正義のために悪はある
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櫻井「………」
カトウ「………」
佐藤「………」
さかもっちゃん「とりあえず、水と食料。それと生活用品はここに置いてあるから、ひとまずは安心してくれ」
あの後、さらに佐藤を乗せたパトカーは都心から少し離れた山荘に着いた。
さかもっちゃん「足りないものがあったら、遠慮せずに連絡を入れて。僕が届けるから」
カトウ「ありがとう、さかもっちゃん」
さかもっちゃん「お礼を言われるようなことはしてない。それより、ごめん。こんなことしかできなくて」
櫻井「坂本さんは悪くないです」
さかもっちゃん「うん、ありがとう」
カトウ「ジジイはどうしてんだ?」
さかもっちゃん「いま必死に報道の取り消しを訴えてる。ただ、上からの圧力が強くて…」
カトウ「そうか…」
櫻井「とりあえず、詳しい情報を教えてくれないか?」
カトウ「俺は警察関係者だから、報道される前に情報をつかんだから、まず逃げることを優先したんだ」
さかもっちゃん「君たちにはショッカーとしてのテロ行為の容疑がかかっている」
カトウ「まぁ、あながち間違いじゃねえしな」
佐藤「なんとかできないの?」
カトウ「警視総監のジジイがどうしようもないならもう打つ手はないな」
櫻井「どうして俺たちが指名手配犯になったんだ?」
カトウ「敵側が俺たちをもう軽視できなくなったんだろ。だから強攻策に出たんだ」
櫻井「………」
佐藤「………」
さかもっちゃん「とりあえず、僕は一度署に戻って詳しい情報を集めてくる」
カトウ「頼んだ、さかもっちゃん」
櫻井「とりあえず、工藤さんは?」
カトウ「あいつは変身能力もあるし、なんとでもなるだろう」
佐藤「…お姉ちゃんは?」
カトウ「佐藤恵が指名手配されたということは、おそらく佐藤恵は敵側ではなくなったってことだろ」
佐藤「…そっか」
カトウ「で、本題は…これからどうするかだ」
櫻井「なにか策はあるのか?」
カトウ「この前、部長が言ってたよな、次が最後の襲撃だって。だから次の襲撃はなにかが起きる…」
佐藤「なにかが?」
カトウ「そう、なにかが…」
櫻井「わからないのか?」
カトウ「多分だが、悪将軍との決着だろうな」
佐藤「決着をつけてどうするの?」
カトウ「決着をつけた後、まもるんジャーの人気を利用してなんかするんだろ」
櫻井「なんかって?」
カトウ「そこまではわからん」
佐藤「で、どうするの?」
カトウ「次の襲撃がラストチャンスだ。そこで俺たちが勝って全てを止める」
櫻井「止めて、どうすんだ?」
カトウ「どうすんだってなにがだ?」
櫻井「どうやって俺たちの無実を証明するんだ?」
カトウ「ショッカー達にも俺たちは無理やりやらされたと供述してもらえば…」
櫻井「でも、それじゃまだ弱い気がする。権力の圧力に屈すると思う。もっと多くの声を集めるためのなにかが…」
佐藤「それは終わったあとでもどうにかできるよ。それより、どうやって勝つの?」
カトウ「今の戦力を比べると…まず、こっちは俺、佐藤、櫻井、いまどこでどうしてるかわからんが工藤の4人。そして敵は俊、三谷の中毒者が二人、そして部長の3人だ。そこに不安定要素の佐藤恵が入るが、おそらく敵側ではないだろう」
佐藤「マヤちゃんは?」
カトウ「わからん。今はいないから戦力には加えない」
櫻井「やっぱり厳しいよな。向こうには中毒者が二人もいるし」
佐藤「その二人がなんとかできれば…」
カトウ「そこでだ、俺に考えがある」
櫻井「考え?」
カトウ「そう、できる確証はないが…」
夜の都心の公園は賑わいを見せていた。
それは人々の活気などではなく、戦車の走る音、行進の音、ヘリの騒音といった不穏な音によるものだった。
あたりには非常事態命令が出されており、一般人は避難を要された。
ヘリの操縦者「こちら飛行部隊E2、こちら飛行部隊E2。ポイント3s96において凶悪犯とおぼしき男女を発見、繰り返す。ポイント3s…」
マヤ「放送に夢中になってたらいつの間にか囲まれてましたね」
工藤「そうだな」
二人の周りは数台のヘリ、戦車、そして歩兵隊が囲んでいた。
マヤ「私一人なら別に突破できると思うんですけど、飛べますし」
工藤「奇遇だな、俺も飛べるんだよ」
マヤ「へぇ、じゃああの戦車を1機でいいんでなんとかしてもらえますか?、あとは私一人でも充分なんで」
工藤「強がるのはよせ、お前こそ逃げてもいいんだぞ。あとはなんとかするから」
マヤ「言いますね。じゃあ、背中は任せますよ」
工藤「JKの発言とは思えないね」
そのとき、『撃てぇ!!』という命令が投降する間も与えず、無慈悲に下された。
合図とともに襲いかかる何百という弾丸の嵐を二人は空を飛んでかわす。
それと同時に、マヤは収束した空気を地面に向けて投げた。
マヤ「ヒーローブレイク!!」
拡散した衝撃波は次々と地上の部隊をおそった。
歩兵隊は吹き飛び、戦車も何台が横転した。
一方、翼と鉤爪を生成した工藤はヘリに捕まり、プロペラの部分を引きちぎった。
動力を失ったヘリはたちまち地面へと落下する。
操縦士は途中でヘリを放棄し、飛び降り、パラシュートを開いた。
マヤも負けじと、ヘリへ飛び乗り操縦士に話しかける。
マヤ「こんばんは、突然ですが、パラシュートは装備してますか?」
操縦士「な…化け物め!!」
マヤ「こんなにかわいいJKに向かって化け物はひどいですね」
そのとき、他のヘリが接近し、こちらに武器を構えた。
マヤ「もしかして味方ごと撃つ気じゃ…」
容赦無くミサイルが発射された。
マヤ「そんなんじゃあ、操縦士は殺せても私は殺せないというのに…」
マヤはヘリから身を乗り出し、空気の球をミサイルに向けて投げた。
マヤ「ヒーローブレイク!!」
空気の衝撃波により、ミサイルの起動はズレて、遥か彼方へと飛んでいった。
操縦士「あ、ありがとう…」
マヤ「どういたしまして。で、パラシュート装備してますか?」
操縦士「あ、あぁ、常備するのが義務だからね」
マヤ「じゃあ、落ちても死にませんね。はい、ドーン」
マヤは操縦士をヘリから押し出した。
マヤ「さて、一度操縦して見たかったんですよね、これ」
しかし、当然ながら、マヤにはどれがどれやらまったくわからなかった。
そのとき、マヤの操縦するヘリに工藤が乗り込んだ。
工藤「あらかた片付いたぞ」
マヤ「そうですか、ならこれ使って逃げませんか?」
工藤「操縦方法知ってんのか?」
マヤ「こういうのは習うよりなれるものですから」
工藤「ならどけ。俺が運転できる」
工藤が操縦すると、ヘリは安定し、戦場を離れ出した。
マヤ「へぇ、本当に操縦できるんですね」
工藤「昔の経験が生きたな」
マヤ「昔の経験?」
工藤「なんでもない。それより、これからどこに向かうんだ?」
マヤ「とりあえず、櫻井先輩達のところに行きたいんですが…状態が状態がですし、携帯は繋がらないでしょうし…」
工藤「さすがにもう家にはいないだらろうし…とりあえず、人がいないところに行こう」
マヤ「そうですね。私も4日間ぶっ続けで飛んでたんでさすがに眠くて…」
工藤「…ずいぶん苦労したようだな」
二人は山の方を目指した。
櫻井「本当にそんなことが出来るのか?」
カトウ「おそらく。だが、これをやると確実に俺の記憶は無くなる。その時は俺にこれを渡してくれないか?」
櫻井「これは…USB?」
カトウ「それの中身を見れば、おそらくは俺の記憶を取り戻せる。だからとりあえずお前に預けておくぜ」
櫻井「そうか…わかった。必ず持っておくよ」
カトウ「頼んだぞ」
数日後
山荘
さかもっちゃん「とうとう奴らが現れたぞ!!」
カトウ「とうとう来たか…」
櫻井「決戦の日かな」
佐藤「戦うよ、私も」
テレビなどのメディアがなかったため、櫻井達が情報を入手するのが少し遅れてしまった。
さかもっちゃん「みんな乗って!!」
さかもっちゃんが乗ってきたパトカーに乗り込むと、パトカーは出発した。
カトウ「で、どうゆう情報なんだよ?」
さかもっちゃん「テレビ中継してるからそれを見て」
カーナビには捕らえられた人質にショッカー、それと悪将軍の姿が映っていた。
佐藤「…あの悪将軍、三谷ではなさそうだね」
カトウ「あれは部長だ」
櫻井「え?部長?」
佐藤「いくらなんでも体格が違いすぎる」
カトウ「部長の能力で変身してんだ」
櫻井「部長の能力って?」
カトウ「コピー能力だ。多分他の適合者の能力を全てコピーできるんだろうけど、一つの能力につき一回だけしか使えない条件がある」
佐藤「一回だけなの?」
カトウ「ああ、一回だけだ」
佐藤「………」
櫻井「部長が使ったら手強いだろうな…」
カトウ「さかもっちゃん、場所はどこなんだ?」
さかもっちゃん「テレビ局だ。生中継を乗っ取って中継してるんだ」
櫻井「なんのために?」
さかもっちゃん「さぁ、わからない」
カトウ「とにかく現場まで飛ばすぞ、サイレン鳴らせ!!」
さかもっちゃん「僕的には見つかったら懲戒免職は間逃れないから目立ちたくないんだけど…」
カトウ「日本の未来がかかってるんだぞ!!。そんなのはどうでもいいだろ!!」
さかもっちゃん「はいはい、お国のために身を削って働かせていただきますよ」
パトカーはサイレンを鳴らし走り出した。
テレビ局
レッド「例えこの身が裂けようが、散らしてみせるは正義の花!!まもるんジャーレッド!!」
イエロー「勝利の女神に導かれしは正義のため!!まもるんジャーイエロー!!」
ピンク「愛のない世界でも、正義の愛を降り注がん!!まもるんジャーピンク!!」
グリーン「痛み、苦しみ、悲しみ、その全てを受け止め、翳すは正義の矛!!まもるんジャーグリーン」
レッド「我ら4人合わせて、政府特選戦隊、まもるんジャー!!」
悪将軍「来たな、まもるんジャーよ」
レッド「悪将軍よ!!今日こそは全てを終わらしに来たぞ!!」
悪将軍「そうだな、いい加減決着をつけるときだろう。俺とサシで戦え!!まもるんジャーレッド!!」
レッド「いいだろう!!」
こうして戦いは始まった。
カトウ「…誰だ?このまもるんジャーレッドとピンクは?」
佐藤「レッドはわからないけど、ピンクはおそらく…初代グリーン」
櫻井「初代グリーン?」
佐藤「一番最初にまもるんジャーが結成されたときのグリーン」
櫻井「誰なの?それ」
佐藤「状態はわからない。でも間違いないよ、このプレッシャーはやつのものだ」
櫻井「初代グリーン…」
佐藤「それと、レッドの動きを見てたら分かるけど…おそらくこの人は適合者ではないよ」
櫻井「どうしてそう思うの?」
佐藤「動きが遅いよ、適合者ならもっと早く動ける」
カトウ「どうして今更になって適合者でもなんでもないやつをレッドにしたんだ…」
櫻井「でもおかしいよね。悪将軍も相手が適合者でもなんでもないなら苦戦するはずないよね」
カトウ「…おそらくわざと負けに行くんだろうな」
レッド「はあああ!!」
悪将軍「くっ、ぐおおおお!!」
2人の戦いは熾烈を極めているように見えた。
レッド「これが…俺の最後の力だあああ!!」
悪将軍「死にさらせえええ!!」
二人は渾身の力を込めてぶつかり合ったように見えた。
ぶつかったときの衝動でレッドのヘルメットと悪将軍の仮面が宙高く舞った。
そしてカメラが二人の素顔を映し出した。
悪将軍はカトウの父親の川上の素顔を、レッドは中山卓の素顔を取られられた。
そして、悪将軍は力なく倒れた。
悪将軍が倒れたことにより、ショッカー全員が焦り、撤退し出した。
それを見かけた人質も我先にと逃げ出し、現場は大混乱し、中継は途絶えた。
まもるんジャーもやるべきことが終わったことで帰ろうとしたとき、一人の少女は拍手を送った。
マヤ「いやいや、臭い芝居ご苦労様でした」
レッド「………」
マヤ「それで、あなたがいままでやりたかったことっていうのは…コレなんですか?」
レッド「…だとしたら?」
マヤ「ふざけるな!!」
レッド「………」
マヤ「ふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるな!!!!!」
マヤはレッドの中山に飛びかかるが、イエローの三谷がそれを止める。
三谷「やめろ!!マヤ!!」
マヤ「邪魔するな!!」
マヤは収束した空気の球を投げつけた。
マヤ「ヒーローブレイク!!」
空気の衝撃波が辺りを襲う。
ピンク「大丈夫ですか?ご主人様」
中山「大丈夫だ。ここはあいつらに任せて私たちは引かせてもらおう」
ピンク「かしこまりました、ご主人様」
工藤「だれが逃がすかよ」
工藤はピンクの前に立ちふさがる。
ピンク「あらあら、懲りないわね、あなたも」
工藤「しつこいのが取り柄でね」
中山「ここは任せたぞ」
中山が振り返り、立ち去ろうとしたとき、櫻井がそこに立ちふさがった。
中山「…久しぶりだね、櫻井君」
櫻井「お久しぶりです、師匠」
佐藤「…あんまりあなたのことよく知らないけど、よろしく」
俊「………」
佐藤は俊と鉢合わせた。
俊「僕も君のことはよく知らないけど、君になら勝てる自信があるよ」
佐藤「どうして?」
俊「君はいつも守られていた。守られなきゃなにもできなくなるほど脆いからだ」
佐藤「………」
俊「それに君は誇れるものがなにもない。ただの空っぽな人形なんだ」
佐藤「確かにあなたの言うとおり、私にはなにもない。でも、私のために命を懸ける人を見て思った、大切な人のために命を削る人を見て感化された、愛する人のために全てを捨てた人を見て考えた」
佐藤は静かに、しかし力強く淡々と話していた。
佐藤「なにもない私がなにも賭けないでどうするんだと?」
そのとき、俊は一瞬、寒気を感じた。
それは神崎のときのような圧倒的強者と対峙したときと同じものだった。
佐藤の鋭い目線から俊をとらえ、逃がすまいという強い意志が感じられた。
一見、佐藤にはなにも変化は見られないがさっきまでとは別人とも思えるプレッシャーを感じた。
たまらず俊は佐藤に襲いかかる。
しかし、佐藤は俊の攻撃をスルリと交わし、腕を掴んで一本背負いの要領で俊を投げ飛ばした。
佐藤「お前はもう、私を捕らえられない、絶対に…」
体制を立て直した俊は佐藤を凝視して、佐藤の周りを赤い蒸気の様なものが包んでいることがわかった。
佐藤「これが…私の答えだ」
カトウ「で、俺の相手はと…」
悪将軍「………」
カトウ「ふっ、親子の絆っていうのは思ってたより嫌なもんだね」
悪将軍「………」
カトウ「死んでもなお、俺の前に立ちはだかるなよ、親父」
悪将軍「…カトウ、お前には悪いことをした」
カトウ「…一応確認しておくぞ、部長。もうやめろ」
悪将軍「…言葉で語るんて無駄なことだろ?」
カトウ「そうだな、もう戻れないもんな」
悪将軍「そう、戻れないんだ」
カトウ「やっぱり、能力が使えるのが一度切りってことは、能力の解除ができないんだな」
悪将軍「後悔はしてないさ」
カトウ「ほんと…救えねえよ、部長も…俺も…」
一発の銃声とともに、二人の戦いは始まった。
櫻井「中山さん…生きていたんですね」
中山「あぁ、見ての通りだ」
櫻井「どうして中山さんがレッドを?」
中山「全ては今日のためだった。この国に本物のヒーローを生むためのものだったんだ」
櫻井「ヒーロー…ですか」
中山「そう。多くの国民が憧れ、慕い、崇める存在が必要だったんだ」
櫻井「なんのために?」
中山「世界を変えるためだ」
櫻井「………」
中山「私はヒーローの立場を利用し、この国、いや、全世界の指導者となる」
櫻井「…普通じゃダメだったんですか?」
中山「ん?」
櫻井「もっと…誰も傷つかない方法はなかったんですか?」
中山「犠牲がなければ英雄は生まれない」
櫻井「どうしても…ヒーローが必要なんですか?」
中山「誰でも心の拠り所は必要だ」
櫻井「そんなのもののために…和は…カトウの父親は…作られたヒーローのために…どれだけの命が失ったかわかっているんですか!?」
中山「二千八百十二人だ」
櫻井「えっ?」
中山「ショッカーのテロによる死亡者の数だ、公表されたものと非公表のものも含めてな」
櫻井「…そこまでわかっていながら…どうして…」
中山「だからこそ引けぬのだ。私がいまここで諦めてしまっては、それこそこの命の結晶が無意味になる。お前が言った、和や悪将軍の命も全てな。死んでいった者たちの中に、無意味な命など一つもない、無意味にさせてはいけない」
櫻井「………」
中山「…君は兄の死を無駄にする気かい?」
櫻井「………」
中山「…すまない。実はさっき言った二千八百十二人は正しくないんだ」
櫻井「正しくない?」
中山「正確には二千八百十七人の予定だ」
櫻井「…五人増えた?」
中山「そう、君たち5人の指定枠だ」
マヤ「ヒーローブレイク!!」
凄まじい爆発音が響き渡るが、瞬間移動を使いこなす三谷には当たらない。
三谷「マヤ…もう諦めろ。闇雲に攻撃したって当たるわけがない」
マヤ「…いつまでも子供扱いしないでください。私には私なりの考えがあります」
三谷「マヤ、どうやって島から帰ってきたか知らないが…このままではまた島に逆戻りするしかないんだぞ」
マヤ「なんどでも送ればいいじゃないですか。なんど送られようが私は帰ってきます。あなたを殺すために」
三谷「マヤ…もう終わったんだ。もうこれ以上は意味がないんだ」
マヤ「…終わってなんかいません」
三谷「マヤ…わかった。無理やりでも言うこと聞いてもらう」
マヤ「やっとやる気になりましたか…これで、こっちも本気を出せます」
マヤはヒーローブレイクを三谷に投げつける。
しかし三谷は飛んでそれをかわす。
マヤ「空中なら瞬間移動はできない!!」
空中には三谷が瞬間移動するためのワープマークを描けるような場所がないため、空中に逃げた三谷は逃げ場がなかった。
それを狙ってマヤは三谷に向かって一直線に飛び込んだ。
三谷「空中で移動できないのはお互い様だ」
三谷は一直線に飛んでくるマヤに向けて手をかざした。
手に描かれたワープマークをマヤに接触させ、マヤを瞬間移動で飛ばすつもりであった。
しかし、三谷がマヤに手が届く直前で、マヤが軌道を変えた。
三谷「なに!?」
どういうわけか三谷の真上に飛んだマヤはまるでそこに天井があるかのように、空気に足をつけ、蹴って三谷の方向に軌道を変えた。
あまりの出来事に反応が遅れた三谷はマヤの蹴りをくらった。
マヤ「まだです!!あなたをもう地面には落とさない!!」
マヤは再び空気を蹴って三谷に向かって飛んだ。
マヤの攻撃を予想した三谷は何とか腕で攻撃をガードした。
しかし、真下からマヤに蹴り飛ばされたため、三谷は再び空中に浮き上がった。
マヤ「逃がさない!!」
さらに、2,3回軌道を変えて攻めるマヤに三谷は翻弄され、攻撃を受けた。
三谷「そうか、収縮能力で空気を圧縮し、濃度をあげて空気抵抗力をあげたのか」
マヤ「そう。それによって私は空を自由に翔けることができる」
マヤの空中での素早い動きは三谷にはとらえられなかった。
三谷「…仕方ないな」
三谷は隠し持っていた手榴弾を投げた。
マヤ「なっ…」
マヤは爆発に巻き込まれぬよう、距離をとった。
手榴弾は爆発し、爆発に巻き込まれた三谷は地面に叩きつけられた。
マヤ「爆風を利用して無理やり着地したんですか…」
三谷「俺にここまでさせるとは…強くなったな、マヤ」
マヤ「さすがはお兄ちゃん、といったところですね」
俊「くっ…」
佐藤「………」
俊「なんだ?その能力は。お前の能力はそんな能力ではなかったはず!!」
佐藤「………」
俊「周りの赤い蒸気みたいなのはなんだ!?」
佐藤「なにを言ってるかわからないけど、私には時間がない…けりをつけさせてもらう」
佐藤は俊に向かってゆっくり歩き出す。
俊は攻撃を繰り出すが、佐藤にあっさりかわされ、カウンターをくらった。
佐藤の筋力が強くなったり、動きが素早くなったというわけではない。
ただ、どうしても攻撃が当たらないのだ。
筋力も動きの速さも全て中毒者の俊の方が上であるはずなのにだ。
再び佐藤がこちらに向かってくる。
どうすることもできない俊は再び攻撃を試みるが当たらなかった。
反撃を食らうことを覚悟したが、意外にも佐藤の反撃はなかった。
代わりに佐藤は頭を抱えて、苦しそうにうずくまってしまった。
佐藤「だめ…まだ頑張らなきゃ…だめ…なのに…」
再び立ち上がろうと足を踏ん張るが、佐藤はこと切れたかのように倒れ、動かなくなった。
俊「…どういうことだ?。いや、そんなことより薫だ!!」
俊は部長の方にかけていった。
相変わらず佐藤に動く気配は見受けられなかった。
カトウ「うおおおおおお!!!!」
悪将軍「はああああああ!!!!」
ふたりの戦いは熾烈を極めていた。
両者とも一歩も引けぬ戦い、相手を傷つけることも、殺すことさえもためらわぬ戦い。
何十発にもおよぶ銃弾を引く指先にはいっぺんの迷いもなかった。
迷い、戸惑い、躊躇った者が敗れ、命を落とす。
二人ともそれを承知の上での戦いであった。
二人とも、相手を殺してでも守りたいものがあるから…。
俊「やめろ…」
俊の声は届かない。
俊「もうやめろ!!」
俊はふたりの間に割って入った。
俊「やめてくれ!!二人が殺しあうところなんて見たくない!!」
カトウ「邪魔だ!!俊」
悪将軍「どいてくれ!!俊」
俊「違うだろ!!二人はそんな仲じゃないだろ!!中学のときは力を合わせ、背中を預けた仲間だろ!!誰よりもお互いのことを知ってる仲間だろ!!」
カトウ「…確かに、部長以上に俺のことを知ってる奴はいないさ」
悪将軍「カトウに並ぶ私の理解者はいない」
カトウ「だがな!!」
悪将軍「しかし!!」
カトウ 悪将軍「仲間だと思ったことなど一度もない!!」
カトウ「あくまで俺たちの関係は協力者」
悪将軍「お互いがお互いを利用し合う関係」
カトウ「誰よりも俺を知っているからこそ分かる」
悪将軍「誰よりも私を理解しているから分かる」
カトウ 悪将軍「言葉など、なんの意味も持たぬと!!」
俊「やめてくれよ」
カトウ「いくぞ、部長!!」
悪将軍「来い!!カトウ!!」
俊「やめてくれよ!!」
俊は落ちていた拳銃を拾い、頭に当てた。
悪将軍「俊…なにをしてる!?」
俊「俺のせいだ…。俺がいなければ…こんなことにはならなかった!!。薫が裏切る必要なんてなかった!!。二人が殺しあうことなんてなかった!!。薫が…人生を奪われる必要なんてなかった…」
悪将軍「バカな真似はやめろ!!」
俊「カトウ…薫のこと、任せた…」
指に力を込める。
カトウ「バカなやつだ」
悪将軍「しゅううううううん!!!!」
そして、発砲音が響き渡った。
俊「………」
悪将軍「………」
カトウ「ほんとバカなやつだ」
カトウは俊の持っていた拳銃を奪い取り、引き金を引いた。
空気の破裂音だけが響いた。
カトウ「まだ弾が残っている拳銃をみすみす落とすわけないだろ」
俊「頼む…死なせてくれ!!お前の手でトドメを刺してくれ!!」
カトウ「馬鹿野郎。俺は誰も死なせる気はねえよ」
俊「でも…お前…薫に殺す気で戦ったんじゃ…」
カトウ「部長がこの程度で死ぬわけないだろ。手を抜いたらコッチがやられる」
俊「じゃあ、なんのために…」
カトウ「お前が止めてくれるのを待ってたんだ。そうでもしないと話を聞いてくれなかっただろうし…」
悪将軍「話だと?」
カトウ「そう、俊を救う方法だ」
マヤ「はぁはぁ…」
三谷「…もう体力切れか?マヤ」
マヤ「いやいや、息を整えていただけです」
三谷「強がるなよ」
マヤ「強がってないですよ、別に。トドメのための最終準備です」
三谷「トドメ?」
マヤ「はい。…一つ、約束してくれませんか?」
三谷「なんだ?」
マヤ「私が勝ったら…そうですね…勝利の証として今つけてるまもるんジャーイエローに変身するブレスレットを下さい」
三谷「そんなことか…いいだろう、どうせ勝つことはできないだろうし」
マヤ「勝ちますよ。私には秘策があります」
三谷「ハッタリか…はたまた本当か…試せばわかるか」
三谷は手榴弾をばら撒いた。
マヤはヒーローブレイクを投げ、空気の圧力でそれらを吹き飛ばした。
マヤ「もう一丁!!」
さらにマヤは三谷にもう一発、ヒーローブレイクを投げた。
それを見た三谷は瞬間移動で回避する。
マヤ「ただ闇雲にヒーローブレイクを投げていたわけではありません」
三谷は近くのワープマークに瞬間移動した。
マヤ「いまだ、ヒーローブレイク!!」
そのとき、三谷はあたりのワープマーク全てにいつ間にか収縮した空気の球があるのに気がついた。
そして、収縮は解き放たれる。
たまらず三谷は飛んでそれを除けた。
マヤ「飛びましたね!!」
マヤは三谷の真上に飛ぶ。
三谷「何度やろうが無駄だ」
三谷は上に向かって手榴弾をばらまく。
マヤ「速く…もっと速く…何よりも速く!!」
マヤは空気を収縮させ、足をつける。
マヤ「私は、あなたを…超える!!。発動!!ヒーローブレイク」
その途端、足元の収縮した空気が爆発する。
空圧によって加速されたマヤが一気に三谷に向かって落下する。
三谷「なに!!」
マヤ「いっけえええええええ!!!!」
マヤの渾身の一撃が炸裂した。
三谷「ぐはっ!!」
地面に落ちた二人はドサリと倒れこむ。
そして…マヤはゆっくりと立ち上がった。
マヤ「約束ですから…いただきます」
マヤは三谷のブレスレットを外した。
マヤ「これで…もう自由になったんだよ、お兄ちゃん…」
三谷に寄り添うように、マヤは倒れた。
カトウ「…マヤちゃん、勝ったのか」
悪将軍「強くなったんだな…」
カトウ「きっとマヤちゃんはずっと前から、三谷をまもるんジャーの呪縛から解放させたかったんだろうな」
俊「まもるんジャーの呪縛…」
カトウ「俊、お前もブレスレットを外せ。もう必要ないものだろ?」
俊「…そうだな、お前にやるよ」
カトウ「なんでだよ?」
俊「残せるものがないからな…代わりにそれで我慢してくれ」
カトウ「こんなものが形身代わりかよ」
俊「そう言うなよ、結構高いんだぞ、それ」
ピンク「そう、高いのよ、それ」
不意に俊の後ろにまもるんジャーピンクが現れた。
俊「なっ…」
そして、俊の首の後ろに手刀を入れると、俊は力なく倒れた。
悪将軍「俊!!」
危機感を覚えた部長は銃を取り出すが、ピンクに奪い取られた。
ピンク「こんなオモチャじゃ殺せないわよ」
カトウ「お前は工藤が相手していたはず…」
ピンク「あぁ…彼ね。ほんとしつこいから…ミンチにしちゃった」
視線の先にはズタズタに切り刻まれた工藤がいた。
カトウ「…このっ!!」
カトウはピンクの後ろから拳銃を2発発砲したが、ピンクは振り返ることなく、2発の弾丸を素手でキャッチした。
ピンク「私を撃ち殺したいのなら、対戦車バズーカくらいじゃないと傷一つつかないわよ」
櫻井「それならこれはどうだよ」
いつの間にか背後に近づいた櫻井がピンクに向けて手をかざす。
櫻井「SEAL!!」
ピンク「…残念、わたし、それに耐性があるの」
ピンクは後ろを振り向き、櫻井にデコピンをかます。
櫻井は後方に十数メートル吹き飛ばされて、壁に激突した。
櫻井「ぐはっ!!」
カトウ「…な、なんなんだよ、こいつ」
中山「中山グループの資産の3分の1をかけて、研究し、完成させたピグマ融合型マシンミュータント。鬼神姫だ」
悪将軍「マシンミュータント…」
中山「そう、つまりは人造人間だ。活動するのに多大なコストが浪費するため、いままではあまり使われなかったが…強さは鬼神者のそれを超える」
カトウ「あのときの神崎さん以上だと…」
中毒者3人相手に圧倒した神崎が脳裏によぎった。
カトウと部長に緊張が走る。
ここにきて…最後に最強の敵が現れたのだ。




