14日目。
14日目。
目が覚めた。
ちりりりり、ちりりりり
ちりりりり、ちりりりり
目覚まし時計と共に身体をそっと布団から出す。
はーぁ
欠伸をし、身体をぐーんと伸ばす。
ちりりりり、ちりりり…
そして、目覚まし時計を止めた。
まだ、6時半である。
心臓がドキドキとしている。
まだ、隣では、彼が眠っている。
熟睡している彼の顔は子供のよう。
口は閉じてあり、少し笑ったような。
口元が少し上がっている。
どんな夢を見ているのだろう。
私は、再び、ベットの上でそっと、横になり、腹の辺りまで布団を掛け、直ぐ近くにいる彼の寝顔を暫く、見ていた。
なんか、新鮮。
ドキドキ。
ドキドキ。
僕は、目覚めた。
はーぁ
欠伸をして、身体をぐーんと伸ばした。
それから、暫くして、目を閉じていた彼女に目を向ける。
はーぁ
二度目の欠伸。
距離が近い。
直ぐ近くに、彼女の顔があった。
彼女の寝顔に僕は、見とれてしまった。
寝顔を見たのは、初めてだなと思った。
いつも、先に起きて、僕を起こしてくれる彼女。
それで、起きた僕は、まだ、開かない目を擦り、ベットから、足を地につかせる。
たから、新鮮だ。
起きている彼女の目も優しいけど、更に優しい目。
プルプルとした紅色の口元が上がっている。
微笑んでいるように。
彼女の髪が僕から彼女の顔を隠す。
僕は、そんな彼女の髪を彼女の顔から避ける。
まるで、僕の小さい時の妹のようだ。
口元が少し動く。
思わず、彼女の黒髪に触れる。
さらさらである。
さらさら。
その後、そっと、彼女の頭を撫でる。
かわいい。
そして、そっと、彼女の紅色の唇に僕は自分の唇を軽くあてた。
暫くそれからも見とれていた。
気がつくと、また、眠ってしまっていたようだ。
彼が隣でまだ、眠っている。
時間を見る。
8時だった。
一度、目を疑う。
…
え?
あー!
「起きて!起きて!」
急いで彼を起こす。
しかし、まだ、夢の中にいるよう。
「起きて!8時だよ!」
「うーん…」
目をなんとなく、開けるが、まだ、ちゃんと目が開かない。
「8時だよ!」
「うーん…」
「ねえ、ねぇ…」
彼女が僕の身体を揺らす。
「うーん…」
まだ、ちゃんと開かない目を擦る彼。
やっと、それから、足を地につかせた。
そして、支度をし出した彼。
私は、そんな彼にコーヒーを淹れた。
「コーヒー、淹れたから」
すると、彼は、私の手からコーヒーの入ったカップを受け取り、口に運んだ。
はーぁ
息をついた彼。
ゆっくりとしている彼に、
「行くよ!」
言うと、腕を私に向ける。
私は、彼の手を掴み、握り、家を出た。
分かれ道で、分かれ、なんとなく、手を彼に振った私。
彼は、手を振り返してくれ、一度止まる。
そんな彼を見て、
「どうしたの?」
と尋ねると、
「忘れ物!」
そう言って私のところまで走って来た。
息が少しはあはあとしている。
私が言いかけようとすると同時だった。
突然、そっと、私の唇に彼の唇が触れた。
ドキドキ。
ドキドキ。
それは、長かった。
時が一瞬だけ、止まった。
ちゅんちゅん
小鳥が鳴いた声。
ぴゅーと吹いた穏やかな風の音。
それらだけが耳に残った。
「行ってきます」
いつものように、微笑みながら手を振り、立ち止まった私をドキドキとさせる。
ドキドキ。
ドキドキ。
心臓の音がだんだんと大きくなる。
ドキドキ。
ドキドキ。
高鳴る。
痛い。
痛い。
暫くして、彼の姿が私から見えなくなると、仕事場へと私は、向かった。
打ち込み作業をして、パソコンと向き合い、仕事を始めていた。
すると、上司から突然呼び出され、私は、上司のところへと言った。
「どうしたのですか」
そう尋ねると、
「プロエジェクトをやろうと考えてるだ。それでな…」
「はい」
「君に任せたいと思って」
「え?」
「どうだ、もう、2年やってるし」
うれしかった。
「はい!やります!」
やっと、認められたと思った。
うれしさのあまり、心が高鳴る。
トイレに行き、思わず、ガッツポーズ。
うれしい。
うれしい。
更に仕事に打ち込み、今日も仕事を終えた。
帰り道、ワクワクしていた。
はーぁ
幸せのため息。
早く、彼に伝えたかった。
足が家に近づけば近づくほど、足のスピードが速くなる。
薄っすらと出た星空がきれいだった。
家に帰ると、まだ、明かりは付いていなかった。
私は、彼の帰りを待った。
しかし、その後、いつもだったら、直ぐに帰って来る彼がまだ、帰ってこなかった。
私は待った。
すると、彼を待って、3時間後、彼は帰って来た。
「只今!」
そう言い、
「おかえり」
と答えた私に飛びつき、抱きしめた。
暫く抱きしめたままだった。
口も開かず。
ただ、抱きしめた。
20分くらい経って、彼は、私の目の前に赤い薔薇の花束を向ける。
「おめでとう!」
「何のこと?」
「プロエジェクト、任されたんでしよ?」
「え?なんで、知ってるの?」
「会社のプロエジェクトの人から聞いたんだ」
「そうなんだ…」
そして、彼は、私に祝ってくれた。
今日の夕飯は、キャベツと人参、もやし、キノコや入った野菜炒め。
醤油の味が染みた生姜焼き。
ホッカホッカの白米。
もやしとお豆腐の入った味噌汁。
はーぁ
息を吐く。
キャベツが柔らかく、ほんのりと甘い。
人参やキノコ、もやしも味付けと合っており、美味しい。
生姜焼きのいい匂いが部屋中に漂っている。
お肉が何といっても、柔らかく、醤油との相性が良い。
美味しい。
やっぱり、味噌汁は、身体に染み渡る。
美味しい。
「美味しい」
彼は、私がそう言うと、微笑んだ。
幸せ。
幸せに浸る私。
彼は、そんな私を見て、微笑んでいる。
外では、月がそんな私を見守っていた。