結界新幹線。
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皆様ありがとうございます!
手を繋いで歩き出した、数分後。
僕らは宙に浮かんで疾走していた。
何故?と聞かれると、面倒だったから、と返す。
具体的には、僕らが僕の設置した結界の上に立って、その結界を動かすという方法で空を飛んでいる。
結界を動かすのには少なくない魔力を消費しないといけないらしいが、僕の魔力は文字通り溢れているので問題なし。毎秒全回復チート強すぎ。
これなら時速数百キロで走行可能だし、敵に追いつかれることもないだろう。
馬車の速度がどれぐらいかは知らないが、倍速は確実に出ているだろう。
今までに乗った荷馬車がはるかに遅く感じる。
ちなみに、僕らは直方体の結界に包まれているため、風を感じるどころか敵の攻撃も受けない。
時々飛んで来る矢はどの魔物のものだろうか、全部弾き返している。
これは結界の上じゃないな。中だな。
形を工夫していないし、加速度の緩和もしていないから時速数百キロだが、もうちょっと頑張ればまだまだ速度を出せる気がする。
「ねえ、ミライ?」
「なに?モモカ」
「この景色、さっきも見た気がする」
「またか……」
さっきまで順調だったのに、飛行開始数十分でもう厄介に巻き込まれた。
もういいっつーの。
止まるわけにもいかないので、適当な魔法で壊しておく。
「《赤外光線》」
これはまだ手をつないでいた頃に分かったことなのだが、あの反対側から出てくる結界にはもう一つ欠点があることが分かった。
それは、発動時に結界に込められた魔力を上回る魔力を込めた魔法を放つと結界が壊れるのである。
本来欠陥とも呼べないような欠点ではあるが、これを利用して魔力を50くらい込めて放つと普通に結界が壊れる。
嫌がらせの相手も、流石に毎秒魔力全回復チートとかは持ってなかったようで、段々と空間系結界の頻度が遅くなっている。
こちらが超高速で移動しているのもあるだろう。転移にも少なくない魔力をとられるはず。
と、3人で(正確には1人だけ)自惚れていると、突然周囲が真っ暗になった。
「異空間か…!」
気づいた僕は、独り言を漏らす。
2人は、暗闇が怖いか身を寄せあって驚いているようだ。
そりゃ、強力な空間魔法が使えて、僕らの妨害をしてくると言ったら転生転移者だろうな。
異空間ぐらい使えると考えたほうが良かったかもしれない。
明かりのないはずの空間に、ぼやっと人影が現れる。
やっとお出ましか……!
「いや、今まで逃げといて何言ってんだ」
敵さん、ナイスツッコミ。
関西人なのに、関西のノリが分からないかも。
関東人の何たるかも知らないが。




