表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/17

2日目

2日目。



ちりりりり、ちりりりり


ちりりりり、ちりりりり


目覚まし時計が鳴り響く。


まだ、ベットの布団の中で潜っている。


ちりりりり、ちりりりり


ちりりりり、ちりりりり


部屋中に響き渡っている。


ちりりりり、ちりりりり


ちりりりり、ちりりりり


しつこいくらいにまだ、部屋中に響き渡っている。


容赦なく鳴り続ける。


ちりりりり、ちりりりり…


それは、突然止まる。


もぞもぞと布団が動く。


私は、目を覚ます。


時間は、既に、8時を指していた。


はっとする。


やばい!


「やばい!」


思わず、口に出る。


「うーん…」


もぞもぞする。


うん?


彼がまだ、布団に入ったままである。


「ねえ、ねえ!」


揺らしながらも、起こす。


しかし、もぞもぞはするものの、布団から出ようとしない。


「ねえ、ねえ!」


「…」


やっと、布団から顔を出す。


「8時だよ!」


その目はぱっと開く。


「やばい、やばい!」


布団から、身を出し、動き始める。


急いで、お互いに、支度をする。


「やばい、やばい!遅刻する!」


支度を終え、ドアの鍵をして、二人して、家を後にした。


走り。


走り。


走る。


気が付いたら、手を繋いでいた。


その手は、暖かく、私よりも遥かに大きな手。


足は、止まらない。


走り続ける。


お互いに白い息が肩から出る。


はあはあ


はあはあ


途中の曲がり角で分かれる。


その曲がり角まで来ると、その手は、離れる。


暖かくて私よりも遥かに大きな手。


はあはあ


はあはあ


お互いに息は白いまま。


風は、冷たい。


「じゃあ、行って来ます」


一瞬止まった空気が動いた。


口から出た息は、白い。


「行ってらっしゃい」


お互いに足は、少し動いていながらも、進む方向へ向ける。


手を振る。


微笑みながら。


小さく私は、振り返す。


口からの息は、相変わらず、白いまま。


吹かれた冷たい風で、首に巻かれていた赤いマフラーの端がゆらゆらと揺れる。


そして、仕事場へとお互いに行った。




仕事場に入ると、暖気が来る。


暖かい。


少しほっとする。


自分の席に着き、息を吐く。


はーぁ


そして、机の上に置かれたパソコンを開き、電源を付ける。


パソコンがやっと、立ち上がり、仕事に打ち込んだ。


パソコンと向かい合う。


ぴゅー、ぴゅー


風の音がはっきりと聞こえる。



気がつくと、もう既に、12時半になっていた。


私は、鞄から、包まれたお弁当箱を広げる。


彼の手作りである。


黄色のふわふわとしてそうな玉子焼きと、定番とでも言えるウィンナー、ピーマンの肉詰め。


昨日の夕飯の残りのヒジキ。


冷めてはいるけれど、見た目が美味しそうである。


私は、箸を持ち、ふわふわとしてそうな黄色の玉子焼きを一口、口に運ぶ。


ふわふわとしている。


甘めではあるが、美味しい。


ピーマンの肉詰めも美味しい。


お昼を済ませ、仕事場にある自販機で、暖かいホッとコーヒーを手に取る。


自分の席に戻り、それを口に一口、運び含ませる。


はーぁ


息を吐く。


コーヒーをもう一口、口に運び含ませ、再び、息を吐く。


はーぁ


背伸びをして、再び、仕事を再開した。


パソコンと向き合い、打ち続ける。


打ち続ける。


更に、打ち続ける。


暫くして、コーヒーを口に運び、水分を含ませる。


はーぁ


息を吐く。



仕事を終え、帰宅した。


帰ってる途中である。


静かな夜だった。


冷たい風が吹いて、雑草たちが、激しく揺れている。


カンカンと鳴り出す踏切。


電車が通る音。




家の前まで来ると、カーテンの向こうは、灯が点いている。


ドアを開け、部屋に入って行った。


「ただいま」


部屋の奥まで入って行くと、テーブルの上には、夕飯が載っている。


人参やキュウリが入ったポテトサラダや、美味しそうに焼けていたハンバーグ。


大根の入った暖かい味噌汁。


私は、電子レンジで温め、口に運んだ。


美味しい。


肉肉しいハンバーグ、暖かい味噌汁。


はーぁ


幸せの息。



彼は、明日、早いらしく、先に寝ていた。


私も、食事を済ませ、風呂に入り、眠りについた。



夜空の星がきれいに輝いた夜だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ