
「王国改革プロジェクト」
のリーダーに就任することになった。
こうして、わたしたちの学校卒業後の生活が始まった。
グレゴノール殿下は、十八歳になったので、王太子としての公務を本格的にこなさなければならない、
プロジェクトのリーダーとの仕事も合わせると相当な激務となる。
その為、二人で一緒に過ごす時間は、学校の時よりも少なくなった。
グレゴノール殿下は、その激務の中でも、休日を取るようにはしていた。
わたしを王宮に呼んでくれて、一緒に過ごしてくれたのはうれしかった。
しかし、わたしとしては物足りない。
十八歳になり、学校を卒業したら、すぐにでも結婚式を挙げたかったのだけれど、今の状況だと無理だった。
グレゴノール殿下は、
「申し訳ないと思っている。ある程度仕事全体が落ち着いてから、結婚式を挙げよう。それまで待ってくれ」
と言っていた。
グレゴノール殿下も、わたしと同じく、学校を卒業した後、すぐにでも結婚式を挙げたいと思ってくれていた。
しかし、それは断念せざるをえず、わたしに対して申し訳ないと言ってくれている。
その気持ちだけでもありがたいと思っていた。
とはいうものの、心の寂しさはどうしてもある。
わたしとしては、一日中グレゴノール殿下のそばにいたい。
結婚式はまだ先になるのは仕方がないにしても、もう少し、グレゴノール殿下のそばにいる時間を増やしていきたい。
それを信じて、わたしは王太子妃にふさわしくなる為、一生懸命努力を続けていく。
でも一向にグレゴノール殿下と一緒にいられる時間は増えそうになかった。
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