焼けデルタ。
タイトルがこんがりしている。
別にお別れシーンとかそういう訳ではないです(セルフネタバレ
真っ白に…じゃなくて普通に燃え尽きたグリーン国王を消滅させ、デルタ国王を回収する。
グリーン国王は居なくなったが炎は未だ健在なので、拙いことになっていた。
というのも、僕の作った《消費転嫁》は、術者が既に存在しない場合を規定していないからだ。
そういう場合、大抵は多分魔法が発動せずに普通にダメージを受けることになる。
つまり、デルタ国王に対してオーバーキルということだ。
回収したデルタ国王は固い。どうやら何かしらの防御スキルを使ったようだが、それごと回復魔法で回復する。
解凍された国王は、はっとして見回すと途端にほっと息をついた。
「はあ…死ぬかと思ったぞ」
「こっちがですよ…まともにあたってたら死んでますからね?」
「すまぬ。なので、こえからはミライに任せる」
「合点承知の助」
古いネタを行使しつつ、僕はブルーに転移した。
転移先はブルーの適当な街中だ。
ここも大通りが1本で分かりやすい作りとなっている。
転移魔法自体がそうホイホイ使える魔法ではないので若干視線は集めたが、国民の5%とかいう結構な確率で使えるらしく、特にどこかのスカウトが現れることはなかった。
あ、そうだ。今回は、転移中に時間を作り、デルタ国王にデカいフード付きの黒パーカーを着せた。
毎回衛兵と衝突とかシャレにならない。
また、イエローのように結界まで破壊された状態になれば国民は生きていけないだろう。
さて、安心要素を作ったところで王城に向かって歩く。
もちろんよそ見はしているが、国王がよそ見する分には僕が引っ張っていけばいいだけだ。
傍目には、「元気な娘の面倒を見る父親」のように映っていることだろう。
デルタ国王は例によって難しい顔をしている。
ぶつぶつと呟いても居るが、テンプレと違いかなり小声でつぶやいているので、大柄な体格も手伝って全然聞き取れない。勿論、唇読術的なモノも心得ては居ない。
また何かの違いに対して何か思うところがあるのだろう、そう思いながら目の前に迫った王城に入った。
王城に入ると、すぐに門番の衛兵が駆けつけてくる。
「要件を言うが良い」
「国王と話をしにきた、通して欲しい」
「要件を言え」
「獣人族からの使者だ」
「…!!」
衛兵はピクンと反応し、2人揃って後退した。
そして、「敵襲だー!!」と叫ぶ。
まるでリプレイのように集まりだす兵士たち。
獣人族から何があったんだよ。
というかスタンバイしてたのかよ。
仕事サボってんじゃないのか。
とはいえ、このまま集めると殲滅しかできなくなるので、《★状態異常全属性魔法》を使用してどんどん睡眠状態にしていった。
どさどさと折り重なる兵士たち。下に居る奴が寝ながら苦しそうな顔してるぞ、大丈夫か?
さて、あらかた片付いたな…
折り重なるのは、相手が折り重なろうとしていないと無理。




