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真っ白に包まれて1

「しょう!」


「ねえ、しょう!」


「…」


「しょう?」


「ねえ!ねえ!ねえ!」


「起きてよ!しょう!」


「…うーん…」


「ねえ、見て!見て!」


「どうしたの?」


「早く!早く!」


「……うん?」


彼は、やっと、ベットから地に足を付かせ、


「…うーん?」


まだ、時間は、6時。


少し暗い朝。


まだ、眠い彼のちゃんと開かない目。


ベランダにいる私。


「ねえ、ほら!」


「……」


眠い目を擦って、彼は、私と同じ方向を向く。


そして、私が指したその先の指を辿っていく。


「…うん?」


「雪!雪だよ!雪!」


真っ白な空気。


真っ白な空。


真っ白な街。


どこの家の屋根も人が歩く道も真っ白に染まっている。


はしゃぐ私。


二人で、降っている雪を暫く眺めていた。


彼は、私を自分の胸の辺りに引き寄せる。


どきどき


冷えた空気。


「寒くない?」


彼は、私に言う。


「大丈夫だよ!」


そう私は、応えたが、彼は、後ろから、カーデガンを掛けた。


真っ白に染まる景色を私は、眺めたまま。


それから、子どもみたいにはしゃいでいる私を見て、彼は、


「コーヒー、飲んで、身体を温めてから、外に出ようか」


「うん!」


テンションが上がる私。


それを見て彼は、微笑んでいた。


そこに、


ジリジリ、ジリジリ、ジリジリ、ジリジリ…


部屋中に鳴り響く目覚まし時計。


その目覚まし時計がいつもとは違って耳に入った。


私は、キッチンに行き、コーヒーをセットした。


ゆらゆらとゆっくり降り続ける雪。


まるで、綿菓子のようである。


息をはーぁとすると、息まで真っ白。


彼は、コタツに電源を付け、足を突っ込む。


そして、身体を温めていた。


冷え切った部屋。


私も、彼が足を突っ込んだコタツに、足を突っ込んだ。


はーぁ


落ち着く。


すると、突然、彼は、私の足と自分の足を絡ませる。


「華…」


私を呼ぶ。


「うん?」


だんだんと顔と顔の距離が近くなっていく。


私の髪を彼は、撫でるように、触れた。


唇と唇の距離が近い。


目を瞑る私。


しかし、彼は、そんな私を見てなのか、


私の額に、オッケーマークを作って、


「痛い…」


触れたのだ。デコピンされた。


「痛かった?」


意地悪な感じで、聞く。


「…」


そして、彼は、笑っていた。


そんな彼を見て、拗ねたような怒ったような顔の私。


彼から故意に、視線を外す。


機嫌を悪くした振りをしたのだ。


「ごめん…」


「…」


「ごめん!」


「…」


「どうしたら、機嫌直してくれる?」


「…」


頰を膨らませている私。


少し、意地を張り続けようと、許すことを思っていたが、彼は、微笑んでいる。


「ねえ、華」


「…」


「ごめん…本当にごめん」


私は、彼の方へ振り返る。


それを待っていたかのように、顔の距離はさっきよりもさらに、断然と近く、


どきどき


心臓が…


どきどき、どきどき


だんだんと音が大きくなっていく。


本当に、近くなった時、


「今度は、騙されな…」


まだ、発していたところだった。


彼の唇と私の唇が触れた。


口付けをした。


暖かい彼の息と温もり。


彼に聞こえてないかな?


ドキドキ


この音が。


振動のように、響いていないのだろうか。


「華…」


いつもよりも、迫ってくる彼に、ドキッとしていた。


いつもは、そんなに、迫って来ない。


もう一度、唇と唇が触れようとした時、


ピピピッ、ピピピッ、ピピピッ、ピピピッ


私と彼は、その音に、お互いに顔を見合わせる。


そして、微笑み合った。


彼は、私の額に、自分の額を当てた。


どきどき


暫くして、額と額が離れた。


私は、コタツから突っ込んだ足を出し、キッチンに立ち、セットしたコーヒーを2つのそれぞれのカップに注いだ。


温かいコーヒーの湯気とカップ。


それを彼のところに持って行き、


「はい!」


コタツに足を突っ込んだままの彼に、手を伸ばす。


すると、


「ありがとう」


そう言い、彼は、手を伸ばし、そのコーヒーの入ったカップを受け取る。


そのコーヒーのカップを持ったまま、手を温めて、口に運んだ。


ふーぅ


私は、コタツに足を突っ込んで、


「頂きます」


小さい声で、呟くように言って、口にコーヒーを運んだ。


彼と同じように、ふーぅと。


外は、さらに、真っ白な景色へとなっていった。


さっきよりも空気は冷え、震えるノラ猫。


さらに、真っ白に染まる屋根。


そのまま、静かにゆっくりと雪は、真っ白に染めようと降り続いていた。


さらに、部屋の温度も下がっていき、彼が、私のよこに来て、コタツに足を突っ込み、抱き締める。


「こうすれば、もっと、温まるでしょ」


どきどき


なかなか、治らない心臓の音の朝だった。


苦いコーヒーが砂糖を入れた訳でもないのに、甘く変わりつつある気がする。


彼と私は、同時くらいに、コーヒーの入ったカップを手に取り、口に運び…


ふーう


「温まるね」


「…そうだね」


私は、少し、照れたように言った。


真っ白な中に私達は、包まれていたのだった。


「華!」


「うん?」


「雪、ゆったりとなって来たよ」


「あー、本当だ!」


窓の外を見る二人。


「行く?」


「うん!」


コーヒーを私達は、少しずつ、飲み干していく。


はーぁと身体を温めた後、ニヤニヤとした顔になってしまう。


そんな私の顔を見る彼。


「好きだよ」


「…え?」


「…」


「…」


突然、不意に言われ、戸惑いを隠せない私。


顔が二人して、真っ赤に染まってしまっていた。


「…」


少し気まずくなってしまった空気。


黙り込んでしまった彼。


「…あ…」


何か話さないと…


そんなことを考え、うじうじとしていると、暫くして、彼は、まるで何事もなかったかのように見せ、


「…行くか!」


私は、その言葉に素直に


「うん!」


そう微笑みながら首を縦に振り、嬉しそうな子供のようにそう言った。

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