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#18 妹と餃子


 文芸部に入部し部員の紹介が終わると、用済みとばかりに俺だけ追い出された。


「本当に頭数だけ目当てだったのか?」と一瞬頭をよぎったが、「まさか主人公様の俺にそんな扱いをするわけないよな、やれやれだぜ」と自分に言い聞かせて、教室に戻って荷物を持って一人寂しく校舎を出た。


 いや!寂しくないぞ!

 今のはちょっとした気の迷いだ!



 そう

 俺は罪作りな男、ノリオ。

 だからな。




 久しぶりに一人で下校する俺は、今夜のメニューを考えながらスーパーに立ち寄った。 挽肉、キャベツ、太ネギ、大量のニンニク、餃子の皮を買い込み、家路を急ぐ。



 買った食材を台所に置き、手洗いうがいを済ませてから自室で着替えて、台所で下ごしらえを始める。



 キャベツをみじん切りにして塩をもみ込み寝かせる。


 洗米して炊飯器をオン。


 ニンニクの皮を剥いで、片っ端からすり下ろす。


 太ネギもみじん切りにする。


 寝かせたキャベツを素手で握って水分を絞り落とし、それにすり下ろした大量のニンニクとみじん切りにしたネギ、挽肉を混ぜ、塩、コショウ、ゴマ油、出汁の素、お酒、醤油、ミリンを投入して、念入りに混ぜ込み、餡は完成。


 既に帰っている妹に「餃子作るから手伝って」と声を掛けて、二人でひたすら餃子を包む。


「夕飯に餃子とか、ジジイのくせにでかした」


 そう、クルミは餃子が好物だ。

 というか、水元家は家族全員、餃子が大好きだ。



 約1時間かけて二人で200個包んだ。


 父と母の分もあるので、一人50個は食べられる。



 フライパンを2つ駆使して100個分をじゃんじゃん焼き上げて、クルミと二人で食事を始める。



 好物の餃子にご機嫌なクルミはモグモグさせながら、どうでもいいテレビでタレントがカラオケを歌うバラエティ番組の不要論を熱く語り続けていた。


 俺もモグモグしながらクルミの話を聞いていて、クルミの口臭がニンニク臭いのが凄く気になったが、敢えて指摘することはしなかった。 




 そう

 俺たちはニンニク臭い水元兄妹。



 


 夜になり、いつもの様にメグっちがやってくると

「ちょい!ノリオちょー臭いんだけど!? マジ近寄んなし!」


 嫌がられると、余計にヤリたくなるというのが純情ピュアな少年心と言うもの。


「よし!今日は好きなだけハグしてやるぞ!なんならキスだってし放題だ!舌ベロ絡ませてぐちょぐちょレロレロとヨダレの交換をしよーじゃーないか!」


「マジ死ね!ってこらぁぁ!抱き着くなぁぁ!」


 俺は嫌がるメグっちに抱き着き、背ける顔を押さえてニンニク臭い口臭を存分に吐きかけてやった。


「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


 その時、部屋の扉が突然開いてクルミが仁王立ちしていた。


「何時だと思ってんの!二人ともいい加減うるさい!」と怒鳴ってバンと扉を閉めていった。



 怒られた俺たち二人は抱き合ったままだったので、メグっちの鼻の頭をペロリとひと舐めした。

 鼻を舐められたメグっちは、両手で鼻を押さえて「くっせぇ」と言いながらしばらく悶絶していた。



 そう

 俺は罪作りな男、ノリオ。




 翌朝起きると、自分のマクラがニンニク臭くなっていて、今度は俺が悶絶した。




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