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第十話 お互いに距離を取るわたしたち

 わたしが入学してから五年目の春の休日。


 わたしはグレゴノール殿下と王宮の庭でお茶をしながら話をしていた。


 グレゴノール殿下は、この中で、


「これからわたしたちは忙しくなる、平日はクラスが違うから、学校ではそこまでおしゃべりをすることはなかったけど、帰ってからも忙しいのでは、なおさらおしゃべりはできなくなるね。そして、休日も忙しいから今までのように会うことはなかなか難しくなる。無理して会うことが出来ないわけではないが、休養が必要だと思うから。わたしたちが会う時間を減らせば、それだけ休養ができることになる。こうなると、わたしたちは今までのように仲良くできる時間が減ってしまうことになる、でも、これは、もしかすると、わたしたちの関係を構築しなおすいい機会ではないかと思っているんだ、そこで、夏まではレデシアーヌさんとは遊ばないようにしたい」


 と言い出した。


 もともと入学して以降は、一緒に遊ぶことは減っていた。


 二週間に一度くらい。


 とはいうものの、一緒にチェスをしたり、お茶をしたりしている時は楽しかったので、一か月に一度ぐらいでもいいので、これからも続けていきたかった。


 でもグレゴノール殿下は、


「わたしもレデシアーヌさんとは今まで通り、二週間に一回ぐらいはここで遊びたい。でも、まずは、お互いに王太子・王太子妃として身につけなければならないことを優先させなければならないと思う、この三か月間は、とても重要な期間だと言われているから、それともう一点なんだけど、わたしたちの関係自体もそろそろ新しい段階に進むべきだと思ったんだ。わたしたちは婚約をしている。でもそれは親どうしが決めたこと。いくら政略結婚だからと言ったって、わたしはお互いの意志がもっと尊重されうべきだと思うんだ。もしレデシアーヌさんがわたしのことを好きになれないんだったら、ここでもう婚約破棄をしてもいいと思っている。わたしの方もこれからどういう関係を築いていったらいいのか、わからないんだ。このまま幼馴染のまま進んだのでは、多分、形だけの夫婦になる気がする。幼馴染から脱皮して、ラブラブになっていかなければ、本当の夫婦にはなれそうもない気がしている。わたしとしては、少し、レデシアーヌさんとのこれからのことを考える時間がほしいんだ。これからは、お互いに距離を置きたいと思っている」


 と言った。


 グレゴノール殿下の言うことを理解はできた。


 わたしとのこれからのことを思って言っているのだと思った。


 でもグレゴノール殿下の言葉を受け入れたら、グレゴノール殿下とそのまま疎遠になり、自然と婚約破棄ということになってしまうかもしれない。


 それは絶対に避けたい。


 そう思っていると、グレゴノール殿下は、


「わたしが自分勝手なことを言っていると思うかもしれない。でもこういうことを言い出したのは、レデシアーヌさんとの関係を整理したいからなんだ。ごめん。わたしたちは。今までの幼馴染のままではいられない。それで、一度距離を置いた方がいいと思ったんだ」


「距離を置く?」


「あいさつとか、ちょっとしたおしゃべりぐらいは、これからもしたいと思っているんだ。でも放課後は合わない。休日も一緒にいることも止めることによって、距離を置こうと思っている。もちろんさっきも言ったように、お互い忙しいから、休養を取ると言う意味もある。それで、レデシアーヌさんのことを恋しく思うようになってきたら、わたしはレデシアーヌさんに『恋人どうしとしての付き合い』ということをお願いしたいと思っている。もし、そうならなければ、わたちの仲は、幼馴染止まりで、形だけの結婚になってしまうと思うんだ」


 この時のグレゴノール殿下は、よくわたしたちの仲を考えてくれていたのだと思う。


「グレゴノール殿下のおっしゃる通りだと思います。わたしも今のままだと、ただの幼馴染止まりになってしまい、形だけの結婚になると思っていました。わたしとしては、グレゴノール殿下とおしゃべりする時間が減るのは寂しいし、休日一緒に遊べないのも寂しいです。でもわたしたちの仲を発展させる為には、一旦、お互い離れていく必要があるということは、わたしも思わなかったわけではありません。残念なことだとは思っていますが、グレゴノール殿下のおっしゃることに従いたいと思います」


 わたしは少し涙ぐみながら言った。


「ありがとう、レデシアーヌさん」


 グレゴノール殿下の方も少し涙ぐんでいるようだった。


 こうして、わたしたちはお互いに距離をとるようになっていった。


「面白い」


「続きが気になる。続きを読みたい」


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