真っ白に包まれて2
ゆったりとまだ降っている雪。
まるで、白い綿がちらちらと降っているようだ。
空も空気とまだ真っ白であり、雪景色が広がっている。
「…華!」
そう呼ばれた先を見ると、もう既に、少し離れたところに彼はいた。
「冷たっ!」
すると、悪そうな顔をして、立った彼。
げらげらと笑っている。
当たった雪玉が私の頰に少し着く。
そんな彼にムッとした私は、丸くした雪玉をげらげらと笑っている彼に向けた。
「冷たい!」
そう叫ぶ彼。
私は、そんな彼を見て、さらにニヤッとした顔を向ける。
「やったな!」
「冷たい…」
頰から腕で雪を拭う。
すると、走り、私からさらに離れる。
それを追いかけ、作った雪玉を投げ付ける。
「冷たい…」
彼は、再び…
「冷たい…!」
投げつけてきたその雪玉を大きくしようと考え、私は負けじと仕返した。
しかし、彼には、一つも当らず、地にただ落ちる。
「…うーん!」
ムッとした顔を向ける。
そんな私を見て、げらげらと笑っている。
私は、先程よりも大きな玉を二つ作り、彼に向けようと後ろを振り返ると、ばっと私の身体に何かが纏わり付いた。
「…」
手に持っていた雪玉を思わず手から離してしまい、さらにその雪玉は、地に落ちる。
白い息を吐きながら、私を抱き締めている彼。
それから、強く抱き締め直す。
そして、バタン!となった。
冷たい。でも、暖かい。
「…華…」
「うん?」
「…呼んでみただけだよ!」
私が仕返しをしようと口を開こうとした時、その口は閉ざされた。
口元だけが温かい。
「…」
「…」
唇と唇が離れた時、治ったかと思っていた雪が再びゆったりから少し強くなる。
横になって向き合った私と彼。
その時だった。
「ぐーぅぅ!」と私のお腹が鳴った。
「…」
「…お腹、減ったな」
「…」
少し頰を赤くして照れる私。
「…今日、クリームシチューにでもしようか…」
「…うん!」
家に入り、彼はキッチンに立つ。
冷蔵庫から食材を出し、ジャージャーとしたりたんたんとカットしたり、ジュージューとしたり…
彼が夕食を作ってくれている間、私は、小さな雪玉を4つ作っていた。
すると、「出来たよ!」と呼ぶ声。
「…はーい」
私は、ベランダの端のところにそれを置いた。
その二つともが、一瞬だけ微笑んだように見えた。
「…え?」
「華!」
「…何でもないか…気のせいか…行くよ!」
うーん…何かが足りない…
「華!」
「…うーん…」
あ…そっか…私は、そう思う。
そして、二つの小さな雪だるまに、持っていたハンカチをマフラーの代わりに付けた。
「華!」
「…うん…」
私は、立ち上がり、食卓に行くと、テーブルの上には、既に、人参やブロッコリーを小さく刻んだもの、じゃが芋、スライスさらた玉ねぎ、それから鶏肉も入った真っ白なシチュー。
そして、白飯に、細々としたおかずが並んでいた。
「ふーん」と私は息を吸う。
「いい匂い…」
彼は、キッチンからテーブルに来て、座る。
私も彼が席に着いたと同時に座った。
「…食べようか!」
「…うん!」
「…じゃあ…頂きます…」
二人ともまるで合わせているように言って、微笑み箸を持ち、口に運んでいった。
柔らかい鶏肉。じゃが芋もシチューに浸っていて柔らかい。
クリーミーであり、柔らかな味。
「…美味しい…」
彼の顔を見ると、彼は、微笑んでいる。
そして、「当たり前だろ、僕が作ったんだから」と彼は言う。
「…そうだね!」
「…これも美味しい!」
細々としたおかずの中の煮た南瓜。
「…柔らかい…」
今にも、ほっぺが落ちてしまいそうだ。
「うーん…」
「…お前、本当に何でも美味しそうに食べるよな」
「だって、美味しいもん!」
「…そっか」
「うん」
微笑み合い、お喋りをしたり、幸せに包まれていた。
そして、その小さな二つの雪だるまは、私達を温かく見守ってくれているように、微笑んでいた。
しかし、翌日、軽やかにからっと気温は上がり、晴れた。




