ご近所挨拶1
朝が来た。
俺の朝は異世界だろうが早い。
俺が朝にやることは大体決まっている。
"ハァハァ"
まずはランニングだ。
そして、腕立て伏せ100回5セット、腹筋100回5セットこれが終われば次は受け身の練習だ。
ここに例えプロレスという文化がなくとも、俺がプロレスラーであることには変わりない。
トレーニングをしながら俺は考えた。
「できればこの世界にもプロレスができる相手がいればなぁ」
異世界でもこんなことを考えているあたりやはり俺はプロレスが好きなのだろう。
トレーニングをしているとルーシカが家から出てきた。
「おはよぉございますぅ~...ひぇっ!!」
顔を赤らめながら何やらルーシカが驚いている。
「どうした?ルーシカ?」
「い...いや...その私には刺激が強すぎますぅ!!」
ルーシカが早く服を着てくださいと言いながら向こうを向いている。
何か失礼なものを見せてしまったのだろうか、俺は服を着ることにした。
今日もルーシカが朝ごはんを作ってくれた。
やはり、ルーシカの飯はいつ食べてもうまい。
そういえば今日は何をするのだろう。
俺はルーシカに聞いてみることにした。
「なぁルーシカ今日は何をするんだ?」
「そうですねぇ...今日はこの前ケンイチさんが取って来てくれたエンジェルピッグの肉を住民に配ろうと思います」
今更ながら、あのイノシシもどきはエンジェルピッグというらしい。
全然エンジェルではなかったと思うがそこに突っ込むのはやめておこう。
そういえば、この村に来てからというもの俺はこの村の住人と話していない。
そろそろご近所挨拶をしておかないと近所トラブルになりかねない。
「なぁルーシカ」
「はいなんでしょう?」
「その肉配り俺もついて行っていいか?そろそろこの村の住人にあいさつしとかないとだめだと思うんだ」
そう言うとルーシカの様子がおかしくなった。
「い、いやぁその...それはいいのですが何というかみんな個性的過ぎてケンイチさん嫌にならないか心配で...」
個性的と言われても超日本プロレスには個性の塊みたいなやつらしか居なかったし大丈夫だろうと思っていた。
しかし、それは直ぐに間違えだということに気づかされた。
最初に訪問したのはエルフ族のリリィの家だ。
ルーシカ曰く、この村はルーシカ含めて4人しかいないらしくリリィはその中でも一番性格が激しいらしい。
なんでも大昔にエルフの森で族長と大喧嘩をして森を追い出されたのだという。
"トントン"
ルーシカがリリィの家のドアをたたいた。
すると家から激しい音とともにドアが思いっきり空いた。
「なんだよ朝から!!」
中から出ていたエルフは性格とは裏腹にとても美しい見た目をしていた。
例えるなら髪の毛を緑にした渋谷のギャルというか、エ〇ゲのギャルキャラ担当というかそんな見た目をしていた。
「はいこれ差し入れよ」
そういうとルーシカはリリィに肉を渡した。
「うひょーエンジェルピッグの肉じゃねえか~よくこんなのが手に入ったな!!」
「これ私が狩った肉じゃないわ隣のケンイチさんがとった肉よ」
ここで初めて俺の紹介が入った。
「初めましてだな俺はケンイチっていうんだよろしくな」
俺は自己紹介をするとなぜかいきなり腹パンを食らった。
ルーシカは慌てている。
「へぇアンタがあの最近うちに来た筋肉ダルマか~あたしはリリィっていうんだ。魔法に関してはあたしになんでも聞きな!!アンタとはいいダチになれそうだ!!」
おれはさっきの腹パンが効いたのか立てない。
「そ、それはよかった...」
良かったのだろうか。
エルフ族はおとぎ話で聞いたときはもっと温厚な性格だと聞いていたが、仲良くなれそうだと思ったらとりあえず腹パンする一族なのだろうか。
おれはルーシカに肩を借りながら次の家に向かった。
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