動くアレ。
某有名ネタ。
そして私が現在執筆しているもう一つの小説ジャンルです。
(なろうではありませんが…)
黒色の、身体に対して大きめのとんがり帽子。それを白いリボンが彩っている。
その帽子の中から金髪が覗く。
垂れたお下げにも白いリボンが結わえられている。
そして、ニヤニヤと見下した表情を浮かべているこの生首モドキは、どこからどう見ても前世のマンガで見た不思議饅頭、"ゆっくりまりさ"だった。
後ろの2人はゆっくりと言うものを知らなかったようで、戦々恐々としているが僕の思っている通りならコイツに戦闘能力はない。
ついでに言うと根気もないので戦闘にはならないのが普通だ。
「どうしたのぜ?まりさにおびえてこえもでないのぜ?」
ただ、この生物はとにかく人の精神を逆撫でするのに関しては天才的な技能を誇る。
その弱さとは分不相応にも程がある自信家なのだ。
なので、ちょっと蹴って斜面を転がらせてみると―
「ゆべっ!ゆ゛っ!ころがっ!るんじゃっ!ないのぜ!」
固い石畳の上を転げてゆくまりさ。幸い、咥えていた木の枝は既に取り落としたようだ。
あのまま咥えていたら、そのまま貫通即死コースだったろう。
そのほうが幸せかもしれないが。
改めて山を下って行くと、先ほどのまりさの所にもう数匹現れていた。
「まりさあぁぁぁ!しっかりしてえぇぇ!」
「「おちょーしゃん!?ゆっきゅりしちぇいっちぇにぇ!」」
どうやら家族らしい。
結構なことだが、道の真ん中でドラマを繰り広げないで欲しい。
それに、まりさは既に虫の息なんだが。
僕らが横を素通りしようとすると、予想通り絡んできた。
「おい、くそにんげん!れいむはまりさがえいえんにゆっくりしちゃってかわいそうなんだよ!だからあまあまちょうだいね!」
「しゃっしゃとよきょしゅのじぇー!」「ばーきゃばーきゃ!」
ちなみに、ゆっくりの小説を読んだこと無い方に説明すると、
あまあま=甘い飲食物
永遠にゆっくり=ご臨終
赤ゆ言葉=不自然なレベルで崩した赤ちゃん言葉
である。
さて、僕が1人だったらゆ虐開始と洒落こむ所なのだが、後ろ2人の人目もあるので、ここはさっさと潰して通りぬけなければ―
「てやっ!」「とうっ!」
刹那、相手が弱いと分かったアルトとモモカがれいまり夫妻に蹴りかかった。
ボスン、と柔らかな音がして飛んで行く2つの饅頭。
赤ゆたちはそれを呆けてみていたが、ようやく事態がつかめたのか、ゆんやゆんやと泣き出した。
さて、先を急ぐか。
なんだか、書けないと小説を放置しようとしたら書く気が湧いてきた。
不思議なものである。




