港町。
(定期試験結果が)なんとか致命傷で済んだぜ。
街に入ると、いつもの通り衛兵さんが過剰なくらいの歓迎をしてくれた。
他の冒険者達(まだ獣人の証拠を隠している)は普通に街に入るのに数分の確認があったが、僕らは素通りできた。
ここにはチート能力者は来ていないのだろうか?非常に不自然だが。
高い建物が一つしかなく、シンプルな作りの街だ。
今まではごちゃごちゃした雰囲気のところにしか来ていなかったしな。仕方がない。
高い建物は鉄塔になっているらしく、一番上は流石に電波塔のように尖っているが途中までは普通のビルみたいにテナントが入っている模様。
後で行ってみよう。
「いい?ミライ、「勝手にどこかに行かないでね」ー」
「うぐっ!酷い!」
早速釘を刺されてしまった。
今回のペナは無しなのがせめてもの救い。
ただ、路地裏に忍び込もうとしても壁に阻まれたみたいになってどうしても進めない。
身体には結界の感触がないので、奴隷紋が体の動きを自動的に制御しているのだろう。
涙目、いや泣きつつ目をこすりつつ2人に着いて行くと、途中でアルトに抱っこされはしたものの、無事に目的地に着いた。
そこは服屋さんだった。イエローにカチコミに行った時以来かもしれない。
懐かしい光景に多少目を奪われるも、特段の用はないなと思い暇な時間を過ごそうと思っていると……
「いや、ミライの下着を買いに行くんだけど」「私たちは替えを持ってるけど、ミライは持ってないでしょ?」
「必要ないわ!」
とんでもない意見に思わず声を荒げる。
種族のPCユーザー自体の仕様がどうなのかは知らないが、描写に出てこないだけで食事や排泄、睡眠は必要だ。
そして、僕の魔法少女装備はあくまで装備品であって、普段着でもないしコスプレでもない。
だから、替えは破壊時の取り換え用という意味以外では必要ない。
「耐久値的に装備品の替えは必要かもしれないけど、下着は絶対要らない!」
「もうちょっと女の子らしくしなさいよ」
「女の子じゃないし!」
「今は女の子じゃない、不自然に見えるのが嫌って言ってなかった?」
「……それを言われるともう何も言えない」
「でしょう?」
どうせ奴隷紋を破壊できないので、僕はもうどうにでもなれと自暴自棄になった。
◆
買い物が終了した。
女性の買い物は長いとよく言うが、まさか普通に付き合えるとは思わなかった。
幼女化の効果だろうか。空恐ろしい。
自暴自棄と言っても焦点も合わず、返答も疎かというわけではなかった。
ただ、2人が考えてることを諦めさせるのは無理だと察したので、せめてマシなものを買ってもらおうと色々口を挟んでいたのである。
それが、気づいたら買い物が終わっていた。ナチュラルに。
なんか戻れない道を進んでいるような気がするんだけど……まあいいか。
不自然でないなら、それで良い。
そう思っていたら、会計の時にフラっと何処かに行っていたアルトがカバンを漁り始めた。
うん。嫌な予感しかしない。
前書きの通り、もしかしたら連載の滞る期間があるかもしれないです……。
その時はまた前書きします。




