季節ハズレの空
23日目。
ジリジリ、ジリジリ!
ジリジリ、ジリ…
ばん!
………
「うーん…」
私は、ベットの上に座り込み、ぐーんと背伸びをした。
「おはよう…」
そんな私に抱き付いてきた彼。
「おはよう」
そう返すと、
「うーん…」
強く抱き締めた。
「どうしたの?」
「うーん…」
「…」
「…」
「コーヒー、淹れるね」
「…」
彼の手を退かし、ベットから離れた。
キッチンに向かい、キッチンに立ち、コーヒーをセットした。
まだ、眠いのか、彼は、二度寝をし始めた。
「あー…」
そんな彼に、
「起きて、起きて!」
そう声をかけると、
目を開けた。
ピピピッ、ピピピッ…
コーヒーができた音。
「出来たよ、コーヒー!」
「…うん…」
目を閉じようとしている彼。
「起きて、ねえ!」
声をかけ続ける。
「うーん…」
上半身を起こしたと思ったら、
私に抱きつく。
「キスして…」
彼が言う。
「え?」
「キス…」
目を閉じている彼。
「…」
どきどき
どきどき
心臓の音が高鳴る。
「…」
待っているような彼。
どきどき
どきどき
私は、唇を彼の頰へとゆっくりと近づいていき…
一瞬だけの秒針の一度の音だけが耳に入る。
触れた。
すると、彼は、魔法でも掛けられたかのように、目を開ける。
白雪姫かって!
しかも、逆やろ!
そんなことなんて、御構い無しに彼は、
「おはよう…」
そう言い、私の唇にキスした。
そして、やっと、起き上がり、支度をし始めた。
「はい、コーヒー」
そう言い、手渡しすると、
ふうふう
かわいい♡♡♡
コーヒーの入ったカップを右手に持ち、ずーっと吸い口に運んだ。
時計の時間を見て、
「行かないと…」
少し残ったコーヒーをずーっと飲み干し、
「行くか!」
そして、二人して、外に出て、鍵をする私。
鍵をした私に、
「手!」
そう言い、手を伸ばす。
「…」
私は、照れながら、その手を握る。
「行こう!」
手を握ったまま、私の手を引っ張りつつ、走る。
はあはあ
「…」
「…」
あっという間に分かれ道に来てしまい、その手は、離れ、次第に遠のいて行く。
「じゃあ、また!」
そう言い、彼は走って行く。
手は、私に後ろ姿でも暫く振ったまま。
その姿を暫く、私は、見守っていた。
姿が完全に見えなくなってから、
仕事場へと向かった。
いつも通りに、
ピッ!
タイムカードを押し、仕事場に向かっていた。
すれ違う人々に、
「おはようございます」
「おはようございます」
「おはようございます」
………
自分の席に着き、パソコンを立ち上げ、その間にコーヒーを買いに自動販売機へ。
ピッ!
ガラン
押したボタンの通りのいつも飲むコーヒーの缶が出てくる。
残ったお釣りも取り出し、再び、自分の席に戻る。
ポンッ!
缶を開け、一口、口に運び、喉に通す。
そして、
ぐーんと背伸びをし、身体に伸ばした後、
「よし!」
気合いを入れ、パソコンと向かい合った。
ポツポツ、ポツポツ…
パソコンと向き合い、どんどんと来る書類作成。
ポツポツ、ポツポツ…
ポツポツ、ポツポツ…
缶コーヒーを手に取り、口に運ぶ。
ポツポツ、ポツポツ…
そんな時、
「これもよろしく」
書類を渡され、
「はい」
そう返事をして、
ポツポツ、ポツポツ、ポツポツ、ポツポツ…
一度、仕事のきりがつき、時計を見る。
「…」
12時23分。
ふーぅ
そこに、
「お疲れ様です!」
元気いっぱいの後輩。
「お昼、まだ、ですよね?」
「…うん…」
そう言い、いつも通りに、食堂に行き、一緒にお昼を食べていた。
食べていた時、
「先輩!」
「うん?」
「先輩って、彼氏、いるんですか?」
「え?」
「そう言えば、聞いたことないな…なんて」
「………いるよ………」
「えーーーーー」
「…」
「すっすいません!別に、あの…」
焦り出す後輩。
「意外?」
「…意外って言うか…」
下を俯く後輩。
「一応ね…」
「…」
「…」
「なんか…すいません…」
「…いや、別に…」
「そっか!いるのか!」
腕を上に上げ、両手を絡ませ、ぐーんとする。
「…でも…なんで…突然….」
「…実は…」
がらがらとした食堂。
たくさんの人の声の中を彼女の少し低い声が耳に入った。
「そっか….」
「…それで…」
いつも通り、彼女は、元彼の話をし出した。
いつもと違うところと言えば、合コンに行って、元彼よりもかっこいい人を見つけたという話。
「うん…うん…」
ただ、頷きながら彼女の話を聞いていた。
ポツポツ、ポツポツ…
ふーぅ
残った少しのコーヒーを口に運び、ずーっと飲み干した。
ぐーんと身体を伸ばし、帰る支度を始めた。
そして、
まだ、残って仕事をしている上司に、
「お疲れ様でした」
そう声をかけ、家へと向かっていた。
真っ暗な空。
静かな夜。
空には、星が一部キラキラと光っていた。
しかし、帰っていた帰り道の途中に、いつも彼と行きに分かれる分かれ道まで来た時、
「結菜!」
呼ぶ声がした気がした。
しかし、目の前に彼の姿は見えなかった。
「結菜!結菜!」
彼の再び呼ぶ声。
すると、走って来る。
「え?」
上を見上げると、
ヒューーーー…
パン!
ヒューーーー…
パン!
ヒューーーー…
ヒューーーー…
ヒューーーー…
パン!
パン!
パン!
「え?」
2度自分の目を疑った。
ヒューーーー…
「結菜!」
私の手を握る彼。
はっとする。
「しょう…」
「冬なのにな」
「…うん…」
その場で二人で花火を見た。
ヒューーーー…
パン!
最後の一番大きな花火まで。
2つの手は、強く繋がれたまま。
そして、不意に、私の影と彼の影の唇は、合わさっていた。
花火は、私達に、サプライズしたかのように、散っていった。




