表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
グリーンキャディラック  作者: 田梨征洋
2/2

ある魔女の選択

小屋ではストーブにかけられたエナメルのヤカンの蓋がカタカタ鳴り湯が沸いているのを知らせていた。だいぶ前に茶葉を放り込まれた大ぶりなティーポットはテーブルの真ん中に置かれ、それを囲むように4つのカップとソーサーが並べられている。

外でタイヤがフェンダーに砂を巻き上げながら車の停まる音がする。

「どうぞ入ってらっしゃいな。」

ドアの外に立った客が薄っぺらなドアをノックする前に女が呼び掛ける。安物の蝶番がためらうように軋んだ音を立てて開く。

「久しぶりねぇ。」

相手が再開の挨拶をしようとする前に声をかけた女は立て続けに

「お茶を淹れてるから席にかけて待ってて頂戴。角砂糖は?」

男は呆れたように指を2本立てて砂糖の数を示す。

「3つでいいわね。」とそれを無視する。

「外のお客さんは?」とドアの外に待つ二人にも声をかける。

「お二人とも遠慮なさらないで。せっかく用意してるんだから。」

と入室を勧める。ドアの外で待つ大男とメガネの小男が顔を見合わせる。まるでドアの外を見透すように答える女の声が不気味に思えたからだ。

部屋に二人が入るとスプーンと砂糖の3つずつのせられた薄手のソーサーとジンジャーブレッドの乗った大皿がテーブルに用意されていた。先に席に着いた男が二人に目で着席を促す。

「さてと…と」

女の注いだコーヒー並みに色の濃い紅茶が部屋全体に香りを満たす。戸棚から取り出したジャムの瓶をクロスの敷かれたテーブルの真ん中に置く。

「どうぞお掛けになって。今はこんなものしか御用意できないの。今日はなんのご用かしら?まぁ存じてはいるのだけれど。」




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ