今度はモモカ。
「ふむふむ……良いですねぇ」
「やめて……ホント見ないで……」
風呂に入った。
アルトがガン見してくるので怖い。
何が怖いって、なんかすぐ襲われそう。
僕の腕力は男の頃から変わっていないが、それでも冒険者であるアルトよりは格段に弱いため、すぐに捕まってしまう。
また、無詠唱で魔法を使えるとはいえ、イメージを完全に妨害するレベルで弄られたら魔法を発動できない。
「ミライ―、さっさとシャンプーしてきたら?ここの石鹸そう悪いやつじゃないよ?」
「それは知ってるって……!」
「あ、洗ってあげる」「絶対余計な事するよね!アウト!」
頼むから昼間のおとなしい感じで居てくれ。
いや、最近は昼間も深夜テンションになりつつあるかもしれないが……
気にしない。気にしない。
シャワーのところまで要所を隠した状態で歩き、色付き結界を展開して、《条件司令》によりアルトが触れると突風が発生するようにしておく。
これで一安心だ。石鹸を使って髪を洗う。
長くなった髪を洗うのは初めてだな。今まで風呂は入ったけど、髪を洗ったことはない。
適当にシャンプーを馴染ませつつ、洗い流す。
適当だけどこれで問題ないよな?あ、リンスが無い。オールインワンかな。
洗い終わった所で浴槽に戻る。
結界を解除して戻ろうとすると、まだアルトが居ることに気がついた。
どうしよう。
今何も隠してないんだけど。
どうしよう。
とりあえず、羞恥で気が遠くなった。
◆
「おーい、大丈夫かー」
「はっ!僕は何を!」
「あ、起きた」
何か凄く思い出したくないことがあった気がするんだけど、覚えてないな。
とりあえず、目の前には朝日に照らされている僕を起こしていたモモカと、恍惚とした表情で寝ているアルトの姿があった。
うっ頭が……
「もう一回寝ようとしてるの?まあ良いか」
違う、眠いんじゃなくて辛いんだよ、と言いたかったが、突如別の刺激が身体に与えられる。
「くふふふふふふふ、にゃは、まって、やめっ!ひゃん!」
「起きるまで続けるね」
「だからっ!起きるって!言ってるじゃん!ふぃぅっ!」
必死に脱出しようともがくが、どうやら馬乗りにされているらしくてさっぱり動けない。
起こす気あるのか!?
「ホレホレーここが良いのかー?」
「にゃふふ、やは、やめてってっ!!」
「……ツッコミがないと寂しいね、腹いせにミライくすぐろう」
「なにゆえーー!?」
―モモカはくすぐりが拷問にも使われるって話、知ってるのかな。
結構苦しいんだからね。
こういう展開って、出し過ぎると良くないって聞いた。
今度からそうしようか。




