人の気配。
展開が速いです。(いつものことですが)
僕の《残留思念読取》は、その場所やモノに残った知的生命体の思念を読み取る事ができるが、その副次的作用として、思念の残っている場所を視覚表示する機能がある。
どんな知的生命体でも、どれだけ隠密行動に優れていたとしても残留思念を読み取ることができるが、その代わり、そうでない生命体や仏のような欲のない人間には効果がほとんどない。
また、一回攻撃の先読みに使っていたが、「思念の主がそこにある・触れている場合は読み取ることが出来ない」という微妙な制約がある。
何故そんなことを今更解説しているかというと、反応が目の前にあったからである。
僕の《残留思念読取》の読み取り限界時間は、1日遡れるまでに成長したが、それでも1日以内にここを訪れるなんて非常識すぎる。
敵としか思えない。まるで、僕らがここに来るのを先読みしていたようだ。
むしろ、長々と続く視覚表示の情報に、今まで気づかなかったのは不注意でしか無い。今後は気をつけないと…だが、視覚表示の名に偽りはなく、視界の中にしか表示してくれない。モモカの《危険察知》のように全方向対応ではないのだ。
読み取って見ると、どうやらやはり敵意を持つ者だった。
ここに来たのは数分前。充分にヤバい状況だが、まあ焦っても仕方ないし、デルタ国王のところには結界を重ね掛けしているのですぐに破られることはないだろう。
思念の道筋を見てみると、どうやら僕と同じく元街道を通って城の中に入っていったようである。
城は街と違い、そこが城跡だと容易に分かる程度には原型が残っているので、隠れる場所はたくさんある。
うーん。これって罠っぽいよな。
もし、いや多分僕を狙ってるのはタツヤといいミキといい、日本人である可能性が高い。
とすれば、設置型魔法特化のチート系転生転移者が居たとしておかしくない。
調べられないかな。こんな時にモモカとかアルトが居るとちょっと心強いんだけど。
決着しないので、常時発動スキルの《[地下の迷宮] オートマッピング》の地図を表示。
普通に敵反応がマップに表示される。
おい。酷いネタバレじゃねーか。今回は許すけど、面白みもへちまもないな。
あ、ネタが古いとかそういうツッコミは受け付けません。
思いっきり敵の位置が分かってしまったので、それを視界に表示し(適当だったのに出来た)、そこに向かって挨拶代わりの威力抑えめ《圧縮光球弾幕》を放つ。
威力も低く、発射角も狭い弾幕は突如発生した結界によって阻まれた。
どうやら、相手も位置バレしたのが分かったみたいだ。
だがしかし、そいつは顔を見せないまま反応を消した。
どうやら転移したようだ。
ふーむ。警戒されてるのか?それとも他の作戦か?
まあ、城跡には入るんだけどね。




