人族。
ここらへんからスランプ中の作品です、あっさり感が今までより強いので次の話があるなら読み飛ばしても多分大丈夫です。
人族の大陸に飛び始めてから数分。
僕らは人族大陸の大地を踏みしめていた。
僕の保護がうまいこといったのか、それとも猫獣人の王の身体能力が高いのか不明だが、王は無事だった。
若干車酔いみたいな症状は出ていたが、まあ許容範囲内だろう。
「なんだ…これは?」
王は驚いていた。
「確か、このあたりには漁村があったはず…」
いまや大自然の中の岩場でしかないこの場所に、王は呟く。
よく分からないが、前には何かあったようだ。
歩いて少しすると、イエローが見えてくる。
相変わらずそっけない国旗だ。
僕が蹴散らしたせいか、今は門に衛兵の姿はない。
もはや呆然とし始めた国王を引っ張りながら、イエロー内に入った。
イエロー内はがらんとしており、最初に入ったときに居た住民は人っ子一人見当たらない。
かといって家に閉じこもっているわけでもなさそうである。家の玄関は半開き、店のシャッターは開け放たれており、まるでなにかの狂乱でもあったかのような風体を思わす。
「おい、人族よ、まさかトラップではあるまいな?」
「……そうかも、僕が出るときはこんながらんとしてなかった」
「ふむ…」
僕が護衛のつもりだったのだが、猫獣人の国王はスキルが使用可能らしく、獣人特有と思われる非魔法スキル《窮地の構え》を発動した。
■窮地の構え
猫獣人族特有の非魔法スキル。発動者の体力値に応じた範囲に《威圧》《索敵》、発動者に《防御力UP》《速度UP》を付与する。
へー。結構役に立つスキル!
デメリットないのが逆に怖いな…
ならこっちもと思い、適当なイメージを浮かべつつ、
「害なす存在の一切を遮断せよ《完全障壁》」
と詠唱する。効果がイマイチだったので詠唱を追加。
「詠唱に必要なイメージを補助せよ《想像補助》」
これで完璧!と思っていると、国王に頭を抱えられた。
なにか変なことをしたかもしれない。反省反省。
そのとき、国王が何かを拾ったようで、
「誰かいるぞ?」と王城の方向を指し示した。
「何人くらい?」
「1、2、…7人だ、その内1人から強大な魔力を感じる」
「じゃあ召還士かな」
「召還士…?」
「いや、獣人大陸に行く前に勇者召還とかしてたみたいだからさ」
「勇者召還だと!?」
王はこれでもか、というほど驚いた。
大声は出しちゃだめだろ。
「そうか…そこまで進んでしまったのか…」
まるでこの世の終わりのような表情をする国王。大丈夫か。
王城に行くと、予想外の光景が目に入った。




