最悪。
(チート能力ってその創作中の世界だけでなく、小説自体の面白さも壊しかねないなぁ)
放った弾幕は、ことごとく相手に防がれる。
どうやら、魔法攻撃を完全に無効化しているようだ。
そこで、魔力を最大限に込めた《赤外光線》を光速で放ってみるが、避けるでもなく無効化される。
あ、魔力の上限が上がった。
空間が削り取られるような強烈な魔法を受けた相手は、無表情ながらも眼の奥が笑った気がした。
即座に繰り出される光の奔流。
カウンター系の魔法か。
危なげなく結界を張って防ぐ。
この方法は安定している。
魔法をカウンターされても、僕の魔力は使い切るたびに増えるから余裕を持って対処ができる。
しかし、何回やっても同じだった。
相手は、方向を決めずにぶっ放せば世界が破壊されるであろう攻撃を総て無効化し、僕の最大魔力が戦闘前の50倍になっても無傷だった。
だが、何かあるのか逃げ出したりはしていないようだ。
「固いなー」
「ふん、固いのではない、効かないのだ」
「キェェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ!!!」
喋りかけてきたので、とりあえず全力でふざけておく。
明るい雰囲気作りは大切ですね。
相手―声の高さから少年か少女―は、そのおふざけに大して苛立ったようだが、感情にはなるべく出さずにやり過ごそうとしている。
一旦攻撃をやめ、話し合いに入ることにする。
「もしもーし」
「聞こえている。迂闊だな、ミライとやら」
「!?」
がしかし、相手は逃げるつもりもなければ諦めるつもりもないらしい。
懐からカッターナイフ程の小さなナイフを取り出し、その流れのまま僕に向かって投擲。
ナイフは、僕の腕を切り裂いて……いや、当たって飛んで行く。
「ふむ。切れないか。いや、言っていたとおりだな」
「何の話だよ」
当然、僕にナイフは刺さらない。
これはゲームプレイヤーの特典で、怪我は総て体力値の減少に変換されるのだ。
しかし、現在は《装備恩恵》により、素肌に攻撃が当たっても見た目上は傷がつかない。
そして、あのナイフには毒が塗ってあったようだ。
明らかに金属とは異なる光り方をしていたし。
そして、一瞬バッドステータスが見えたのにも気がついた。
モモカが無効化してくれたようだが。
「知ってるか?種族:ゲームプレイヤーには弱点があるんだ」
「そうなのか」
「……(調子が狂うな)それはな……これだ!」
表情はさほど変えずに、声だけで笑いながら何かしらのスキルを放ってくる。
その瞬間、僕は力が抜けてその場にへたり込んだ。




