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お買い物。

面白い話は短いという悲しさである

アルトが新しい装備品が欲しいとのことで、街で買い物をすることになった。

ブルーの方が良い品は多いと思うんだけどな。と言うと、


「グリーンにだってありますー!!少ないだけですーーー!!」


ムキになって怒られた。

なんか気に触るようなこと言ったかな、僕。分からない。

まあいいか。



アスカは前からそこを知っているかのような軽い足取りで、いや小走りで路地裏を進んでいく。

それをちょっと遅れて追いかける僕とモモカ。


途中何回も大通りに出て、大通りは1本の筈なのでなるべく直線距離で行けばいいのにと思っていると、どうやら道を忘れたらしい、悲壮感漂う表情で立ち止まってしまった。


「グスッ…ヒック…」


泣き出すアルトを適当に抱いて慰める。道が分からなんだなら、僕に聞けば良かろうと思うのだが。


すると、泣いていたはずのアルトは僕からスッと離れ、


「……きゃああああぁぁぁぁ!!?」


……奇声を、じゃなくて悲鳴を上げながら全力疾走していった。

顔を真っ赤にして。


「あっ、ちょっと待て思い出したなら言えよ!」

僕も彼女の後を追う。


取り残されたモモカは一人、

「うわ…あんなに、引くほど鈍感な人今時いるんだ……」

と呟いた。



鈍感ともちょっと違う気がするが。





日の傾きかけの時。

そろそろ日光に鮮やかな色がつき始める、そんな時に一行はようやくその防具屋とやらに辿り着いていた。


ちなみに、防具屋ではなく鍛冶屋で、ここの職人が凄腕とアルトの中では評判らしかった。

そんな馬鹿な。

表通りに近い裏通りなんかに店を構えてたら、あっという間に人気が出ちまうだろ。


とか、脳内愚痴を口から零さないように注意しながら店内に入る。

外観は雪国のログハウスだったのだが、内装は和風だった。どっちかにしてくれよ。

手前から土間、畳っぽいもの、ちゃぶ台風の机が並んでおり、奥に年配のおじいさんが寝ていた。


「おじいちゃん、おじいちゃん!」


アルトが呼びかけると、おじいさんは「今起きる~」と気の抜けた返答を返した後、

次の瞬間には起き上がって店員モードになっていた。

速っ。


「なんのようじゃ?アルトとその連れよ」

「新しいローブ買いに来たの!」

「ベースはあるかの?」

「これ!」

「おお、エレメンタルウルフの毛皮じゃな。しかも、割りと上等じゃ」

「お願いします!」


そう言って代金として60万円を受け取ったおじいさんは、その毛皮とやらを持って奥の扉に消えていった。


そして響く金属音。

カーンカーンカーンカーン……


「毛皮だよな!?」

ついツッコんでしまう僕。いやこれはツッコんでもバチは当たらないと思うんだ。

ローブ作るのにカンカン音がなるのは新しいな!中で何をやっているのか是非見たい!


更に響く、懐かしの道路工事の音。


ギュイインガガガガガガ……


「ローブだよな!?」

なんか布製品にはあるまじき音がするぞ!大丈夫か!?




ちなみにローブでした。

「自分、描写下手だな」と思うと、泣いているシーンの「グスッ…ヒック…」が酒飲みながら蕎麦すすってる人にしか聞こえなくなった。

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