日記帳。
お出かけによってストックが一つ減った…かなしい
城跡に立ち入る。
瞬間視界が揺らいで、何かのバッドステータスを受けたかと回復魔法を使うが効果はない。
一応、念のため便利な《完全障壁》を起動して、先に進んだ。
やはり、意図的なのか何なのか、城跡だけ壊され方がまばらだ。
城下町はそれこそ均等に、平等に壊されていたのだが、ここは軽く崩してから要所要所を焼き払ったみたいな瓦礫だ。
まるで、粗探しした結果都合の悪いものだけを処分したみたいに。
つまり、僕ないしは誰かががここに来るのは想定済みってわけだ。
ふーむ、そんなところからヒントが手に入るだろうか。
まあ、いっちょ探してみるか。
瓦礫を避けながら、周囲を捜索する。
ちなみに、腕力などは幼女化していないが、元々男の姿だった頃から弱いので大して変わりはない。なので、魔力によって筋力を強化しながら瓦礫を投げ飛ばしている。
崩れているところには小石と砂しかなかったため、後で何か《[Nice! RPG Editor]インポート》して修復してみようと思う。
なのでとりあえず、ここに来た誰かが大事と思わなかった部屋、つまり損傷のマシな部分を調査する。
しかし書類は焦げて読めなくなり、道具は半壊、家具も辛うじて原型が分かるレベルなので結局修復系の魔法は必要っぽい。
ここまでする必要あるのか?
流石は城というべきか、部屋はたくさんあるので、それを片っ端から総当りで調べる。
1枚くらい、書類が生き残ってるかもしれない。
そんな期待を浮かべながら、城を探索し続けた。
城の端辺り、角の一室。恐らく使用人の一室と思われるシンプルな女性の部屋(の瓦礫)に、日記帳が挟まっていた。
「へー、これだけ綺麗だ…凄い」
そう、その日記帳は文字がくっきりとしていて、焦げ目もない。
裏を返してみると、そこには状態保存系統と思われる魔法陣等が複数描いてあった。
■魔法陣
描画者のイメージを特定のパターンに変換して描き表したもの。
魔力を注ぐことによって、魔力供給者はイメージ無しで魔法を発動できる。
ただし起動に時間がかかるため、戦闘では待ち伏せ以外には使われない。
■《遺志相伝》
魔力供給者の死亡後、誰かにそれに込められた思いが伝わるまで描画対象のモノの状態を保護する。
魔力供給者、及び描画者は干渉可能。魔力は、これを破壊しようとする攻撃から吸収するため、魔力を完全に取り除いた物質での物理攻撃には効果がない。
ふうん…そんな魔法があるのか。
しかし、一介の使用人に持たすには勿体無い品だな…私物か。
さて、読むか。
日記帳ってことは、読まれるために遺したはずだもんな。
…って、あれ。おい、日記帳の文字滲んでるぞ。
多分この魔方陣、イメージが不完全だな。もしかしたら、「壊される」のを防ぐためだけに付与したのかもしれん。
読める部分は…例によって、テンプレ通り最後の1ページだけだな。
有り難いっちゃ有り難いかも。読まないといけない部分が減るし。
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XX月YY日
今日はいよいよ奴を倒す日です。
大丈夫です、練習しましたから。不意打ちなら、奴も反応できないでしょう。
彼は自信満々。油断だらけです。
こちらの攻撃は弾かれた
城が火の海に
誰も出られない
せめて、この時のことは保存す
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最後焦りすぎだろ、と思ったけど当然か。周りが火の海で、逆に悠長に日記帳書ける奴の精神力パないな。
そして、最後の1行。
《遺志相伝》使えるって、どんなハイスペ使用人だよ!
いや、よく考えるとその魔法って死ぬこと前提だからかなり不吉だよな…うう、考えたくない。
その時、ふと視界が揺らいでいるのが目に入った。
転移魔法の反応じゃない。これは…?はずは敵反応か調べるか。
そう思うが、何故か《[地下の迷宮] オートマッピング》が起動しない。それどころか、常時発動のはずなのに停止している。
《[地下の迷宮] オートマッピング》を起動しようとした直後、揺らぎが強くなるのを感じたが、その時既に遅し。
筋力強化さえ切れ、身体に力が入らなくなる。
なにこれ。新手のトラップか?
しかし近接戦闘術なども魔力依存スキルに頼っているミライでは、スキルが発動しないこの状況ではどうすることも出来ない。
しかし為す術無くというのも嫌である、僕は苦し紛れの《鑑定》を発動させた。
■《回復転換》
設置型。対象から見て、体力と魔力の回復分をダメージ分とする。(つまり、回復力が強いほど継続した大ダメージを受ける。)総魔力量の多い人には効果が現れるのが遅れるが、対象から魔力を吸収して、その魔力でまた吸収を繰り返すため、秒間吸収魔力は無限大に膨れる。
《鑑定》のサービス追加情報:術者は異世界チート転生者の一人。術者のチート能力はこの魔法と《条件設定》。説明は開示条件が不足。
その説明を読み終わった直後、僕は気が遠くなるのを感じた。




