表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪の手先の風上にも置けぬ  作者: なおほゆよ
第3章 ラストバトル編
84/95

あの人が選んだ人だから

ようやく過去編も終了です。



これまでの櫻井達の話。


策を張り巡らし、とうとうレッドを追い詰めた櫻井達。しかし、策に溺れ、同時に櫻井までも危険な状態に追い詰められ、絶体絶命のピンチに陥ったが、それを救ったのはレッドであった。そしてそのはずみでレッドの正体を隠していたヘルメットが取れ、レッドの正体はなんと櫻井ウキクサにそっくりな姿をした兄の櫻井和であった。知ってた。


ようやく過去編も終了です。


でも過去編の回想がいきなり始まったりして読みにくいかもしれませんが、頑張って解読してください。

Write80


公園


和「急に来てもらってわるいな、茜」


茜「…なによ?話って」


和「まぁ、立ちながらもなんだし、座れよ」


そう言うと和は茜にブランコに座るように促した


茜はなにも言わずに、素直にブランコに座った


和「懐かしいよな、この公園」


茜「そうね。最近遊んでないけど」


和「オレたちが出会ったのもここだったっけ?」


茜「多分ね」


和「もう10年以上前か…いろいろあったな…」


茜「そうね…」


和「水道からあの砂場まで水路を作って砂場を水浸しにして怒られたりとかあったな…」


茜「よくそんなこと覚えてるわね。木に登ったはいいが、恐くて降りれなくて3時間くらいずっと木にしがみついてた誰かなら覚えてるけど」


和「そういうのは早く忘れろ」


茜「もう無理よ、なかなか忘れらんないわよ」


和「そういう茜だって、公園の落ち葉でたき火をしようとしたら、大人から5時間くらい説教くらってたろ」


茜「そんなこともあったね、何人か巻き添いくらってたね」


和「俺とかね」


茜「あぁ、そういえば和も巻き添いくらってたね」


和「まったく…お前のせいでなんど酷い目にあったことやら…」


茜「ちょっとくらい大目に見てくれたっていいじゃない」


和「どれだけ大きい目で見ればいいのやら…」


茜「私のやることなすこと全て許容できるくらいには」


和「それは人類には無理だな」


茜「結婚相手に求める最低限の条件はそれだな」


和「該当者が出ません。っていうか、これ前にも聞いたことあるな」


茜「あら、そう」


和「やっぱり茜と思い出話をしてたら話題は尽きないな」


茜「当たり前よ、10年以上積み重なった思い出を1日や2日で語り尽くせるほど、薄い人生を送ってないわ」


和「ほんと、思い出がいくらでも出てくるな。あんだけ一緒にいればな」


茜「まったくね」


和「茜にはほんといろいろされたよな。不始末の後処理とか、一緒に謝罪させられたりとか…」


茜「疫病神か、私は」


和「朝、無理やり起こしてくれたりとか、料理つくってくれたりとか、悩んでる時は元気付けたりとか…オレの人生、半分以上は茜で埋め尽くされてる気がする」


茜「………」


和「それだけ、大切な人なんだって気付かされたよ」







建物は崩壊し、瓦礫が散乱する廃墟の中で、一人の男の声が響く。


カトウ「おい!起きろ!!櫻井!!」


櫻井「ん…カトウか…なんて最悪な目覚めだ…」


カトウ「そんなことより、レッドはどうした!?」


櫻井「レッド?…あっ!!」


そうだ、思い出した!


カトウの能力で未来に飛んで、爆発を回避しようとしたけど、俺だけ取り残されて…


でもレッドが俺をかばって爆発に巻き込まれて、それでその後気絶させられたんだった!!


そしてレッドの正体は…


櫻井「レッドが…和だった」


マヤ「和?」


櫻井「レッドが…兄貴だった」


カトウ「え?」


櫻井「…まだ近くにいるはずだ!!あれだけの爆発をモロに食らって無事なはずがない!!」


神崎「手分けして探そう。手負いとはいえ、見つけたら深追いはせずに、すぐに全員に知らせるように」







レッド「はぁ、はぁ…」


流石に、逃げるだけで精一杯か…


意識が無くなる前に…早く安全なところへ…


レッド「!!」


まずい、誰かがこっちに来る、だが逃げる余裕がない…しかも、この気配は…


姉「…和、なの?」


レッド「あか…ね…」


ドサッ!!


意識はそこで途絶えてしまった






翌日


櫻井「………」


結局、レッドは…和は見つからないまま、一日が過ぎた


これだけ見つからないんだから、もう逃げてしまったのだろう


どうして、和が…


そして、もうひとつ…やつらのアジトに侵入した部長から連絡がない…


やつらに見つかってしまったのか…


神崎さんも気が気でない


そのとき、携帯が鳴り出した


着信…部長からだ!!


櫻井「もしもし!?」


部長『もしもし?櫻井か?』


櫻井「部長!無事だったんですね!」


部長『あぁ、心配かけたな』


櫻井「無事でよかった…」


部長『話は聞いた。佐藤を助けられなかったこと、レッドに守られたこと、そして…レッドがお前の兄だったこと』


櫻井「…はい」


部長『…ショックだったか?』


櫻井「…俺だって元ショッカーだったし、やっぱりなんか理由があると思う」


部長『それもそうだな、なにか心当たりはあるか?』


櫻井「…わからない」


部長『そうか…。わたしは一つ、心当たりがある』


櫻井「なんですか?」


部長『…いまは言うのはやめておく』


櫻井「なんでですか?」


部長『…月曜日、学校で話す』


櫻井「まぁ、みんなで話したほうがいいですよね。そういえば、アジトに侵入してなにか成果はありましたか?」


部長『…特になにも。だが、アジトの機能は停止させた。しばらくはやつらも動けないだろう』


櫻井「そうですか…。じゃあまた学校で」


部長『あぁ、またな。…そうだ、櫻井』


櫻井「なんですか?」


部長『お前、目的のためなら大事な人を殺す覚悟があるか?』


櫻井「それは…兄貴のことですか?」


部長『そういうことにしておこう。で、覚悟はあるか?』


櫻井「ありません」


部長『即答か』


櫻井「目的も果たし、大事な人を助けるために動く」


部長『そうか…。お前はそれでいい、じゃあな』


携帯『ツー、ツー、ツー』


櫻井「………」


なんか変だったな、部長


あ、また着信だ…今度は姉ちゃんからだ


いたずら電話でなければいいが…


櫻井「もしもし?」


茜「…ウキクサ、今からうちに来て」


櫻井「なに?ゴキブリが出たから退治してとかじゃないよね?」


茜「いいから…大事な話があるの」


櫻井「…わかった」


電話越しでもいつになく真剣なのがわかった


なにかあったのか?







櫻井家


櫻井「ど、どうして…ここに和が…」


目の前で横になって眠っている和の姿があった。


姉「…歩いてたら、拾った」


姉の言葉からは感情が感じられなかった。


しかし、姉は穏やかで、どこか安堵に満ちた顔をしていた。


櫻井「……まだ、生きてたのか」


どうする?


これはトドメを刺す絶好の機会だぞ…


迷うな、相手はスペキュレーションだ


櫻井が決意を顔に表したそのとき、姉の瞳からポロリと涙がこぼれ落ちた。


姉「よかった、生きてたよ、本当に生きてたよ」


なにがあって泣かなかった…いや、泣けなかった茜の瞳から、ずっと塞き止めていたものが、溢れ出すように。


姉「ねぇ、ウキクサ。これは夢じゃないよね?。わたしどうかしちゃってるわけじゃないよね」


ボロボロと涙を流す姉の姿を、ウキクサは初めて目にした。


いや、たぶん、誰も目にしたことはない。


茜の涙に、ウキクサの心は揺れた。


ウキクサ「うん、よかった。ほんとに…よかった」


気がつけば決意はどこかに消えてしまった、溢れ出す涙と共に。







中山家


マヤ「………」


今日、イエローを実際に見てわかりました。


それに瞬間移動と思われる能力も使っていました。


間違いないですね、イエローは三谷光です。


でも、最後に見た三谷は瀕死の重態を負っていました。


普通なら助からない…でも、生きていた。


確かメグみょんさんが言っていたましたね、ゼロを除いて中毒者はあと2人いると…。


一人は三谷、そしてもうひとりはおそらく俊って人なんでしょう。


…どうして三谷はまたイエローをやっているんるんでしょう?


佐藤先輩と同じように洗脳されているんでしょうか?


もしそうではないのなら…おそらく原因は…。


そして、もう一つ疑問があります。


どうしてやつらは…スペキュレーションは私たちを殺さないのんでしょうか?


もう私たちは顔もわれていますし、力も権力もあるやつらなら私たちを殺すことは容易いはずです。


でも、そうしないのは私たちに利用価値があるから…。


利用価値…それはずばり、人質。


現在のレッドは櫻井先輩の兄、イエローは私の兄、グリーンはカトウ先輩の友人で、部長の元?彼氏。


例えば、全員が私たちの命と引き換えに闘っているのなら…納得がいきます。


マヤ「強く、ならなくきゃな…」


いつまでも、守られる存在だと思わないでください、お兄ちゃん








櫻井家


お昼ごろになると和は目を覚ました。


起き上がり、俺や姉ちゃんの姿を見ても特に反応はしなかった。


目の前の光景をさも当然かのように眺めていた。


ちょうどそこに昼ご飯ができたと姉ちゃんの声が聞こえた。


さも当然かのように3人前の料理が用意されたテーブルに、さも当然かのように3人は座った。


姉ちゃんのいただきますに誘われて、俺と和もいただきますをして、そのまま料理を食べた。


しばらくは3人とも無言で食べていたが…なんとなく俺は口を開いた。


櫻井「中毒者もご飯は食べるんだな」


和「…ピグマはあくまで止まった血液の代わりを果たすための存在だ。消化器官がなくなったわけではないので食べることができる」


櫻井「ふーん…」


姉「中毒者?」


櫻井「こいつはいま薬なしでは生きていけない状態なんだよ」


姉「ふーん…エイズみたいなもんか」


櫻井「その捉え方はどうだろうな」


なんか、すごい懐かしかったんだ。


いけないとは思いつつも、気持ちは嬉しかった。


きっと姉ちゃんだって…和だって…。






そしてやがて明かりは沈み、静寂な真夜中が訪れた。


櫻井「やっぱり出て行くんだな」


和「………」


なにも言わずに家を出て行こうとする和を櫻井は呼び止めた。


櫻井「…姉ちゃん、悲しむぞ」


和「…そうだな。俺を引き止める気か?」


櫻井「…なに言ったってどうせ説得出来ないだろうし、代わりにひとつ聞かせてくれ」


和「………」


櫻井「どうしてスペキュレーションに加担する?」


和「………」


櫻井「確か前に生きるためとか言ってたよな?。そうまでしてなんのために生きるんだ?」


和「…共に生きたい人ができたから。それだけだ」


櫻井「そうか…」


それだけ言うと、和は櫻井に背を向け、歩きだした。


その後ろ姿を櫻井はじっと見つめていた。


これが兄弟としての最後の会話かもな…。


やがて夜の闇に溶け、和の姿が見えなくなると櫻井は家の中に戻って行った。


自分の部屋に戻ろうとした途中で、台所の明かりがついていることに気がついた。


台所では姉が静かに椅子に腰をかけていた。


姉「…和、行っちゃった?」


櫻井「うん。ごめん、呼び止められなかった」


姉「ウキクサは悪くない。悪いのはバカな和だからさ」


冗談交じりにそう言うと姉は櫻井に笑顔を向けた。

その笑顔はどうしてか、櫻井の胸を締め付けた。


櫻井「………」


なにか話題を変えるためにも、櫻井は辺りを見渡した。


櫻井「姉ちゃんが高校生のときの話を聞かせてよ」


櫻井の目に止まったのは家に飾ってある10年前に姉ちゃん達5人で撮った、高校生のときの写真だった。


姉「ん?急にどうしたの?」


櫻井「いや、あの写真が目に入ったからさ」


姉「ああ、あの写真か…。いろいろあったわね。なにから話せばいいのか…」


櫻井「例えばさ、この工藤っていったっけ?。この人はどんな人だったの?」


昔のことだったので、工藤とあまり面識がない櫻井は聞いてみた。


姉「あぁ、工藤ね。すごいわよ、そいつはまもるんジャーやってたからね、恵もだけど」


一度話し出すと姉の昔話はとどまることを知らなかった。姉は嬉しそうに、楽しそうに、そしてときどき悲しげに、自分が過ごした過去を話した。話は延々に続いた。何時間も、何時間も…






公園には夕日が沈みかけ、茜色の空が広がっていた。


和「それだけ、大切な人なんだって気付かされたよ」


茜「…なによ、急に」


突然の言葉に思わず茜は言葉を失う。


錆び付いたブランコの鎖がキイキイと鳴る。


和「苦しんでるなら助けたい、泣いてるなら守りたい、そう思えるほど大切な人なんだって…」


茜「………」


和は静かに言葉を並べた。淡々と話していたが、茜にはその思いが伝わっていた。


ずっと一緒に過ごした茜にはわかる、わかっている。


和がなにを言いたいのかが、痛いほど、わかってしまう。


茜は顔を伏せ、和の次の言葉を待つ。


しばらく黙っていた和が、意を決して、重い口を開く。


和「でも、そんな茜よりも大切な人ができた」


茜「………」


わかってる


和「茜を苦しめてもそばにいたい、泣かせてでも繋がりたい人ができた」


茜「………」


知ってる


和「だからオレは…」


茜「馬っっ鹿じゃないの!?」


私がどれだけあんたのことを知ってると思ってるの?


和「え?…」


茜「なんでそんな大切なことをその人に言わずに私なんかに言うのよ?。私たちはただの幼馴染なのよ?」


あんたの考えなんてまる分かりなのよ


突然立ち上がり茜は和の後ろに立ち、両手で和の背中を押した。


茜「早く言いに行きなさい、大切なその人のもとへ」


それくらい、あんたのこと好きなんだよ。


顔を見られないよう、うつむいたまま、強く押した。


茜「たかが和ごときの分際で私のことなんて気にする必要はないわよ」


強がる言葉に反して、顔を伏せて、強く押した


茜「だから早く行きなさい」


泣けないことに、これほど感謝したことはない


茜「だから、けして振り返らずに、行きなさい」


和に涙を見せずにすむ


茜「あぁ、もうほんと、リア充爆発すればいいのに!!」


精一杯、笑って見送くれる


和「…いままで、ありかとう、茜」


茜「行ってらっしゃい、和」


こんなに苦しいのは、私だけで十分だよ





この河川敷を行けば、君に会える気がする。


君が待ってる気がする。


確信なんてないけど、君もこの道を歩いているのが分かる。


早く会いたいって気持ちが足を急かす。


いつから走っていたんだろう?


いつから息が切れていたんだろう?


そんなことも気がつかないくらいに、会いたいって、伝えたいって…。


ほら…やっぱりいた


和「はぁはぁ…恵さん、やっぱりここにいたんだ」


恵「和さん。息なんで切らしてどうしたんですか?変出者みたいですよ」


両手にビニールをぶらさげた彼女は急に現れた和に驚き、そして…少し嬉しそうな顔をした。


和「はぁはぁ…聞いて、ほしいことが…はぁはぁ…あるんだ」


恵「大丈夫ですか?。酸素マスク使いますか?本当は今日の晩御飯のおかずに使うつもりだったんですが…」


酸素マスク使うおかずってなんだ?という気持ちを抑えて、和は息を調える。


恵「遠慮しないでください。酸素マスクがなくたって美味しいお味噌汁を作れますから…」


和「好きだ!!」


恵「…え?」


一瞬の間をおいて、恵は思わず言葉がもれた


和「オレは君が、恵さんが好きだ!!」


恵「和、さん?」


恵は戸惑っているのか、よく状況が理解できないようだ


和「自分でもなんでこんなに好きなのかよくわからない、でも君に会いたいって思った、好きと伝えたいと思った、一緒にいたいって思った」


恵「…だめ、ですよ」


恵は顔を俯け、小さく呟いた。


恵「和さんには茜がいます。わたしなんかより、ずっと大切な茜がいます、だから…」


和「恵さんは、それでいいの?」


恵「もちろん、構いませんよ」


和「そうじゃなくて…それは本当に恵さんが望んでることなの?」


恵「そんなこと、決まってるじゃないですか。だから…だから…もう…」


和「なら、そんな辛そうな顔してふらないでよ」


恵「やめて」


和「気持ちを隠せてない。そんなんじゃあオレは諦められない」


恵「やめてよ!!」


恵が叫ぶと同時に、恵の瞳からボロボロと涙がこぼれ出た


恵「茜は…茜は…」


和「オレは…恵さんの素直な気持ちが聞いたい」


恵「…好きです。私も…和さんのことが、好きです」






気がつけば夜は明け方にさしかかり、ほのかに明るくなった外では小鳥が鳴く声が響く。


姉は途中からシラフで話せるか、と言い取り出したお酒に酔ったのか、気持ち良さそうに机に顔をうずめて寝ていた。


一応櫻井は毛布を肩にかけておいた。


姉からはいろいろな話を聞いた。5人で海に行ったこと。


たくさん遊んだこと。


同じ部活に入り、和と中山さんはショッカーで、工藤とメグミョンはまもるんジャーをやっていたこと。

一度は協力して悪将軍を討とうと立ち上がったこと。


和とメグミョンが付き合っていたこと。


姉ちゃんの母親が刑務所で自殺したこと。


そしていろいろ考えた末、姉ちゃんはこの町を出で行ったこと。


そしてしばらく一人で過ごしていたさなか、俺と和の両親が亡くなった際に、帰って来たこと。


三人で母親と父親の死を悲しんだこと。


姉ちゃんがいない間にショッカーである和と中山さんとまもるんジャーであるメグミョンと工藤の間に不信感が生じていたこと。


それでも帰って来た姉ちゃんがなんとかみんなをまとめて、高校生の卒業式の日に悪将軍と決着をつけるべく、出かけたこと。


そして、みんな帰って来なかったこと。


しばらくして中山さんだけは生きていることがわかったこと。


いろいろショックな内容が多かった。


帰って来た中山さんもどうしてこうなったかがわからなかったそうだ。


そして、おそらくは和の意思を継ぎ、ライトパウアーを引き継いだのだろう。


しかし、和は生きていた。そのあとはゼロとしてショッカーをやっていたはず。


中山さんは知らなかったのか?それとも知っていたがどうしようもなかったのか?。


それを確かめる術はもうない。


メグミョンは大怪我をし、姉ちゃんが知らない間に遠くの病院で入院していたそうだ。


記憶を失ってしまったために連絡が滞ったのだろう。


そして、工藤は行方不明。


彼は一体どうなったのか?。


いろいろと不可解な点が多かった。


他にも和のこと。


和がスペキュレーションをやっている理由は共に生きたい人ができたからと言っていた。


共に生きたい人…付き合ってたメグミョンのことか?


いや、今までのゼロのメグミョンに対する態度からそんなものは感じられなかった。


いくら付き合ってたとはいえ、10年も前の話だ。


他に好きなやつでもできたのかもしれない。


結局のところはなにも分からないのだ。


あと一つ気がかりなことは、俺と佐藤さんは小さい頃、しょっちゅう会っていたということだ。


いや、覚えてなかったというわけではない。


ただ昔のことなのであまり覚えてなかったのだ。


佐藤さんは覚えてたのかな…。


やつらの、スペキュレーションの戦力は…少なくとも相手の位置がわかる能力をもつ中毒者のレッド、和。


テレパシー能力をもつ元ショッカー158のブルー、正体不明。


瞬間移動の能力を持つ中毒者イエロー、おそらくは三谷さん。


能力不明の中毒者グリーン、元部長の恋人らしい俊。


五感操作能力をもつピンク、操られている佐藤さん。


変身能力をもつ悪将軍、メグミョン


一方こちらの、ライトパウアーの戦力は…当たれば相手をほぼ無力化できるSEALの能力をもつ俺


10分後の未来に送れる能力をもつ加藤


物を小さくする能力をもつマヤちゃん


頭脳明晰、天才ハッカー兼司令塔の部長


元まもるんジャーレッドで剣を召喚する能力をもつ神崎さん


やっぱりこれだけじゃ厳しい。佐藤さんとメグミョンはまだ完璧にあっちの戦力になったとは言えない。


それに元まもるんジャーブルーの先生も、力になってもらわないと。


佐藤さんを連れ戻すには洗脳を解くしかない。


メグミョンは記憶を取り戻すためにスペキュレーションとして戦ってる…。


メグミョンが言っていた、メグみょんが忘れたものっていったい…。


姉「ん…あれ?いつの間にか寝てた」


いろいろ考えていると、姉が目を覚ました。


櫻井「おはよう、姉ちゃん。コーヒーでも入れようか?」


姉「コーヒーはいいや。ミロが欲しい」


櫻井「ミロかよ」


姉「ミロを馬鹿にするなよ」


櫻井「してないよ」


コップを取り出し、ミロを注ぐ。


櫻井「姉ちゃん、恵さんって元まもるんジャーピンクやってたんだよね?」


姉「ん?。いや、恵は元まもるんジャーイエローだよ?」


櫻井「え?」


思わずミロをこぼしてしまった。


姉「おい、貴重なミロをこぼすな」


櫻井「恵さんがまもるんジャーイエロー?」


姉「そうだよ。私もまもるんジャーピンクだと思ってたんだよね。まさかまもるんジャーピンクは男の工藤がやってたとは思ってなくてさ…」


櫻井「………!!」


突然、はっとしたように顔を上げた櫻井は一目散に玄関に駆け出し、そのままドアを開けて出て行った。


姉「ちょ、…いきなりどうしたんだろ?」


あまりに急いでいたのか、ミロとミロの入ったコップを持って出て行ってしまった。


姉「…ミロは置いてけよ」


姉はぼそっとつぶやいた。




店長「君、クビね」


メグミョン「そ、そんな…」


モデルルームの看板を持って待機するバイトをやっていたメグミョンはいつも通り、解雇通告を受けていた。


メグミョン「う、う…せっかく2週間も続いたバイトなのに」


どうやら同じバイトが2週間も続くのは新記録らしい。


櫻井「やっと見つけた、メグミョン!!」


メグミョン「あれ?どうしたんですか?櫻井さん。言っておきますけど、彩の居場所は教えませんよ」


櫻井「違います。大事な話があるんです」


メグミョン「なんですか?」


櫻井「もしかしたら、メグミョンが忘れた大切ななにかが分かったかもしれないんです」


メグミョン「ほんとですか?」


櫻井「まだ確信はできません。なので今から証明したいんです」


すると櫻井はメグミョンに右手を差し出した。


櫻井「俺を信じて、この手を握ってください」


メグミョン「………」


メグミョンは櫻井の目を見た。


その目はまっすぐにメグミョンの瞳を捕らえていた。


メグミョン「……分かりました」


メグミョンはゆっくりと自分の右手を差し出し、そして…


櫻井の手を握った。


それを確認し、一呼吸を置いたあと…静かに、しかし力強く言い放った。


櫻井「SEAL」


櫻井の言葉に合わせ、繋がれた右手が光り、その光はやがてメグミョンを包み込んだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ