追っ手と再戦闘。
短い話の方が面白い気がする。
予定がないせいで、シリアスなのかほのぼのなのかギャグなのかどっちつかずに転がってます。
何故か結界の破壊に手間取っているようだが、別にそれでも構わないので起きる。
先ほど視界から外れたモモカとやらは、丁度僕と焚き火を挟んで対峙していた。
すると、モモカが何らかの魔法を放つ。
すると、"結界が僕のものでなくなった"感じがした。
結界に触れると、予想通り触れられる。
これは《反転》の影響か。しかし僕の結界はそんなやわに作ってないぞ?
《鑑定》。
■現状に対する説明
モモカのスキル《反転》によって、結界がモモカのものになりました。
そのペナルティとして、モモカのスキル《反転》の、ミライへの発動に対して2時間35分のペナルティがかかりました。
なるほど、発動感覚を犠牲にするタイプか。結構厄介だけど、同じ魔法ではなく術者に対して時間がかかってるから封じるのは簡単だな。
さて、他には…《技能削除》か。ってことは、《ライトメイス》とかは使わないほうが良いかな。
無属性魔法でなんとかならないだろうか。
そう考えていると、雑魚盗賊が馬車のところまで来ていた。
そう言われれば相手は盗賊なので、別に僕を倒す必要はない。仲間が捕まっても、見捨てて逃げるだけだ。
焦った僕はつい普段の癖で、《圧縮光球》を発動させてしまった。
威力抑えめ(体感で半分くらいだった)の即死球は盗賊3人を消し炭にしたが、それよりも僕は焦っていた。
《技能削除》は、相手のスキル発動を視認する事が条件になっていた。
つまり彼女の前で堂々とスキルを使った訳で、無論結果は――
「あんた、強いかと思ったけど馬鹿ね…《技能削除》」
■スキル一覧(ミライ)(削除順)
・光属性魔法 Lv.3
ぎゃああぁぁ詰んだーー!
相棒みたいなスキルだったのに……グスン。
現実逃避のために、何度も最大出力の《圧縮光球》をイメージするが全然発動しない。
当たり前だ。根本となるスキルが消されているのだから。
しかし認めたくない。
泣きそうになっていると、モモカから追撃が来た。
地面から氷の太い針、逆向きつららが鎧の隙間から僕に突き刺さる。
地上10mくらいまで持ち上げられた僕の体からは、この世界に来てから初めて見る、赤い液体が溢れ流れていた。
すぐにつららは溶け、僕は地面に落ちる。
ドガッという、人体から聞こえてはいけない音が聞こえるが、それを気にする余裕はない。
微小なマウスのクリック音が数回頭に響き、僕は頭痛に顔をしかめる。
既に焚き火の火は消えていた。僕の張った、そして乗っ取られた結界によって音は遮断され、寝床まで音が届かない。
盗られる。
このままではいけない。
―なにかあるはずだ、打開策が。
ありきたりな異世界転生みたいに、仲間が突然起きて登場、なんてことはありえないし頼りたくもない。
煽ったのは僕だし、迂闊なのも僕だった。
だから、僕が解決する。
今更効果を自覚した付与系スキル《HP自動回復》が、僕の身体を高速で修復していく。
前の護衛依頼でもそんなことあったな…とか思いながら。
血液も補われたようで、周囲はスプラッタなままだが貧血も起こさなかった。
モモカは僕の様態を気にしていなかったらしく、馬車に駆けていくのが見える。
僕は、その背中に―
今までと同様の《圧縮光球》を放つ。
「っ!?」
モモカは《危険察知》で察したのか、横っ飛びで緊急回避した。
馬車に着弾した光球は、あたって霧散した。
「嘘…スキルは消したはず…《鑑定》」
ちなみに、彼女から見えるスキル一覧はこうなっているはずだ。
■ステータス(RB法)
・ 名前:ミライ
・ 体力:6000 / 6000
・ 魔力:16000 / 16000
・ 腕力:5.1
・ 走力:8.4
■スキル
□固有
・ (上位の《鑑定》に弾かれました)
・ (上位の《鑑定》に弾かれました)
・ (上位の《鑑定》に弾かれました)
・ (上位の《鑑定》に弾かれました)
・ (上位の《鑑定》に弾かれました)
・ (上位の《鑑定》に弾かれました)
・ (上位の《鑑定》に弾かれました)
・ (上位の《鑑定》に弾かれました)
・ (上位の《鑑定》に弾かれました)
・ (上位の《鑑定》に弾かれました)
・ (上位の《鑑定》に弾かれました)
・ [Nice! RPG Editor]インポート
・ [Nice! RPG Editor]技能編集
□一般
・ 転移魔法 Lv.1
・ 鑑定 Lv.1
・ 残留思念読取(10m)
・ 聖光属性魔法 Lv.1
・ ★状態異常全属性魔法 Lv.1
□付与
・ HP自動回復 Lv.1
■装備
・紙(神)の鎧
先程は不快に感じたマウスのクリック音、これはインポートが作動した時の効果音だ。
まさかこんなにエグいのが追加されてるとは思わなかったが、多分願いに反応して追加されたんだろうな。
更に、《鑑定》には部分的にを含め下位の《鑑定》…つまり自分より魔力が使われていない鑑定を弾く機能があったようで、今ちょっといじってみた。相手が驚愕を顔に浮かべてるが、何処に驚いているかはちょっと分かんないな。
さて、つららのお返しをしないとね。
天高く突き上げる感じのイメージで、魔法を形作っていく。名前を付けるまでは、行使に時間が掛かるな。
こう、地面から、ブワアアアァァァってイメージ。曖昧だろ?
それだけでできちゃうのが、魔法なのだ。
これに名前を付けて発射すればOK。さて、どんな名前にするか…決めた!
《逆転光雷》で、早速―
「わーっすみません!すみません許して下さい!」
突然の出来事に、僕は反応できなかった。モモカは、ダッシュで僕にすがりついてきたのだ。
筆者の文章力的に軽い台詞になっているが、実際にはもっと泣きそうな感じで叫び、その後全力ダッシュ→抱きという流れである。
《鑑定》で心を読むと、圧倒的暴力の予感を前に、心が折れたみたいだ。
そうだろうね…さっき実現しようとした《逆転光雷》には、魔力を20も使う予定だったからね。
太さも相応、とりあえず《危険察知》程度では回避出来ないレベルのをぶっ放すつもりだった。
え?魔力20の魔法の威力が分からない?
うーん…そうだね、倒せない人は居ないくらいかな?
もちろん、防御結界とかなしでの話だけど。
とりあえず《圧縮光球》でモモカの私物化した結界を割る。魔力は普段通りきっちり1だが、一撃で結界が割れた。
それを呆然として見ているモモカ。まさか結界が一撃とは思わなんだろう。
彼女は、僕を恐れるように、または恥ずかしそうに立ち去ろうとしたが、先ほどと同じく結界で閉じ込めておいた。
人を殺すことに躊躇がある僕でも、何故か閉じ込めるのは躊躇わないのな。
……余計にたち悪く無いか、それ。
なんだ……この戦闘シーンの臨場感の無さは!?
まるで棒読みの紙芝居のようだ!




