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出し惜しみ。

チート能力は全部使用しません。

タイトルに恥じぬ非道っぷりです。

ギルドに寄ったが、依頼の中にレッドまでの護衛依頼などは存在しなかった。

まあ、そんな都合よく事が運ぶわけ無いわな。

いや、どの口が言ってんだよ。


しかし護衛任務に絞ると先ほど本の中に出てきた国「グリーン」に行ける依頼があったので即受注する。

難易度はA+。僕の今のランクと同じだ。

簡単にランク上がり過ぎじゃないかね…と思うが、かつて採集依頼だけでポイントを貯めてSまで上り詰めた強者がいたらしく、それを防ぐために完全実力主義になったらしい。迷惑な話だ。


よく考えたら《転移》があるかぎり速攻でレッドには帰れるんだけどな。

ということで、これからグリーンに行って転移ポイントを増やそう。



依頼主は、ブルーの豪商であるクレア商会。

初耳だろう。僕も初耳だ。

どうやら高級日用品を広く扱う商会で、冒険者とは縁がないのだとか。


今回も荷馬車で出発する。

メンバーは馬車3台に対して、先頭に商人3人、専属護衛1人。真ん中に僕。しんがりに僕とは違う冒険者の護衛。女性…いや、少女かな。

少女は緊張しているのか、周りをキョロキョロと見渡していたが、僕が見ているのに気が付くと顔を赤くし、話しかけてきた。


「あ…お初にお目にかかります、魔術師のアルトと言います…」

「そんなに僕有名じゃないから!もうちょっと砕けていいから!」


…初見で突っ込むのはマナー違反ですか?

とりあえず揉め事ではないことを、ぎょっとして振り返った商人に話して誤解を解く。


「すみません…僕はミライと言います。多分魔術師です」

「ええーあなたも魔術師なんですか!?」

「失礼ですが何処を見て?」

「鎧」


そうだった。いま着ているのは紙の鎧だった。

と言うかよく商人驚かなかったな。吹き出しても良い装備だぞ?


「そんな。仮にも商人が商品を笑ったりしませんよ」


あ、なるほど。もっと事務的な理由か。

ちょっとショック。


しかしもう一人の冒険者とは中々仲良くなれたので良しとする。

やっぱり良いよね、かわいいものを見ると心が癒やされるよね。


ただ、あんまり見つめると変態だと思われるし、警戒しているように見えないから周りを警戒することにした。

別に《仮想自動化(バーチャルオートメーション)》を使っても良いのだが、それだと最初に指定した内容しか探してくれないので、ちょっと穴が多くなる。

結局のところ自分で探すほうが速い。



そういえば、自分の状況って鑑定できないのかな?状況を《鑑定》っと。



■今の状況

ブルーからの追手がついています。

グリーンに本拠地を置く盗賊「ルーパン」の追っ手が4人です。

そのうち1人はチート系能力を所持していますが、詳細は個人鑑定をしないと不明です。



できるのか。

つくづく便利な魔法だな、鑑定。

ってか盗賊の名前アウトオオオォォォ!!


…しかし追っ手か。やはりとは思ったが、やっぱり居るもんだな。

しかし何が目的だ?普通なら、山とかで封鎖して襲えばいいものを…挟み撃ちか?


追っ手はどうやら馬車の通った後をつけているようなので、道に結界を貼ってみた。

結界を盗賊が(・・・)通ると、「おめでとうございます!」と明●家さ●まの声で喋るというものだ。

ネタを惜しみなく使っていくスタイルだ。

ちなみに結界は無属性魔法の結界系という分類だが無属性だけはスキル的に取得していなくとも使えるらしく、僕は問題なく使えた。



その数分後、見事背後で「おめでとうございます!」という聞き慣れた声が4つ響き、おもわず僕は吹き出しそうになった。

もちろん急にそんな声がしたので、冒険者の少女は何事かと後ろを向いている。


「あー、大丈夫アルトさん。あれ、僕が仕掛けた罠だから」

「え!?そうなんですか!?」


大げさに驚く少女。良いなこの反応。この世界に来てから、あんまり人と深く関わってないもんな。

…帰りたいから、こっちに思い残しが出来るような友達を作りたくないのかもな。



さて、あれは挑発にすぎないし、もう一発結界ネタ入れてみようかな?

長くなったり短くなったり。

私の気持ちにはムラがあります。

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