俺は何をしたらいいのだ?
思ったのだがこの小説、一人称と三人称がごちゃ混ぜになっているぞ。
誤字脱字があるかもしれん。
それでも大丈夫な方はごゆっくりー
「あらゆるものを神回避する程度の能力? 悪くはない」
紫がつけてくれた名前に不満は無かった。自分でつけたらもっとへんてこりんな名前になってしまうからだ。
さて、俺に能力があることを知ることができた。じゃあこの後はどうするか。
俺は紫に、この後どうすればいいのかを聞いた。この世界のことなんて全然分からないから、紫に教えてもらいたかった。
しかし、紫は首を縦には振らなかった。横に振ったのだ。
「じゃあ俺をどうするつもりなんだよ?」
「自分で考えなさい。安心しなさい、危険なことがあってもあなたには能力があるじゃない」
いやいや、能力関係ないから。知らない世界でサバイバル出来るほど便利な能力じゃないから。
紫は俺の抗議を気にも留めず、思い出したかのように、
「そういえばあなた、名前は?」
「武田避也って言うけど、そんなことよr…」
「それじゃあ頑張ってね避也」
俺の言葉を遮って早口でそう言い残し、スキマを使いどこかへ行ってしまった。
「…………」
独りになってしまった。まだ聞きたいことがたくさんあったのに。元の世界へ帰してくれって言ったのに。一方的に話を進められてしまった。
「俺はこれから何をしたらいいんだ!!」
俺は異世界の地で叫んだ。
さっきの出来事が衝撃的すぎて気がつかなかったが、ここはどうやら山の中らしい。しかも、少し空が薄暗くなってきている。人の気配は全くない。風が木々を揺らし、不気味な雰囲気をつくり出している。
ここにいつまでもいるのは危険だと判断し、山を降りようと足を踏み出した。紫の話が本当なら、いつ妖怪に襲われてもおかしくない。
すると、後方で何かが光った。カメラのフラッシュのようだ、いや、そんなものがここにあるはずない。声を漏らしそうになりながら後ろを振り向くと、そこには黒髪ショートで赤い瞳、赤い烏帽子をかぶり、下駄をはいてカメラをもっている少女が立っていた。
「どうもー、清く正しい射命丸です!」
「え? ど、どうも」
射命丸という少女は俺を興味深そうに見ている。そして、ペンと手帖を取り出して何かを書き始めた。すごく怪しい動きをしている。
これも妖怪なのか。見た目は人間の少女そのものだ。下手したら俺より年下に見える。
「お前は何者なんだ?そして何が目的だ?」
まずは話を聞こう。紫よりは話しやすそうな雰囲気だし。
「二回目になっちゃいますけど、射命丸文と申します。天狗です。新聞記者やってます」
て、天狗ぅ!? まさか天狗に会えるなんて夢にでも思わなかった。心拍数が急上昇。
でも、イメージとは違う。そんなものなのか。それに、新聞記者をやっているって、天狗がそんなことするのか。
「で、あなたは外の世界の人間ですね?」
ずばり聞いてきた。こっちでは外の人間は珍しいのか。
「そうだけど」
「やはりそうでしたか。では取材をさせてください」
と、いきなり頼まれた。それが目的か。そんな程度のことならいくらでも受けてやる。
「別に構わない」
「ありがとうございます。では、始めにお名前は?」
「武田避也だ。武士の武に田んぼの田、避けるという文字に也だ」
すぐに手帖にメモをした。
「なるほど、次にどうやってどうやってこの幻想郷へ?」
「八雲紫という奴に無理やり連れてこられた」
「へえー紫さんが。では次に……」
この後三十分くらい質問攻めにあった。能力の話とか、家族の事とか、外の世界のさまざまなこととか。全部答えてやったぜ。
「ありがとうございました。では後日新聞を発行させていただきます」
そう言って空を飛んで山の頂上の方へ向かっていった。
なんだか疲れた、なんて事を思っている場合じゃない。辺りはすっかり暗くなってしまったのだ。足元は真っ暗で何も見えない。
ふと、空を見上げるとそこには満天の星空が。そして近くには大きな月が。俺の世界ではまず見られなかった景色に、思わずみとれていると、左の方から獣のような鳴き声がするのが聞こえた。
気がついた俺が声のした方を向いた瞬間、熊のような何かが飛びかかってきた。