寝ぼけアルト。
趣味全開です
朝が来た。
そう、朝が来たのである。
結局僕は《装備者補正》をかけたまま寝たわけだが、その時に自分の体に感覚軽減系統の魔法を適当にかけた。
これで、夜中に何があっても気づかないだろう…と。
何故結界にしなかったかというと、普段は空気なはずのアルトがこのためだけに結界破壊を習得・レベルカンストしてきて、《仮想自動化》の自動補給を上回るスピードで破壊してくるのである。
それに、ちょっと期待してたりしなかったり。
安心できる相手であれば、襲われる体験って一度はしたい気がする。
…普通じゃないですか?
起きて周りを見ると何故かつやつやして床で寝てるアルトと、向かいのベッドで普通に寝ているモモカが目に入った。
確実になんかしたな。モモカを起こさずに事を起こしたってことは、何か万能魔法でも開発したのだろうか?
今度は感覚遮断しないで受けてみたいが、こんな話モモカにバレたら大変なことになりそうだな…
昼と夜でキャラが違いすぎるアルトを起こしてそろそろ宿の食堂に移動しようとすると、アルトは
僕に飛びかかってきた。
思わず待ってましたとか(常人にとって)よく分からないセリフを発しそうになったが踏みとどまり、そしてどうでもいいような所に集中していたおかげで、完全にアルトに押し倒されてしまった。
僕的にはおいしいけど、これモモカが起きるフラグ立った?
もしかして。
体裁を考える僕。それどころじゃない気はビンビンするが、気にしない。
普通の人であれば、モモカに気をつけつつも身を委ねちゃうとか展開があるかもしれないが、このミライは完全に気が散っている。
「ミライー…♪」
普通の男性なら目が釘付けになるであろう、少女の扇情的な姿。ミライはガン無視である。モモカを見ている。
アルトは寝ぼけたまま、僕にのしかかって体を触ってくる。
「んぅ…っ」
ん、これは気持ちいいというよりくすぐったい。
色々のことに気が散っているため今は力が出てないので、まだ僕は逃げられないようだ。
そろそろ起きるんじゃないかな、と心配そうに見るが、その表情が強制的に笑顔に変えられる。
「ふふふ…」
「ひゃうっ…ひうっ!」
傍から見たら完全なるサービスシーン。だが、僕はモモカの所ばかり見ている。
チラ見ではなくガン見している。
今のところ起きる気配はない。まだ大丈夫なようだ。
このままでも僕自身は構わないが、いい加減日も出てきた、見つかりたくないしそろそろ脱出したい。
だが―くすぐられているせいで上手く魔法イメージが浮かばない。
でもまさか、
「ひゃあ!あうっ!やっ!」
「…え?」
アルトのくすぐりによる僕の声でモモカが起きるとは思わなかった。
というか、なんでそんな長時間寝ぼけたままを維持できるんだよ。




