ー狂気のご紹介ー
発想は、閃きは、水底の爆発である。
水底で起きた爆発は、水中のありとあらゆる物を巻き込み、外へと現出する。
発想は、閃きは、それである。
何かひとつの鍵があれば
それが火薬となり
それを使って何かをしようとすれば
それは火種となる
それは合わさり、そして爆発する。
…
……
………
発想は、閃きは、水底の爆発である。
水底で起きた爆発は、水中のありとあらゆる物を巻き込み、外へと現出する。
狂気も、またその発想のひとつであった。
狂騒する狂気を見て狂笑してそんな自分の狂態を思って狂喜出来れば、狂人の仲間入り。
…
……
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ーそんな狂気のご紹介。
狂気とはどんなものがあるのか、狂気とはそもそもなんなのか
それを淡々と紹介するだけの回。
それだけの回である。
例えば
ーー『人の耳から硫酸を入れて振ると額の皮が剥けて寄生虫が出てきて面白い』
『入り切らないくらい机の引き出しに物を入れて高速で開閉して机を壊すのは楽しい』
生物や無機物などに物理的、または精神的に危害を加えるようなものが暴力的な狂気、いわゆるサイコパス的な狂気。
例えば
ーー『ブロッコリーとキャベツの千切りの純恋歌』
『しいたけで部屋の掃除をしていたらマットレスが豆腐になった』
意味不明な事を羅列したり、意味不明、理解不能なことを自然体で行ったり、そしてそれを周りは当然のように受け入れていたりと、非現実的な狂気。
大まかに分けてしまえばこの「非現実的な狂気」と「暴力的な狂気」の2種に分けられてしまう。しかしそれでは味気が無いようにも感じるので、もう少しばかり、狂気のご紹介。
例えば
ー連続的な狂気。
『この狂気はつまり狂気的な程に同じ言葉を使う狂気で、この狂気はよくネタとしても狂気的に使われる狂気であり、また狂気の中でも日常的に見られる事もある狂気の為、馴染みのある狂気とも言えるかもしれない。だが狂気に馴染んでいる事も狂気であり、もしかしたらその人の人生は狂気によって出来ているのではないか、と、そのような狂気的な言動をする事もまた別種の狂気であり狂気を二つも同時に扱うなど狂気が服を着て歩いているというレベルの狂気だとも思える。このように狂気とは自分で自分の狂気に気づくこともでき、これは狂気だなと自分を省みても既に狂気に染められているため狂気を止める事ができず狂気は続き、狂気は伝染し、新たに狂気を産卵し狂気を増やし狂気を広げていくのだ。これが狂気である。』
このように異常に同じ言葉、単語を使うのが連続的な狂気。
例えば
ー理論崩壊的な狂気。
『殺人とは何がいけないのか、これはつまり人は群れで生活する生き物である為、殺人をする事で群れという一つの統率を崩し、その事により社会の崩壊を招いたり、殺された人間の関係者に精神的に重大な損害をもたらす為だ。また、その殺人をした人類も罪に問われて捕まる事が多く、その場合1回の殺人につき2人の人類が行動不能になる、更には、日本の年間殺人数は約1000件前後、要するに年間約1000人、また犯人が捕まる事も考えると、それを超える数の人類が行動出来ない状態になっている。これは実に人類の進歩に関わる重要な問題である為改善すべき事柄で、例えば年間の殺害数の上限を決めるなどの措置をとったり、加害者も能力のあるものは捕まえない方が人類にとってはとても建設的であるし効率が良いと思う。それに加害者側は殺人ではなく暴行に留める事が出来れば、被害者側も生きており、被害者側が通報しなければ、なお人類の進歩に貢献する事が出来る。そうすれば人類の死亡数は減り、最後には年間の殺人件数が0になる事も夢ではない。殺人件数が0になれば加害者が現れることもなく、それに伴い被害者も0になり、人類の進歩を安定させる事の出来る結果になるのだ。よって加害者は暴行に留め、被害者は加害者を通報するという行為をせず、法律も改正すれば世界から殺人が消える為、そうするべきである。』
という途中から理論が崩壊していくもの、それが理論崩壊的な狂気。
例えば
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……
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ーある夏の日の事だった。
その日は太陽光が降り注ぎ、小腹を満たす用件だけで徒歩10分程度のコンビニに歩いて行けば肌の露出部が少しばかり黒くなるような、そんな暑い日だった。
「暑いね。」
青年までは達さず、少年というには大人びた男が短くそう告げた。
「そうだねえ」
とは、男の隣を歩いていた女の発言だ。
こちらも同年代程度、ではあるが顔立ちの幼さから少女にも見える。そして女は短く、笑みを含めてそう応えた。
2人の男女の歩く場所はビル群の裏側。
人気はほとんど無く表通りからも離れているため、世の中の様々を込めた雑多な騒音は、今や男女の耳には届かない。かろうじて工事現場のドリルの音が、一つの振動として全身に届くくらいだろうか。
…
……
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ー同じ夏の日であった
「これは暑すぎだわ」
高校生と思わしき、というよりも制服を着ている為、顔が幼いか、大人びているかさえしていなければ高校生であるはずの少年はそうこぼした。
「くそ暑いな」
それは口汚いが男への批判ではなく同意の言葉であったし、男にではなくその夏の日への恨み言であった。
それを言ったのは先の少年の隣を歩くもう1人の少年、こちらは私服姿で、歩く人に道を尋ねれば相手が恐縮してしまいそうな
暴漢から女性を助ければ女性にすこしだけ怖がられそうな
その女性を家に送ってあげようと一緒に歩いていれば職務質問を受けそうな
そんな悪人面の少年だった。
2人の歩く場所はカラオケBOXへどうすれば早く、かつ気を休めながら到着出来るかを検証しながら決まった道程、その道程で最も開けているであろう畑に挟まれた小道、その場所だ。
…
……
………
「暑いよね」
「そうだねー」
「日焼けクリーム塗らなきゃ!」
「私もー」
「見てこれ新しく買ったの!」
「おお、可愛い!」
「でしょー!」
会話の途中に説明を挟む事も出来ないほどにテンポよく話をしているのは、こちらも高校生と思わしき4人の少女達だった。
少女達がいるのは表通りにあるデパート、その前の公園である。
この公園は広く、基本的に人も多く、しかし聞こえるのは雑多な世の騒音ではなく、子供達やその親達の笑い声、また鳥達のさえずり、そして先の少女達の会話だ。
「本当今日は暑いよね」
「「ねー」」
再び少女達。
それはおそらくこの夏の日であれば誰もが1度は言ったであろう太陽への文句だ。
それを言う事で涼しくなる訳でもなければ、それを言えば日笠が貰える理由でもない。
が、それでも言うのは単に気を紛らわせる為であろう。
ゆえに違う場所、同じ時間、合成すれば「暑い」の部分だけハモりそうなほどの同じタイミングで、3組の男女は「暑い」と、そうこぼした。
そんな事もある。だって、暑い日なのだから。
そう
夏の、暑い日だったのだから。
…
……
………
…………。
何も始まらず何も深い意味も無く時間を奪う狂気。
そして風変わりな物はとりあえず狂気と言っておく狂気。
狂気という狂気。
ーこの短編小説は、毎話完結でそんな狂気を描いていく作品です。ですが暴力的な狂気に関しては無機物を破壊する事はあると思いますが生物に危害を加えることはしないつもりです。
今後は狂気系シュールギャグという百番煎じくらいの物を書いていきたいです。
……こんな感じで続けていけるのだろうか…




