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エピローグ
火折乃はスマホを耳に当てる。
相手は四回目のコールの後に電話口に出た。
「火折乃です。息子さんの行方が解りました。はい、非常に残念ですがお亡くなりになっておりました」
ひとつ息を吐いて続ける。
「同窓会の一次会後、友人のお二人と昔遊んだ山へ登ったそうです。その帰り道、息子さんは友人達と山ではぐれてしまい、酔って山を彷徨い足を滑らせ滑落なさったようです」
しばしの間。
「はい、滑落場所は発見しました。座標をスマホへ送りますので、警察等への連絡はそちらでお願いします。私の事はくれぐれもご内密に」
火折乃の力を警察は信じるはずがないし、そうである以上、最悪、殺人の容疑がかかってしまうだろう。
それだけは避けたい。
「それでは、このたびはご愁傷様でございました。料金の振り込みは『火折乃真琴』まで。よろしくお願いいたします」
そう言うと、火折乃はスマホを耳から離し、振り向いてアナタを見て口を開く。
「アナタに真実は見えましたか?」
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