表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪の手先の風上にも置けぬ  作者: なおほゆよ
第3章 ラストバトル編
79/95

もう戻らない夏

Write75


ウキクサ「彩、どうして君はこの南国の太陽より眩しいんだ?」


彩「そういう仕様」


ウキクサ「彩、どうして君の心はこの青い海より澄んでいるんだ?」


彩「ノリで」


ウキクサ「彩、どうして君の隣にいる僕はこの亜熱帯気候より熱を帯びているんだ?」


彩「それは…わたしの風邪が移ったからだな…ゴホッ!!ゴホッ!!」


ウキクサ「だな…ゴホッ!!ゴホッ!!」


和「隊長、ふたりダウンしました」


茜「くっ、せっかくの沖縄旅行なのに」


和「どうする?」


茜「どうするもなにも…全力で楽しむしかないじゃない!!」


工藤「とりあえずふたりは旅館で休んでもらうとして…やっぱだれか見てたほうがいいんじゃないか?」


ウキクサ「ゴホッ!!…心配ないよ」


彩「わたしたちなら大丈夫…ゴホッ!!」


和「とは言ってもな…」


恵「………」


茜「わたしが見てようか?」


ウキクサ「女性の手を煩わすわけにはいかない」


和「じゃあオレが…」


ウキクサ「見られるとイライラしそうでやだ」


工藤「じゃあオレが…」


ウキクサ「それはやめろ!!オレのトラウマ!!」


工藤「そんな激しく拒否しなくても…」


茜「ほんとに大丈夫なの?」


ウキクサ「大丈夫だ、僕がついてるし」


茜「じゃあ頼んだよ」






茜「さてと…今日はもう夕方だし、晩餐の準備でもしますか?」


和「晩餐?」


茜「BBQよ」


工藤「BBQだと…」


恵「………」


和「でも食材は持ってんのかよ?」


茜「大丈夫、あんたらなら熊の一匹や二匹取れるわ」


和「いやいや…普通に無理」


茜「病気のウキクサや彩ちゃんにも力がつくもの食べてもらいたいじゃない」


和「そうだけど。素直に買うべきだろ」


茜「自分で捕まえたからこそ味わえるものってあると思わない?」


和「うん、思わない」


茜「いいからとっとと行って来いや!!」


和「なぜそんなにも無理矢理行かせるんだか…」


工藤「うまい肉期待してるぞ」


茜「なに言ってんの?工藤も行くのよ」


工藤「やっぱり?」


茜「ほら、とっとと熊じゃなくてもなんでもいいから取って来い」


和「わかったよ…」






宿


ウキクサ「ごほっ…くそ、早く治さなければ…」


彩「焦りは禁物だよ」


ウキクサ「でも主役のこの僕がこんな状態じゃ…この小説もダメになってしまうんだ!!」


彩「大丈夫、それは現状維持だから」







和「まったく…茜のやつ、沖縄に来てまでなにをやらせてんだ?」


工藤「まぁ、そう言うな」


和「しかも熊を狩って来いって…」


工藤「熊は無理だけど、山菜くらい採って帰ろうぜ」


和「山菜でBBQか…」


工藤「言うな、それを」


和「それにしても大丈夫なのかね?」


工藤「大丈夫、ここら辺は山菜も多いし…」


和「そうじゃなくて、この沖縄旅行自体がだ」


工藤「まぁ、たしかに計画性には欠けてる気がするが…」


和「そうじゃなくて…なんかギクシャクしてないか?」


工藤「…と、いうと?」


和「なんか…恵さんに避けられてる気がする」


工藤「…気のせいじゃないか?」


和「いや、これは避けられてる」


工藤「いつからそう思ったんだ?」


和「ん~…やっぱりオレの正体がばれてからかな…」


工藤「そうか…」







茜「それじゃあわたしたちは火でも付けて待ちましょう」


恵「………」


茜「恵?」


恵「あ、はい…」


茜「あいつらがそんなに心配?」


恵「はい…そりゃあ日も沈んで来てるのに山に入るなんて…」


茜「そっちじゃなくて…ショッカーのことよ」


恵「…はい、心配です」


茜「………」


恵「…ごめんなさい」


茜「いや、心配するのももっともよ。逆に心配しない方がおかしい」


恵「………」


茜「一回ふたりきりで話し合った方がいいかもね」


恵「………」


茜「いやでしょ?ギクシャクしたままじゃ」


恵「…はい」


茜「機会はこっちで作っといてあげるから」


恵「………」


茜「それともうひとつ、工藤のことね」


恵「…ですね」


茜「あいつはあいつでどうも素っ気ないのよね、なんとかなるとは思うけど」


恵「………」


茜「とにかく機会はこっちで作っとくから、しっかり話し合って」


恵「………。水を汲みに行ってきます」


茜「行ってら。…わたしはわたしでなにやってんだかな…」







和「ほら、山菜とって来たぞ」


茜「ありがと…で?」


和「…『で?』ってなんだ?」


茜「だから肉は?」


和「おまえいい加減にしろよ?」


茜「わかったわよ。わたしもただの無茶ブリだったし…」


工藤「ほんと…クマを獲ってくるのがどれほど大変だったか…」


茜「…は?」


工藤「だから獲ってくるのにどれほど大変だったか分かるか?」


茜「…まさかほんとに獲って来たの?」


和「ああ。ほら、これで文句無いだろ?」


ドサッ!!(クマを投げ捨てる音)


茜「ほんとに獲ってきたんだ…バカじゃないの?」


和「おまえが言うな」






茜「…熊肉ってうまいわね」


和「確かにうまいな」


工藤「苦労して獲ってきたかいがあったな」


恵「………」


和「…食べないの?恵さん」


恵「…すみません。食欲がなくて」


茜「そんなこと言わずに食べたほうがいいわよ、ほんとにおいしいし」


恵「………」


和「どうしたの?ウキクサに風邪でも移されたか?」


恵「…そういうわけじゃないです」


茜「…恵、ここは沖縄よ。せっかくの沖縄なのよ?」


恵「………」


茜「なかなか来られるところじゃないわよ」


恵「………」


茜「だったら楽しまなきゃ損じゃない、不安なんて忘れてさ」


恵「……わけない」


工藤「恵?」


恵「忘れられるわけない!!」


和「恵さん?」


恵「どうしてそんなに呑気にご飯なんて食べられるんですか!?どうやったら忘れられるって言うんですか!?」


茜「ちょっと…」


恵「茜といっしょにしないで!!わたしにはそんなこと出来ないんですから!!」


茜「わ、わかったからちょっと落ち着いて…」


恵「茜にわたしの気持ちなんて分からない!!」


茜「………」


恵「誰にも分からないんですよ、工藤にも…和さんにも」


工藤「恵!?」


和「待って!!恵さん」


茜「行っちゃったわね…」


和「急にどうしたんだろ?恵さん…」


茜「恵はずっと不安だったのよ」


和「不安?」


茜「そう。ほんとうに和のことを信じていいか分からないのよ」


和「………」


工藤「それよりまずは恵を探そう。話はそれからだ」


茜「それもそうね」


和「でもどこに行っちゃったんだろ?」


工藤「もしかしたら宿に戻ってるのかもな…オレは宿を見てくる」


茜「OK。見つかったら狼煙を上げて知らせるってことで」


和「そこは携帯でいいだろ」






茜「めぐみーーー!!!!」


和「恵さーーーーん!!!」


茜「…いないわね」


和「もう夜も遅いのに…」


工藤「おう、おまえらか。恵は?」


茜「まだ見つかってないわ」


工藤「…警察に通報しよう」


和「え?」


茜「…それもそうね」


和「警察はまだ早いんじゃ…」


茜「手遅れよりはマシよ。近くに交番ってないかしら?」


工藤「探そう」


和「…恵さん」


いったいどこに…


それに…恵さんがあんなに思い悩んでるとは思わなかった


軽率だったな…


もっとちゃんと話し合うべきだった


そうだよな…友達がショッカーだなんて聞いたらショックだよな


簡単に協力なんて出来ないよな…


ましてや信じることなんて…


くそっ、オレってやつは…


茜「和」


和「…ん?」


茜「今、自分を責めたってどうしようもないわよ」


和「………」


茜「まずは恵を見つけだして、じっくり話し合いなさい。責めるのはそれからでも遅くないわ」


和「…そうだな」


茜の言う通りだ


和「ありがとな」


茜「…どういたしまして」


和「………」


恵さんが居そうな場所…


傷ついた彼女はいまどこにいたいんだろう…


なにを見たいのだろう…


なにを聞きたいのだろう…


それを知ることができたらな


恵さん…


いま、


どこにいますか?


………


………


ザザーン…


………


…いまの音は?


………


ザザーン…


ザザーン…


これは…波の音?


…塩のにおい?


夜の…海?


茜「和、この近くに交番があるらしいわ。行きましょ」


和「…二人で先に行っておいてくれ」


工藤「どこ行くんだよ?」


和「…海だ」


茜「海?」


和「じゃあ頼んだ」


工藤「お、おい、待てよ…」






ここは海に近かったか?


いや、そこそこ距離はあったはず


でも…確かに聞こえたんだ、波の音が


塩のにおいもした


海が見えた


…そんな気がしたんだ


和「はぁはぁ…」


恵「………」


ザザーン…


和「………」


プルプルプル!!


和「…もしもし、茜か?」


茜「あんたいまどこにいるのよ?もう交番に着いちゃったじゃない!!」


和「…恵さんを見つけた。だから警察はいい」


茜「ほんと!?あんたいまどこに…」


プッ…


ツーツーツー


和「………」


恵「………」


和「………」


ザッザッザ…


恵「来ないでください!!」


和「…わかった」


恵「………」


和「………」


恵「…ごめんなさい」


和「…別にいいよ」


恵「ごめんなさい」


和「だからいいって」


恵「ごめんなさい」


和「だからいいって!!」


恵「………」


和「怒ってなんかないから…」


恵「…和さんは…ほんとにショッカーなんですか?」


和「…証拠見せようか?」


恵「はい」


和「着替えるからちょっとの間こっち見ないでね」


恵「はい」


…ザザーン


和「…もういいよ」


恵「………」


和「………」


恵「ほんとなんですね」


和「…やっぱショックだよね」


恵「………」


和「オレだってさ…自分がまもるんジャーで友達がショッカーだなんて知ったら相当ショックだよ」


恵「………」


和「敵を信じるなんてできないよね…」


恵「………」


和「…やっぱりオレのことなんか信じられない?」


恵「…そんなことないです。だって…」


和「…だって?」


恵「和さんは敵なんかじゃありません!!。大切な……仲間です」


和「…そっか、ありがと。…でもじゃあなんで?」


恵「敵じゃないからこそです」


和「………」


恵「わたしは…正義のヒーローぶって…たくさんの人を傷つけました」


和「………」


恵「仲間を…傷つけてきました」


和「………」


恵「偽善者も甚だしいですよ…」


和「………」


恵「最低な人間なんです…」


和「それはオレもいっしょだ」


恵「………」


和「オレだってたくさんの人を傷つけた」


恵「和さんは自覚がある分まだマシです。わたしにはそれが無い分タチが悪いです」


和「でも…知らなかったんだからしょうがないよ。過去を悔やんでも仕方がないよ」


恵「………」


和「だからこそ協力しよう、未来のために」


恵「…わかってます、過去を悔やんだって仕方がないことは」


和「………」


恵「だから協力すべきだってこともわかってます、未来のために」


和「なら…」


恵「でもそれは誰の未来のためでもないんです。私の未来のためなんです」


和「………」


恵「わたしが一番許せないのは…そうすることで救われようとしてる私自身なんです」


和「………」


恵「過去の過ちを帳消しして救われようとしてる私自身なんです」


和「………」


恵「そのためにわたしは和さんを利用しようとしてるんです」


和「………」


恵「汚いですよね、わたしって」


和「汚いかどうかはさておき…利用しようとしてるのはオレもいっしょだよ」


恵「………」


和「オレだって恵さんの力を利用しようとしてるんだ」


恵「わたしたちはしょせん…互いを利用しあう関係なんですね」


和「うん。…でもさ」


恵「でも?」


和「それが支え合うってことだろ?」


恵「…支え合う?」


和「うん。要するにそんなのただの言い方の問題だよ」


恵「………」


和「自分のため、オレはそれが汚いだなんて思わない。むしろそうあるべきなんだ」


恵「そうあるべき?」


和「自分のためが相手のためにもなる…これってすごいことだと思わない?」


恵「確かに…すごいことですね」


和「だから…いっしょに…勝とうよ」


恵「…はい」


和「…よかった。ありがとう」


恵「いえ、こちらこそ…ありがとうございます」


和「セリフがちょっと臭かったかな?」


恵「いえ、そんなことないです。良い言葉だと思います」


和「…まぁ、茜がオレに言ってくれた言葉だからな」


恵「なるほど、通りで和さんにしては良いこと言うなと思ったわけですね」


和「『和さんにしては』とか言うな」


恵「事実なのでしょうがありません」


和「ひど。どれだけオレのこと嫌いなんだよ」


恵「言っときますけど嫌いなんかじゃありませんよ、和さんのこと」


和「あぁ、そうなの?」


恵「はい。ほんとうは…好きですよ」


和「えっ…」


茜「めぐみーーー!!!!」


恵「あ、茜」


茜「急にいなくなって…バカ!!。心配した!!」


恵「ごめん」


工藤「さっさと宿に戻ろうぜ」


恵「工藤もごめんね」


工藤「気にすんな、迷惑かけられるのはいつものことだろ」


恵「ほんとごめん」


茜「みんな見て!!朝日よ!!」


和「ほんとだ、もうこんな時間になってたんだな」


恵「…綺麗ですね」


工藤「だな」


茜「沖縄に来たかいがあったってものね」


和「『かいがあった』なんて言うなよ。まだ終わってないだろ?」


茜「そうね」


恵「せっかくの沖縄ですもんね。楽しまないと」


工藤「だな」


和「…でも眠いからとりあえず宿に戻ろうぜ」


茜「もうちょっと空気読んだら?」


恵「…勝てるかな…」


和「勝てるよ。頼りになる仲間が…みんながいるから」






仮眠後


ウキクサ「………」


茜「36度6分」


ウキクサ「平温キター!!」


茜「でもまだ病み上がりだからゆっくりしなさい」


ウキクサ「そんな!!沖縄の海がオレを待ってるっていうのに!!」


茜「我慢しなさい、明日は外に出てもいいから」


ウキクサ「でも…」


茜「それに…」


彩「…ゴホッ!!ゴホッ!!」


茜「彩ちゃんのこと見守ってあげなさい」


ウキクサ「そういうことなら喜んで!!」


恵「子どもって単純でいいですね」


和「あいつが単純なのは子どもだからじゃなくてバカだからだよ」


恵「なるほど…だから和さんも単純だったんですね?」


和「ごめんね、バカで」





見渡す限りの青い海


遥かまで続く青い空


ここが沖縄…美しい場所だ


まぁ…


メイド喫茶ほどではないがな


グルグル「はっはっは、諸君らは元気にしてたかね?」


和「…おまえは今回は留守番じゃなかったっけ?」


グルグル「来たんだよ、自費で。それと作者の慈悲で」


和「うまくねえよ」


工藤「ってかいまさら来てもすでに乗り遅れてるんだぞ?おまえ」


グルグル「そんなことぐらい承知しとる」


グルグル「まぁまぁ、せっかく沖縄に来て、目の前に海があるんだ」


茜「それもそうね」


工藤「くっちゃべってる場合じゃないな」


恵「飛び込んじゃいます?」


和「いいね、それ」


茜「それじゃあ…GO!!」


ザッパアアアアアン!!!!


和 茜 グルグル 恵 工藤「冷た!!!」


作者「だって今は冬じゃん」


和 茜 グルグル 恵 工藤「そういやそうだった!!」


和「あれ?。ってかそれなら昨日は冬の夜を外で過ごしたってことか?」


茜「そういうことになるわね」


和「…よく風邪引かなかったな」


恵「子どもは風の子ですから」


和「いや、未成年だから子どもっちゃ子どもだけどさ…」


工藤「引かなかったんだからいいだろ?」


和「そうだけど…」


グルグル「きっとメイドの御加護があったんだよ」


和「なるほど、もう帰れば?」


グルグル「いま来たばっかりなのに?」


工藤「そんなことよりこれからどうすんだよ?」


和「それは…どうする?」


茜「どうするって…どうする?」


恵「それならいっそ…どうします?」


グルグル「ここは思い切って…どうしようか?」


工藤「おまえら沖縄に来てそれはないだろ」


和「わかってるよ。ウキクサ編でもあったとおりこの沖縄旅行は節目になって重要な場面だから思い出になるようなことをしないといけないことくらい」


茜「でも違うのよね。あの時とは作者の気分もなにもかも」


恵「まだ昼ですけど、いっそ花火やっちゃいましょうか?」


工藤「それはやめれ」


恵「なら肝試しでも…」


工藤「怖くないでしょ」


グルグル「そうだ、まずはハプニングを起こさないと」


和「よっしゃ、おまえハブに噛まれて来い」


グルグル「普通にやだ」


茜「じゃあ誰がハブに噛まれるかジャンケンで決めましょ」


工藤「誰かが噛まれるの前提!?」


恵「じゃあ愚痴を言い合いましょうよ、作者の」


和「もっと戦闘描写しっかり書け、作者」


グルグル「もっとメイドを増やせ、作者」


工藤「だから沖縄来てなにやってんだ!?オレら」


茜「じゃあもうしょうがない…帰ろう!!」


工藤「おまえふざけんなよ」


茜「冗談冗談。みんなはなにか遊べる物を持って来てないの?」


恵「ゴルフクラブならここにありますよ」


和「マジで!?じゃあそっと仕舞おうか」


恵「他にもカップにたてておく旗ならありますよ」


和「ゴルフやる気満々じゃん」


工藤「ほんとにやることないな」


グルグル「このままでは自費で来たオレが報われん」


茜「しょうがない、宝探しでもしましょ」


工藤「宝探し?」


茜「そう、この砂浜に埋められたお宝を掘り出すの」


グルグル「そんなの埋まってるのかよ?」


茜「埋まってるわ。だってわたしが埋めたから、和の荷物を」


和「おまえ勝手になにしてんの!?」


茜「さぁ、探し出してみなさい!!」


和「…ってかここに掘りられた跡があるじゃん」


茜「…しょうがないじゃない。埋めるのに精一杯だったんだから」


和「あ~あ、無駄に砂まみれになっただけじゃん」


工藤「で、この後どうするよ?」


恵「そうだ、空きビンならありますよ」


和「ほんとに!?ゴミは持って帰りましょうね」


茜「いや、手紙でも書きましょう」


和「手紙?」


茜「そう、手紙を書いてその空きビンに入れて海に流すやつでもやろ」


工藤「べつにかまわないが…」


グルグル「沖縄に来てまでやることじゃないな」


茜「紙とペンはあるわ」


和「…じゃあ書きますか」





『拝啓 海の彼方のあなたへ


初めまして


僕の名前は櫻井和です


高校2年生です


この手紙を拾ったのもなにかの縁だと思います


よかったら連絡してください』


和「こんなもんでいいだろ」


茜「どれどれ…つまんない」


和「…べつにだれも面白みを求めてないだろ」


茜「こんなんじゃあ拾った人も印象に残らないわ。わたしが代わりに書く」


和「お、おい、返せよ」


茜「大丈夫よ、原型はとどめとくから」


和「原型って…」


茜「…できたわ」


『拝啓 海の彼方の直美へ


初めまして、好きです


僕の名前は櫻井和、あなたを思う一人の人間です


高校2年生、もう少しで結婚できる年齢です、あなたと


この手紙を拾ったのもなにかの縁だと思います


よかったら結婚してください』


和「原型もクソもねえだろ!!」


茜「これで拾った人は一生忘れないわ」


和「ってか『拝啓 海の彼方の直美へ』ってどんだけピンポイントなの!?」


茜「なに言ってるのよ?直美は小学校のころ和が好きだった子じゃない?」


和「どんだけ引きずっとんだ!?オレは」


グルグル「できた」


茜「見せて見せて」


『メイド求む!!


女性、男性、赤ちゃん、ひいおじいちゃんまで、誰でもメイド服さえ着ちゃえば大歓迎!!


時給2万円から


さぁ、あなたも一緒にご奉仕されよう!!』


和「だたの悪質広告うううう!!!!!」


グルグル「な、これのどこが悪質だ!?」


和「『メイド求む!!』からじゃボケェ!!」


茜「やるわね…インパクトでは和に負けてないわ」


和「土下座するから敗北させてくれない?」


恵「出来ました!!」


茜「出来たの?じゃあしっかり空きビンのフタを閉めなさいよ」


恵「わかってますよ。なんせ私のは衝撃を加えたら爆発しますからね」


和「それただのテロリズム!!」


グルグル「工藤はどんなの書いたんだよ?」


和「おまえくらいは普通の手紙を書いてくれてるだろ…」


工藤「ん?こんなのだけど?」


『初めまして


もしこの手紙に縁を感じたら連絡ください』


和「おまえ…ここで普通の手紙はないだろ!?」


工藤「おまえはけっきょくオレにどうして欲しかったんだよ?」






宿


ウキクサ「…暇だ」


彩「…ごめんね、わたしのせいで」


ウキクサ「いいんだ。これは自分でここにいると決めたことだから」


彩「…でも」


ウキクサ「僕はここにいたいんだ」


彩「それでも…」


ウキクサ「わかった。ならひとつお願いがあるんだ」


彩「お願い?」


ウキクサ「うん」


彩「なに?」


ウキクサ「聞いてくれる?」


彩「言って」


ウキクサ「わかった」


彩「………」


ウキクサ「お願いっていうのは…」


彩「………」


ウキクサ「トイチの利子をなんとかしてくれないか?」


彩「やだ」






茜「おいしいものを食べよう!!」


和「まぁ、せっかくの沖縄だからな」


恵「なに食べます?」


工藤「チンスコウでも食べるか?」


グルグル「いいね。ええっと…ここら辺でチンスコウが食べられるメイド喫茶はどこかな…」


和「おまえはもう帰って、家のメイドに作ってもらえよ」


グルグル「バカヤロー!!か弱いメイドにチンスコウを作ってもらうなんて何様のつもりだ!?」


工藤「…ご主人様だろ」


茜「ってかメイド喫茶に行ってもけっきょくメイドに作らせることになるわよ?」


グルグル「いいんだよ、オレが作るから、メイドの分まで」


和「誰かあいつを黙らせろ」





宿


ウキクサ「………」


彩「………」


ウキクサ「…暇だね」


彩「そうね」


ウキクサ「………」


彩「………」


ウキクサ「…マジカルバナナ♬バナナといったら黄色」


彩「黄色といったら月」


ウキクサ「月といったら…」






茜「花火をやるわよ」


和「とうとう花火か…」


恵「この沖縄旅行のメインイベントですね」


工藤「あんまりハードルをあげることを言うな」


茜「さぁ、わたしがこっそり飛行機に持ち込んだ花火で遊ぶわよ」


和「こっそりって…」


工藤「まぁ、いいだろ」


和「そうだな。よし、ライター貸してくれ」


茜「わかったわ。グルグル、ライターを貸して」


グルグル「へいよ。工藤、ライター出してくれ」


工藤「了解。恵、ライターを」


恵「はい。和さん、ライターを貸して欲しいそうです」


和「はいはい…って、え?」


恵「だからライターを…」


和「ええっと…まさかとは思うけど、ライター持ってるやつ、挙手」


茜「………」


グルグル「………」


工藤「………」


恵「………」


和「よし、もう一回聞くぞ。ライター持ってるやつ、挙手」


茜「………」


グルグル「………」


工藤「………」


恵「………」


和「…マジかよ、オイ」


グルグル「誰も持ってないのかよ」


恵「どうします?」


和「無い物は…作るしかない!!」


と、いうわけで…


ドキドキ、火おこし大作戦IN沖縄


決行


和「うおりゃああああああ!!!!!」


ガガガガガガガ!!!!!(木を擦る音)


茜「ファイトーー!!」


恵「いっぱあああつ!!!」


和「うおおおおおお!!!!」


グルグル「よし、交代だ」


和「まかせた」


グルグル「ああ。日頃からメイドと一緒に遭難したときのことを想定してサバイバル技術を磨いたオレの実力を見せてやる!!」


工藤「いらんシュミレーションを…」


グルグル「はあああああ!!!!!……ハァハァ、疲れた、交代」


工藤「はや!!」


グルグル「ハァハァ、技術を磨いても体力はつかなかったんだ」


和「メイド無しではしょせんカス」


工藤「次はオレだな」


茜「まもるんジャーの力を見せたれ!!」


工藤「いくぞ…きゃんだあああああ!!!!」


和「…かけ声『きゃんだああ』なの?」


恵「あ、煙があがりました!!」


茜「ほんとだ。ロウソクを用意して!!」


グルグル「誰も持ってねえよ」


和「じゃあしょうがねえ。花火に直接つけちまおう!!」


茜「そうね。…付くかしら?」


………シュボ!!


フシャアアアア!!


茜「付いたわよ!!」


和「よっしゃあ!!」


恵「やりましたね!!」


茜「やばい、火が弱くなってる…」


工藤「急いで次の花火に火をつけろ!!」


グルグル「OK」


シュボ!!


フシャアアアアアア!!


グルグル「火元確保!!」


和「よっしゃ、いまのうちに他の花火を用意しよう」


恵「面倒ですから、まとめて20本くらい火をつけちゃいましょう」


和「いいけど恵さん以外の方にやってもらいたい」


恵「わたしにだってそれくらいはできますよ」


グルグル「いいからさっさと火をつけようぜ」


恵「ですね」


グルグル「じゃあつけるぞ」


恵「はい…」


グルグル「………」


恵「…つきませんね」


グルグル「なんでだ?」


恵「しまった!!。わたしとしたことが、火をつけるとこと手に持つところを間違いました!!」

茜「…ただの典型的ミス」


グルグル「そんなことくらい間違うなよ」


和「いや、火をつけようとしたおまえも気づけよ」


工藤「そんなことより火が消えそうだぞ」


恵「そうですね。早く火をつけましょう」


…シュボ!!


ふしゃああああああああああ!!!!!!!!


和「さすがに20本も一気につけるとスゴイな…」


茜「…そうね」


恵「…熱!!」


ドサッ!!(花火を落とす音)


工藤「バカ、落とすな!!」


グルグル「早く火を消せ!!」


…シュボボボボ!!!!


茜「…ん?」


ブオオオオオオオ!!!!!


和「ぎゃああああ!!!。他の花火に引火したあああああ!!!」


ピュウウウウウ!!!!!


ピュウウウウウウ!!!!!


ブオオオオオオ!!!!!


茜「ぎゃあああああ!!!!!タマヤーーーーー!!!!」


和「さりげなく楽しんじゃねえよ!!」


工藤「火を消せ!!」


恵「もういいじゃないですか…綺麗ですし」


グルグル「開き直った!!」




鎮火後


和「え~…ゴホン。ご報告を申し上げます。さきの第二次恵大戦において我々の元に無事帰還した兵力は…線香花火4本」


恵「…ごめんなさい」


茜「問題はどう分けるかだわね」


工藤「恵が原因だから恵以外の4人でいいんじゃないか?」


茜「バカねぇ…それじゃあつまらないでしょ!!」


グルグル「面白いか面白くないかの基準辞めない?」


茜「ということで…出さなきゃ負けだよ、最初はグー!!」


全員「ジャンケンポン!!」


………


茜「負けたーーーー!!!!」


和「はい、じゃあ茜以外の4人で決定」


工藤「よっしゃ」


グルグル「言い出しっぺ乙」


恵「ごめんなさい、わたしのせいで」


茜「いや、いいの。負けたわたしが悪い」


和「そうだよ、恵さんが謝ることないよ。だって線香花火は元から4本しかなかったから」


工藤「なんでそんな花火持って来たんだか…」


茜「あぁ~、はなびぃ~」


グルグル「残念でした」


工藤「じゃあ、火を付けるか」


恵「ごめんね、茜」


和「………」


茜「はああぁ…」


グルグル「言い出しっぺがそんなに落ち込むな」


茜「だって…もうみんなで花火するのも最後かもしれないし…」


工藤「最後って…大げさな」


茜「だってもうすぐ三年生じゃない?人によっては受験も控えてるんだし…それに…ショッカーのことだってあるじゃない」


グルグル「…それもそうだな」


工藤「でも4本しかないんだし…」


茜「わかってる。わがままは言わないわ」


和「…茜」


茜「なに?」


和「…ん」


スッ(線香花火を差し出す音)


茜「…なに?。くれるの?」


和「違えよ。……2人でやろう」


茜「え?」


グルグル「は?」


和「いいから上の方を持て、オレが下の方を持つから」


工藤「なんだ?それは」


和「いいからさっさと火をつけろ」


工藤「…2人の愛に?」


和「アホか、そんなんじゃねえよ」


恵「………」


グルグル「わかったよ、火をつけてやるよ」


…シュボ


シュボボボボ…


グルグル「やっぱ線香花火っていいな」


工藤「だな」


恵「…そういえば、みんながこうやって集まるのって久しぶりじゃないですか?」


和「そうだっけ?」


茜「そういえばそうね…今年が始まってから初めてじゃない?」


グルグル「そうか?」


和「でも確かに工藤がいなかったり、工藤が避けてきたり、工藤がボッチだったりしたもんな」


工藤「オレのせいかよ」


グルグル「茜が言うとおり…最後の花火なのかもな…」


和「うわっ、悲しい。泣きたくなってくる」


茜「…よし、じゃあ卒業したらもっかいここに来よう」


恵「卒業旅行ですか?」


茜「まぁ、そういうことね」


和「いいね、それ」


工藤「オレも賛成だ」


恵「わたしもです」


グルグル「いいけどメイドのことしゃべるなとか言うなよ」


茜「じゃあ決まりね」


和「三年生か…進路どうしよ…」


茜「和、しっかりつかんでよ。じゃないと落ちちゃうよ」


和「おおっと…」


工藤「そうだぞ。しっかりつかんでないと愛も落っこちるぞ」


和「だから違えって!!」


茜「あ!!和が騒ぐから落ちちゃったじゃない!!」


和「オレのせいかよ!?」


茜「だってそうじゃない」


和「…わかったよ」


工藤「心配するな。おなえらの愛の炎はまだ健在してるから」


和「おまえほんといいかげんにしろよ!?」


恵「羨ましいですよ、お二人さん」


和「だからほんと違うんだって!!」


グルグル「この後どうする?」


茜「そうね…あ、そうだ、実は別にとって置いた打ち上げ花火が一発あるわ」


和「いいね」


グルグル「でもライターないんだろ?」


工藤「だよな」


恵「困りましたね…チャッカマンなら持ってるのに…」


和「早く言おうよ、それ」





グルグル「じゃあ火をつけるぞ」


和「いつでもいいぞ」


グルグル「よっし…点火!!」


…シュボ!!


………


茜「和」


和「ん?」


茜「さっきの花火…ありがとね。嬉しかった」


和「…おう」


パン!!


茜「たっまやああああああああああああああああ!!!!!!」


いつまでも忘れない…


茜「卒業旅行、絶対にみんなで行くからね!!!約束だからね!!!」


この大切な思い出を…約束を…


茜「いろいろ大変だと思う、進路のこととか…ショッカーこととかさ!!」


オレの大切な記憶を


茜「わたしはこれ以上助けになれないかもしれない!!。でもこれだけは言わせて!!」


でも…


茜「絶対に…絶対に…」


ごめんな、茜


茜「…生きて帰って来てね」


約束…守れなかった

ウキクサ「そういえば、沖縄にクマっているの?」


茜「知らん」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ