孤舟。
少ない猫耳要素です
(2016/06/01追記)本作においての獣人は基本的に猫耳と尻尾をつけただけの状態です。pixiv見たら若干定義が違うようなので一応。
小舟、もとい孤舟に飛んで行くと、先程は見えなかったし知ろうともしなかったが何故か少女が寝転がっていた。
これまたなぜかは不明だが、コスプレに近いフリフリのメイド服に革製と思われる靴、ほのかに赤みがさした白い肌、そして猫耳。
華奢な腕とその腕力値から考えるに、この少女ではオールを漕ぐこと自体心許ない。流されているのだろうか。
ただ、何故今頃まで進行していなかったのか船が浸水している模様なので、少女を抱え上げて結界の中に移動。
船も持って行きたかったが壊れてるし、荷物もなさそうなので置いていくことにした。
「…んぅ?」
それから数分後、猫耳少女がかわいらしい声を上げて起床した。
2人の顔が少しだけ明るくなる。
猫耳少女は、周囲を見渡してから、ここが海の上だと悟ったのかかなり焦った表情を浮かべたが、僕らを見て正常な心を取り戻したようだ。
だがしかし、警戒されている。主に―
「な、なんで私なんですか!?」
―アルトが警戒されている。
どうやら、この中で一番大きな人=怪しいとなってしまったようだ。
ちなみにモモカは中学生か高校生だった筈なので、まだまだ子供らしい背丈である。
アルトは小柄ではあるが、ちゃんと大人と分かる身長。
僕?今は幼女くらい。身長は忘れた。戻ってもアルトよりちょっと高いくらいしかないと思うけど。
「まさか…百合変態」
「人聞きの悪い!」
「先に否定しろよ!」
思わずツッコミを入れる。前はツッコんでしまう癖を治したいと思ってたけど、なんかこれ自分が自分である感じがして良いな…何言ってるか分かんないかもだけど。
ともかく、警戒した表情を浮かべたりきょとんとしていたりする猫耳少女に説得を試みる。
「えっと、僕らイエローを潰して、それから獣人大陸に行こうとしてるんだけど」
「…………」
少女は警戒した表情を浮かべ続けている。
ただ、最初の緊張は幾分か和らいだのか、ピクリとも身体を動かさない状態から、呼吸による動きが視認できるレベルには落ち着いてくれている。
「あっそうだ!君の名前教えて!僕はミライ」
「…ボクっ娘…」
「違うから!って違うのか?というかそれはどうでもいい!」
揚げ足をとられてる感じがするが、僕のことは良いんだ。でも、これ不自然だよな…私とか言ったほうが良いのか…いや、止めとこう。それはなんとなく自分じゃない気がする。
「私は…セレナ…」
「なんか…何処かで聞いたような名前だな…」
主に地球で。でも、何だったか思い出せない。
ともかく、そのセレナは今の状況を話してくれた。
どうやら昔はあの4原色シリーズとちゃんと交流があったらしいが、約500年前の大災害で大陸同士が離れてしまったらしい。
幸い、両者に被害は少なかったものの、海流が激しくなったり向きが変わったりして海を簡単に渡れなくなり、交易は途絶えたという。
ちょっと疑問に思っていた事が1つ解決したな。
しかし「両者に」の部分が気になる。この世界には遠距離通信技術でもあるのか?そうでもなければ、交易の途絶えた両大陸間で情報伝達は出来ないと思うが。
それも今はどうでもいい。
今は、海流を無視して移動できる結界新幹線で獣人大陸を目指すだけだ。




