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悪の手先の風上にも置けぬ  作者: なおほゆよ
第3章 ラストバトル編
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逆転、救出、そして…

Write 82

空を鋭く切り裂く音が鳴る。

精巧に研ぎ澄まされた刀は相手を何度も捕らえるが、紙一重でかわされる。


神崎「お前と戦うのも何度目だろうな」


和「さあな、覚えてない。ただお前に負けた記憶も一度もない」


神崎「そのうち勝つさ」


和「強がるなよ、足止めするのが精一杯のくせに」


神崎「いや、わからないよ。私も中毒者とやらになれば楽勝だろうし」


和「確かに…お前ほどの強者が中毒者になれば…。いや、やめておこう」


神崎「なんだい?気になるじゃないか」


和「そうやって喋って時間を稼ごうとするな、俺は早く終わらせたいんだ」


神崎「ばれてたか…」







マヤ「あなたの相手は私です、三谷光」


三谷「………」


マヤ「さぁ、戦いましょう」


三谷「やめとけ、マヤ」


マヤ「私ではあなたに勝てないとでも?」


三谷「お前は今ヤケになってるんだ。ヤケになって出来もしないことを無理やりやろうとして…」


マヤ「ごちゃごちゃうるさい」


三谷「………」


マヤ「やってみなきゃわかりませんよ、そんなこと」


すると、再びマヤを中心に風が動き出す。


マヤの手の上に集まった風はやがて球体へと姿を変える。


マヤ「くらえ、ヒーローブレイク!!」


三谷へとまっすぐに放たれた球体はやがて収縮されたエネルギーを解き放つかと思いきや、三谷の直前でかき消された。


マヤ「瞬間移動ですか」


三谷の手のひらには物質を瞬間移動させるためのワープマークが描かれていた。


三谷「いい加減諦めてくれ、マヤ」


マヤ「嫌です。勝ちますから」


すると今度はマヤの両手を中心に風が2つの渦を作り出した。


三谷「マヤ…俺は…」


マヤ「黙っててください。あなたは私が倒します。この命に代えても」







工藤「あんまりあんたのことは知らないし…とりあえずまずは自己紹介からしないか?」


俊「………」


工藤「俺の名前は工藤樹。元グリーンかつ元悪将軍をやっていた。お前は?」


俊「………」


工藤「無視か…。まあ、名前なんでどうでもいいんだ。俺としてはできればお前と戦わずに足止めしたいんだが…平和的に解決できないか?」


俊「最近まで悪将軍をやってたやつがよく言う」


工藤「お前、俺が中毒者に勝てないからこうやって交渉してると思ってるのか?」


俊「…つまりなにがいいたい?」


工藤「あまり俺を舐めるな」


すると工藤は突然、俊に接近し、右ストレートで殴りかかった。


突然のことだが、それに反応できた俊は後ろに後退してかわそうとする。


しかし、渾身の一撃が俊のアゴに炸裂した。


確かに俊は攻撃に反応し、攻撃の射程圏外へと逃げたはず。


しかし、攻撃が当たった。


俊「…いま、腕が伸びなかったか?」


工藤「気にするな。それより、アゴに攻撃をくらってフラフラするだろ?あんまり無理するな」


俊「………」


工藤「ほら、もう一発いくぞ」


俊「………」


再び接近し、同じ攻撃をしかける工藤。


俊は再び同じように避けようと後ろに後退する。


そして工藤の腕を注意深く観察し、今度は攻撃を完全に避けた。


俊「はやり細胞変化の能力で腕を伸ばしていたか」


工藤「もう気付かれたか。案外観察力があるね」


俊「ネタさえわかればもうかわせる」


工藤「この程度で勝った気になるなよ」


すると工藤の全身が光に包まれた。








カトウ「櫻井、まずはあの恵とかいうむかつくやつを俺の能力で十分後に飛ばす。そしたら二人がかりで佐藤を押さえる」


櫻井「わかった」


部長「しかし…二人相手にできるのか?」


カトウ「一人でやるしかないだろ、ここには戦力外通告者しかいないし」


そしてカトウは敵に向かって走り出す。


佐藤はライフルを構え、迫り来るカトウに向かって数回、引き金を引く。


カトウ「カトウバリア!!」


銃弾が命中するまえにカトウは前方にバリアをはり、回避する。


櫻井「すごい。でもやっぱりカトウバリアはダサい」


部長「櫻井エクストリームアルバトロスレジェンドよりかはいいと思うぞ」


恵「どうやら遠距離では分が悪いようですね…」


そう言うと恵は佐藤を一瞥した。


すると佐藤がカトウ目がけて一直線に駆け出した。


カトウ「佐藤が来るのか…」


佐藤は容赦なく、カトウに攻撃を繰り出す。


カトウ「くそっ、避けるだけで精一杯だ!!」


しばらく二人はせめぎ合いを繰り広げた。


恵「さて…邪魔者はいなくなったし…少しお話をしませんか?櫻井さん。…いえ、ここはウキクサさんと呼びましょうか」


櫻井「お前と話すことなんてない」


恵「おやおや、せっかく裏切り者が誰だが教えてあげようと思ったのに」


櫻井「戯言に付き合ってる場合じゃない」


恵「戯言ですか…。そう思うのは真実が戯れてるからですよ」


部長「………」


恵「どうして私たちがあなた方がここに来るのがわかったと思いますか?先ほども言いましたが、裏切り者が教えてくれてからです」


櫻井「黙れ!!」


恵「ではクイズです。裏切り者は誰でしょうか?。まぁ、真っ先に疑うのは工藤だと思いますが」

櫻井「………」


恵「ヒントを教えましょう。裏切り者は工藤ではありません」


部長「………」


恵「よく考えてくださいね。重要なことですから」


櫻井「お前たちなら俺たちがここに来ることを知るくらい容易にできるだろ」


恵「うーん…信用ないですね、私の言葉。まぁ、仲間を疑うよりも先に敵を疑いますよね」


その時、櫻井たちの後方から何発もの剛体がぶつかる轟音が聞こえた。


櫻井「なんだ!?」


部長「おそらく、カトウが最初のカトウバリアで未来に送った銃弾がぶつかった音だろ」


櫻井「もうすぐ戦闘が始まって十分か…」


カトウと佐藤は相変わらず攻防を繰り広げている。


部長「あの位置は…マズイ!!。逃げろ!!佐藤!!カトウ!!」


部長の言葉に真っ先にピンと来た櫻井は二人の方に駆け寄る。


それどころではない二人は無我夢中で戦闘を続ける。


そこに櫻井が二人をかばうかのように、大の字で立ち塞がる。


すると、突然現れた数発の銃弾が櫻井の体に命中した。


部長「櫻井!!」


カトウもその光景に気を取られ、よそ見をした。


佐藤はそのスキを逃さずにライフルを叩き込んだ。


カトウ「ぐはっ!!」


恵「戦闘の最初に未来に飛ばした弾丸が戻ってきたということですか…」


部長「しっかりしろ!!櫻井」


櫻井「大…丈夫です。…なんとか…致命傷は避けました」


部長「いま止血するから、じっとしてろ」


櫻井「部長…後ろ…」


部長が後ろを振り返ると、虚ろな目をした佐藤がゆっくりと一歩、また一歩近づいてきた。


部長「くそ…」


恵「そろそろ、チェックメイトですかね」








ちょっと息抜きに、小話


マヤ「と、いうわけで、戦闘の途中ですが、小話の時間です」


櫻井「もっと小話を挟むのにいいタイミングがあったはず…」


マヤ「今回のMCはようやく主人公らしさが出てきた私、マヤが務めさせていただきます」


櫻井「なにさりげなく主人公を襲名しようとしてるの?」


マヤ「モブのくせにガヤを入れないでください」


櫻井「ただのモブなんかじゃねえよ。モブ(主人公)だよ」


カトウ「いや、もっと胸を張って主人公と言えないのか?」


櫻井「それで、今回の小話はなにをするの?。俺はまた死体役でも構わないよ」


カトウ「ほんとお前主役に向いてないな」


マヤ「いえ、今回は茶番外編はやりません」


カトウ「じゃあなにをするの?」


マヤ「今回はいままでのお話を少し振り返ってみようと思いまして…」


櫻井「なるほど、復習編というわけですね」


マヤ「はい、そういうことです。そういうわけでゲストをお呼びしました」


工藤「どーも、ゲストの工藤です」


カトウ「どーも、こんにちは」


マヤ「今回は『あのメグミョンは実は男だった!!』について振り返ろうかと」


カトウ「いろいろ疑問に思うところはあるけど…大丈夫だったのか?」


櫻井「なにがだ?」


カトウ「突然女として生きることになって…なんかその、いろいろと困ったことがあったんじゃ…」


工藤「だいたいは記憶喪失のせいで片付いたからな、特に問題はない」


櫻井「でもいくら自分が佐藤恵なんだと思ってたにしても、性格まで変わるものなのか?」


工藤「元々俺はコスプレ好きの設定だったからな、成りきるのは慣れてたんだろう」


櫻井「まさかコスプレ好きは伏線だったとは…」


工藤「まぁ、あまりコスプレ好きっていうのは定着はしてなかったけど」


カトウ「あと伏線としては歳をとっても見た目が変わらなかったとかいうのもあったな」


櫻井「まぁ、見た目が変わるわけないもんな」


マヤ「あとどれが本物の恵でどれが工藤が変身してた恵かを区別するために、偽物の恵はすべてメグミョンで表記されてますよ」


カトウ「へぇ」


櫻井「そういえば、第一話でメグミョンが俺の名前知ってたのは…」


工藤「見た目が和とそっくりだったから無意識のうちに櫻井と呼んでたんだろう」


櫻井「なるほど」


カトウ「そういえば、本物の恵が近くにいたのに気がつかなかったのか?」


工藤「まさか自分が偽物であるとは思ってなかったからな。その発想が出てこなかった。ただ、すごく懐かしさは感じたがな」


櫻井「あと過去編でまもるんジャーイエローとピンクが工藤か恵かどっちかわからなかったけど、見た目で判断できなかったの?」


マヤ「工藤は体格が大きくはありませんでしたしね。見た目で判断できなかったのでしょう」


カトウ「どうりで過去編の最初の方で小さいことを強調してたわけだ」


櫻井「でも声の違いでわかるんじゃ…」


マヤ「活字表記でどうやって声の違いを理解しろと?」


カトウ「おい」


櫻井「もっとましな言い訳しろよ」


マヤ「あ、あれですよ。マスクで声がこもってわからなかったんですよ、きっと」


カトウ「本格的に言い訳を言い出したな」


マヤ「っていうか、そういう関係があるからほんとは工藤を女にしようか迷ったけどもうなんやかんやどっちでもいいやで男にしたんです」


櫻井「すっごい適当なのは伝わった」


マヤ「いまは女にしとけば良かったと後悔してます」


カトウ「女だったら百合展開だったのにな」


マヤ「もういっそ実は女だけどなんか理由があって男と言ってたってことにしません?」


工藤「それ俺に聞かれてもすごい困る」


マヤ「まぁ、メグミョンについてはこんなもんですかね」


カトウ「そういえば過去編で櫻井の能力の伏線が出てましたな」


櫻井「アンチピグマとかいうやつね」


マヤ「実はですね、ピグマを開発したのはカトウ先輩の父親となっているんですが、協力者が複数人いたという裏設定があるんです」


櫻井「協力者?」


マヤ「そうです。櫻井先輩の親、佐藤先輩の親、そして私の親、あとエトセトラです」


カトウ「そのご都合裏設定はなに?」


マヤ「実はこれこそが私たちが適合者である所以なんです」


櫻井「どういうこと?」


カトウ「適合者は開発者の親族っていうことか?」


マヤ「正確に言うと関係者ですね」


櫻井「つまりは?」


マヤ「ぶっちゃけると、ピグマ開発中のとある実験の失敗の事故の被害者とその親族が適合者となりうるんです」


カトウ「事故?」


マヤ「元悪将軍であるカトウ先輩の父親の回想で病院に運ばれる描写がありましたね?。それはその事故が原因なんです」


櫻井「原因?」


マヤ「はい。その事故によって被害者のDNAに変化が起きたんです。ピグマに適合するような変化が起きたんです」


櫻井「うーん…ご都合主義だな」


マヤ「都合が良くないとやってられません」


カトウ「でもそれなら神崎さんや工藤や先生はなんで適合者なの?」


マヤ「事故現場にたまたま居合わせた人がいたんです。回想にもありましたが、神崎さんはたまたま見学してたら事故に巻き込まれた。先生も大学見学中に巻き込まれたした。工藤の親もピグマの研究員ではありませんでしたが、事故に巻き込まれました」


櫻井「被害者多いな」


カトウ「俊が中毒者である理由は?」


マヤ「適合者と中毒者は違います。俊さんが中毒者になったのはほんと偶然です」


櫻井「せめてなにか言い訳を考えろよ」


カトウ「それにしても、そんな事故があったのに、よく実験打ち切りにならなかったな」


マヤ「いえ、大学での研究は打ち切りになりました」


櫻井「じゃあ、どうしてピグマが?」


マヤ「これ以上は少しネタバレになりつつあるので辞めときます」


カトウ「それにしても、よくこの場所に適合者がたくさん集まったな」


マヤ「適合者だったからこそ、ここに集まる確率が高かったんですよ、きっと」


櫻井「まぁ、そういうことしておこうか」


マヤ「さて、小話もそろそろ終わりにしましょうか」


櫻井「そうですね」


マヤ「ついに始まったスペキュレーションとの全面戦争、生き残るのは誰か。そして真の黒幕とは!?。俺たちの冒険はまだまだ続く!!」


櫻井「打ち切りエンド臭くするのやめて」







俊「早い!!」


俊の目の前を大きな翼をもった生き物が飛びゆく。


その生き物は素早く、中毒者の俊も捕らえることは難しかった。


翼をもった生き物は、俊敏さを生かし、俊を翻弄し、背後から鋭い爪で襲いかかる。


それに気がついた俊は間一髪で攻撃を避けようとするが、爪が肉体を切り裂く。


工藤「どうした?そんなもんか?」


俊「…なんだ?その姿は?」


工藤「キマイラって知ってるか?」


俊「………」


工藤「もしくはキメラとかっていう仮想生物だ。獅子の体と鷲の体が合わさった生き物」


俊「お前がそのキメラだっていうのか?」


工藤「そうだな。細胞変化能力で大鷲の翼と獅子の爪を生成した」


俊「化け物か…」


工藤「俺らから見たら中毒者も十分化け物だからな…このぐらいのハンデはなきゃ」


そう言うと翼を広げた獅子は再び、敵の懐に飛び込んだ。






マヤ「ヒーローブレイク!!」


掛け声とともに放たれた轟音は辺り一体を吹き飛ばした。


しかし、三谷はいまだ無傷で立っていた。


三谷「もう辞めろ、マヤ。俺には瞬間移動があるんだ、いくら攻撃したって当たるわけがない」


マヤ「はぁはぁ…。まだ終わってなんかないです」


再び空気が集まりだした。


三谷「マヤ!!」


マヤ「言いましたよね、命に代えてもあなたを倒すと」


収縮した空気の球体をマヤは両手でギュッと抱きしめた。


三谷「な、なにしてるんだ!?」


マヤ「このままヒーローブレイクを発動させます」


三谷「そんなことしたら死ぬぞ!!」


マヤ「いいんです、あなたと一緒だから。あなたは私が死ぬとわかったら必ず助けに来ます。でもその前にヒーローブレイクで私ごとあなたを倒します」


三谷「マヤ!!」


マヤ「これが…私の覚悟です!!」


三谷「くっ、瞬間移動発動!!」


マヤ「ヒーローブレイク!!」


かつてない空気の衝撃波が辺りを覆った。


全てを吹き飛ばし、大気の流れは消えて行った


そして、そこにはなにも残らなかった。







俺が…助けなきゃ


俺が、みんなを、佐藤さんを助けなきゃ!!


櫻井「うおおおお!!!」


部長「無理をするな!!櫻井」


櫻井「俺がみんなを守るんだ!!」


櫻井は全身から血を流しながらも気力だけでなんとか立ち上がった。


カトウ「さく…らい…」


佐藤からの渾身の一撃を受けたカトウはなんとか意識は取り戻したものの、立ち上がることすら出来ないでいた。


櫻井と部長の元にフラフラと迫る佐藤の目にはまるで正気がやどっていなかった。


櫻井「俺が助けるから…」


恵「まだ立ち上がりますか…厄介ですね。近づくとなにをされるかわかりませんね。ここは…」


恵がそういうと、佐藤は持っていたライフルの銃口を櫻井に向けて構えた。


恵「遠くから撃ち殺すのが一番ですね」


無気力に構えられ、小刻みに震える銃口から、佐藤自身の抵抗を感じた。


しかし、櫻井を中心にぶれていた銃口はやがて、標的をしっかりと捕らえる。


部長「櫻井!!」


部長が叫ぶも、櫻井の目には佐藤しか写っていなかった。


櫻井「俺が…」


恵「しつこいですね。もう撃ちなさい」


恵の命令を受けて、佐藤の引き金を引く指に力がかかる。


佐藤「…だめ」


その途端、佐藤の全身が痙攣しだし、再び銃口がゆれた。


佐藤「…だめ、だめ!、だめ!!」


佐藤の瞳から涙が流れた。


次の瞬間、櫻井は本能的に手に持ったボールを投げるかのように腕を降った。


実際にはなにも手に持っていなかったために、手に付着した血だけが辺りに飛び散った。


恵「なにをするかと思いきや…。いいからとどめを刺しなさい!!彩!!」


佐藤「あ、…あ!!」


佐藤の抵抗も虚しく、震えが止まり、再び佐藤は操り人形と化した。


ところどころに血痕が付着した佐藤は再び光のない瞳で櫻井を捕らえた。


櫻井「助けるから…」


恵「撃て!!」


櫻井「SEAL!!」


櫻井がそう叫ぶと、佐藤はぽとりとライフルを落とした。


そして、全身に力が抜けたかのように膝から崩れ落ちる。


倒れて地面に打ち付けられそうになったところを櫻井が抱きしめた。


櫻井「おかえり」


佐藤「…ただいま」


そう言うと櫻井の腕の中で、佐藤は眠ったがように意識を失った。


カトウ「これは…一体?」


フラフラと起き上がったカトウが櫻井の元に歩み寄った。


櫻井「ショッカーの元アジトで悪将軍が残したヒントのことを覚えているか?」


カトウ「あぁ、透明化された血の文字だろ?」


櫻井「あぁ。悪将軍が死んだ後もその血の文字は能力が発動したままだった」


カトウ「そうだな」


櫻井「だから、適合者の血には能力を発動させる効力があると思ったんだ」


カトウ「なるほど。だから櫻井の血が付着した佐藤に遠距離からSEALを発動できたのか」


櫻井「そう。佐藤さんは適合者の能力で操られていた。だからSEALでその適合者の能力を打ち消して洗脳をといたのさ」


カトウ「櫻井にしては上出来だな」


櫻井「だがもう動けない。後は頼んだ」


カトウ「OK。あとは任せろ。お前はそのままお姫様を守ってろ」


カトウはそう言うと恵の方に振り返った。


櫻井「まか…せた…」


櫻井はそう言うと気を失った。


恵「いやはや…お見事です。まさか遠距離からSEALを発動させるなんて思っても見ませんでした」

恵は両手で拍手し、櫻井を賞賛した。


カトウ「やけに余裕だな。佐藤がいなくなったいま、俺と部長の2人を相手にしなきゃいけないんだぜ?」


恵「ふふっ」


カトウ「何がおかしい?」


恵「いやいや…まさかこんなところで保険を使うことになるとは思っていなかったので…」


カトウ「保険?」


恵「はい、とっておきの秘策です」


カトウ「へぇ、いまさらそんな秘策があると?」


恵「はい、びっくりすると思います」


カトウ「そんなハッタリがいまさら通じるとでも?」


恵「ハッタリなんかじゃないですよ。さっき言っていた裏切り者の話です」


カトウ「工藤のやつは知らんが…少なくとも俺らの中に裏切り者なんていねえよ」


恵「へぇ…って言っていますが、答えを聞かせてもらえますか?神崎薫さん」


カトウ「は?」


次の瞬間、カチャリという音と共にカトウの後頭部に冷たい鉄の筒が突きつけられた。


部長「………」


カトウが目線を後ろに向けるとそこには冷たい、冷徹な瞳をした神崎薫の姿があった。


カトウ「…なにやってんだ?部長」


部長「許せ、カトウ」


カトウ「…なるほど。どおりでさっきから俊が近くにいるっていうのに冷静でいるわけだ」


カトウは部長の表情から真実を察した。


カトウ「俊を人質にされたか…部長」


部長「………」


カトウ「いくら能力で操られているとは言えど、屈強な精神を持つ部長がちょっとやそっとで操られるわけないもんな」


部長「…カトウ、もう黙れ。私が目的のためなら手段を選ばないのはお前が一番よく知ってるだろ」


カトウは部長の瞳を見つめる。


部長「いまはもう引け」


カトウ「嫌だと言ったら?」


部長「…私にお前を殺させないでくれ」


カトウ「…能力発動」


その言葉と共にカトウは未来に消え去った。


恵「逃がしましたか…まぁ、よしとしましょう。皆さん、撤退しますよ」


その言葉をテレパシーで聞いたのか、和、俊、そしてどこかから現れた三谷が恵の元にも集まった。


そして…


部長「俊…私もそっちに行くから…」


俊「………」


5人は静かに、闇へと消え去った。

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