ダンジョン。
書き貯めがなくなってしまった!
ギルドのカウンターで大層驚かれながら、僕は報酬とB-のランクを手にした。
この世界では、上位の依頼をこなすとそのランクまで飛び級できるらしい。普通は1つ上を試しに受けてみて、という感じだそうだ。
そんなこんなで一気に中級冒険者あたりに昇格した僕は、再び討伐の依頼を見繕っていた。
やはり危険が伴うからか、報酬額のでかいのもここだが、人気の高いのもここであった。
現在の所持金は、3万円+イノシシの依頼の20万円。かなりホクホクだが、単位が「円」でお札のデザインもそう変わらないため、ちょっと持つ手が震えたりする。
…あ、イカ焼きにちょっと使ったから、500円減ってるな。
まだ木の上で寝ているが、流石に日本の布団と品質が違いすぎるので(まあ、そのへんの木の枝とベッドが同じ寝心地だったら批判が起きそうだが)、そろそろ普通の睡眠道具で眠りにつきたいものである。
という訳で、2連続でもうちょっと何か依頼をこなして稼ごうと考えたのであった。
もう10万円ほど欲しいな。
「(A-)ダンジョン「闇の光」討伐」
すごそうなのがあった。すごそう(小並
…いや、これを受けて、その日のうちに完遂できるだろうか?
まあいいか。木の上だし。
「また格上ですか!?」と受付の人に目を見開かれたが、そんなに特別なことではないぞ多分。光球があればたいていの敵は吹っ飛ぶし。明かりの代わりにもなるし。
そうと決まれば急いで現場に向かう。
お、僕の寝床(木の上)の近くだった。歩いて5分。
そう考えると、もう「光の闇」はコンビニの名前にしか聞こえなくなった。
中は結構広い通路で構成されている。高さ4メートル、幅4メートル。Cube Craftの地下を彷彿とさせる通路だ。
魔物が現れた。白い体を持つゴブリンの亜種だ。
光球を飛ばしてみた。
爆発四散した。…弱っ。
2階になって、体の黒い方も現れたが、同じように光球を投げると総て消滅した。なんつー威力だ。
ガンガン進み、敵が増えても総て光球で吹っ飛ばせた。
あまりの速さに愕然としたが、もう既にボス部屋までたどり着いてしまった。
多分、この扉を開ければボスが居るんだろうな…とか思いつつ、その扉を開ける。
木製の軽い扉は、オフィスのように軽く開いた。
円柱状の形をした部屋だった。
中央には、魔法陣が描かれていて今は光っている。
地響きがするし、ボスが来るのだろう。
すると、なんというか厨二病の想像するような悪魔が出現した。
僕はなったことがないが、中学2年の時にクラスメイトの一人が「漆黒の力云々―」と言っているのを聞いたことがある。あの時は気まずかった。
まあ、なんだっていい。まずは様子見がてら、先程までと同威力の光球を打ち込む。
光球は、悪魔に当たる前に消えてしまった。ダメージは1割に達しない。
ふむ。光球だけでは無理か。ならば、新しい何かを開発しないとな。
悪魔の撃ってくる光球と闇の弾を回避しつつ、悩むこと数分。
攻撃の中に槍みたいなものがあったので、これをイメージすることにした。
今までの経験を活かし、こめる魔力の量は光球と変わらず。それでにて、ただの光の塊を飛ばすのではなく、先端を尖らせるイメージで。
かくして、槍までいかないまでも「ライトメイス」を作り出せた。
そのまま悪魔に投げ込む。
悪魔の体力を半分ほど削った。
これはいける。
僕の魔法は基本イメージで、詠唱もしていないため、高速でぶっ放すことが出来る。
もう1発打ち込むと、悪魔は倒れた。
光となって消えていく悪魔の居た場所に、きれいな宝玉が取り残される。
あれかな?魔石ってやつかな?レッドに戻ったら調べてみよう。
走ってダンジョンの外まで行く、まだ外は明るい。橙色だが。
急いで帰らないと、宿が木の上になる。
別にあの場所を気に入っていないわけではないが、やっぱり宿に泊まりたい。
木の上は避難所みたいなものだ。
外に出たが、レッドまでは歩かなければならない。瞬間移動の類のスキルが無いことを恨みつつ、歩いていると…
……一瞬で城門の前にワープした。
衛兵さんも驚いていたが、僕のほうが驚いていた。
…転移魔法、使えなかったよね?
そう思い、ステータスを確認する。融通が効くのかは分からないが、「新着」と念じた。
■スキル(新着)
・一般:《転移魔法 Lv.1》
・固有:[Nice! RPG Editor]インポート
・光属性魔法 Lv.2
増えてるじゃないか…。
しかし、インポート?なんだこれは…ああ、欲しいスキルを入手できるってか。とんだチートスキルじゃないか。今更だけど。
しかも、任意起動は出来ない…いや、まあ半分任意起動だが、欲しいスキルは自動的に追加されるのか…知っといてよかった。
僕の性格上、街中で喧嘩売られて火魔法とか出して、「使えるんかいっ!」ってツッコミとともに地面に投げつけたら危険だからな。
レッドに帰る頃には、既に月が見えていた。
売るものを売った後、目の前で満室になる宿を涙目で見送り、国外の木の上に腰を落ち着けた。
地味にここは便利だ。座り心地も良いし、寝心地も良い。魔物も飛行可能な種類しか来ないし、それもめったに来ない。風通しもよく、蒸れることがない。素晴らしい快適空間だ。
ついでに、一泊0円。完璧だ。
500円のたこ焼きモドキを食べながら月を見る。
この世界のたこ焼きは、関西人には不味いと感じることが分かった。
具は問題ない。生地が不味い。
これでも、この世界…いや、レッドでは大好評の店らしい。
今後は気をつけないと、僕にとって毒になる可能性もあるな。
そう思いつつ、僕は木の(枝の)上に横になった。
筆者がそういうことに疎いせいで、異世界チート転生のテンプレ「女の子」が登場してません。
そのうち出します。