22日目。
22日目。
ジリジリ、ジリジリ
目覚まし時計が部屋中に鳴り響く。
そんな中…
彼の腕を枕にして眠っている私と私側に顔を向けてまだ目を閉じている彼。
ジリジリ、ジリジリ…
私は、はっと目を覚ます。
そして、ゆっくりと身体を動かし、布団を避ける。
横を向くと、まだ、目を閉じて眠っている彼。
「…」
時計を見る。6時半。
「うーん…」
ぐーんと身体をよく伸ばし、ベットから足を地に着かせた。
寝ている彼の頰に触れてみた。
頰をむっとしていてみたり、人差し指でなぞってみたり…
すると、その手を掴まれた。
「うーん…」
「…」
「おはよう….」
「…おはよう…」
更に、私を引き寄せる。
そして、
「結菜…」
「…うん?」
その時だった。
唇が彼の唇に合わさった。
「…いい目覚ましだ」
「…」
顔を真っ赤にする私。
それを見て、意地悪そうな顔をした彼。
秒針の音が部屋中に響いている。
「起きるか….」
そう言い、私を突然持ち上げ、お姫様抱っこ♡
「ねえ…ちょっ….」
「どうしようかな?」
意地悪な彼。
「ねえ、おろしてよ」
「えー!どうしようかっな?」
意地悪な彼。
私の膨れた顔を見て、再び、唇と唇が合わさった。
「やっぱり、いい目覚ましだ」
そう言った後、私の足を地に着かせ、
「うーん…」
大きな欠伸をした。
それから、支度をお互いにし始め、
「会社に行きたくないな…」
「えー」
「ずーっと、一緒にいたい」
「…」
「ずーっと、このままで」
私の口元は上がっていた。
「結菜…」
「うん?」
「…ただ、呼んでみただけだよ」
彼のこの感じがかわいい。
「しょ…う…」
「うん?」
「呼んでみただけ」
彼は、着替え始めようとしていた私を抱き締めた。
そして、朝から、3度目のキス。
幸せ。幸せ過ぎる♡
頭の中は、彼のことでいっぱいに広がっていた。
「今日、夜、外食でもする?」
「え?」
「たまには、どう?」
思わず、
「うん!」
彼は、私の頭をぽんぽんとした。
幸せすぎて…怖いよ…
再び、頭をぽんぽんとした。
「じゃあ…仕事、終わったら、連絡するね」
「うん!」
首を縦に振りながら、頷いた。
それから、二人で家を出て、歩き始めた。
少し歩いたから、彼の手が私の触れ、握った。
私が彼のほうを見ると、
「こっちのほうがいいでしょ?」
口元が上がる私。
そして、その繋いだ手をジャケットのポケットの中に入れたのだ。
「これで、もっと、暖かいでしょ?」
少し下を俯いた私。
口元が上がる。
だって…
うれしいから。
首を縦に振り頷いた。
その手は、強く握られていた。
分かれ道に来ると、その手は、離れた。
「じゃあ…」
「うん…」
「仕事、終わったら連絡するから」
「うん」
少し口元が上がった私は言う。
そして、彼は、手を振り、私も手を振り、少しずつ、歩き始めた。
彼の姿が遠くなり、彼が走り始めていた。
私は、そんな彼の姿を見守っていた。
更に、空を見上げながら、ニヤニヤとしてしまっていた。
はっとする。
時計を見る。8時半過ぎ。
「やばっ!」
急いで、仕事場へと向かっていた。
しかし…
幸せ過ぎる日々を送ってばかりいる私に…
神様は…
どん!
歩道を走っていた私。
電柱に突っ込んだ大型のトラック。
私の周りには、真っ赤な液体。
「大丈夫ですか?大丈夫ですか?」
「警察!」
「もしもし…」
微かに耳に入る騒いでいる人達の声。
………
目を開くと、そこには、黒いポツポツとしたもの。
目の中に入った。
「結菜!結菜!わかる?ここがどこだか、わかる?」
聞いたことのある声。
優しくて細く、高い声。
ふと、その視線を見る。
すると、そこには、母がいた。
「結菜…」
しくしくと泣いた母。
その聞いたことのある声は、母の声だった。
「お母さん…」
呟くような小さな声。
ホースみたいなのに、繋がれた腕。
横には、人が集まっている。
「わ…私…」
「大丈夫?」
「何が…」
「あなたはね、車に…」
「…」
「お父さん…千紘…」
それぞれを見て言う。
「お姉ちゃん!」
「…」
「そっか…」
病院の先生曰く、特に何の異常もなし。
ほっとする母。
それを支えた父。
「良かった….」
そう発した妹の千紘…
家族の姿であった。
呟くように、
「あれは…夢だったのか…」
目から一雫の涙がたらっと流れた。
それと同時にどこか、ほっとしていた。
しかし…
その日の夜、目を閉じると…
眠り付いていると…
目を開いた。
カーテンとカーテンの隙間から太陽の日差しが少し射している。
暗い部屋。
横には、隣で眠っている彼。
暫くして、
ジリジリ、ジリジリ…
いつも通りに部屋中に鳴り響く目覚まし時計。
「え?」
「…」
「何これ…?え?え?え?」
そんな動揺している私。
「うーん….」
寝返りを打つ。
ちょんちょんと彼の頰に触れて見る。
「…」
「…」
「うーん…」
目を開く彼。
「結菜…おはよう….」
「…おはよう…」
「大丈夫?」
「え?」
「昨日、事故に巻き込まれそうになったって」
「…」
「うん?」
え?確か…私…
動揺している私に、
「でも、良かったよ、何もなくて」
「…うん…」
私…生きてる?
現実がよくわからない。
どうなっているのだろう…
戸惑いと動揺の両方があった。
「結菜…」
「うん?」
彼は私を強く抱き締めた。暫く、離そうとはしなかった。
もう、いいっか!
今は、これでも。
そう心の中で思っていた。
だって…
こんな夢みたいなこと…




