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悪の手先の風上にも置けぬ  作者: なおほゆよ
第2章 過去話編
40/95

櫻井の入学式


write36


桜が舞う通学路


櫻井「よ、グルグル」


グルグル「おまえ…高校生になってもそのあだ名でオレを呼ぶ気か?」


櫻井「あたりまえだろ。それ以外にどうおまえを言い表せと?」


グルグル「…本名とかあるだろ…。それはそうと…茜はどうした?」


櫻井「なんか運命の出会いを果たすとか言ってた」


グルグル「…なにを考えてるんだ…あの女は…」


櫻井「一番乗りしたいんだってさ」


グルグル「またなんか問題を起こさなきゃいいけど…」


櫻井「絶対なんか引き起こしてくるよ、あいつのことだから」


グルグル「入学式早々にか…」


櫻井「入学式なのにな…」


そう、今日は入学式


オレたちの高校生活が始まる






わたしは思うんだ


運命の出会いというのは


起きるのではなく、自ら起こすものだと


だからこうして口にパンをくわえてるのだ


だからわざわざ遅刻確定の時間で家を出るんだ


今日の占いの恋愛運は絶好調


しかも今日は入学式、華の女子高生生活のスタート


フラグは立てた、すべて


準備完了


さあ、運命の男性に出会おう


茜「遅刻、遅刻~!!」


わざとらしくそんなことを叫んでみる


すべては運命の出会いのため


よくマンガで見かける登校中の運命の出会い


曲がり角で衝突、出会い


なんやかんやで発展、交際スタート


そして感動のクライマックス、プロポーズ


算段はついている、すべて


あとは…運命の出会いを果たすのみ!!


目前に見えるのは交差点


これは来る!!


確信があった


そして…


ドン!!(人にぶつかる音)


茜「キャッ!!」


来たアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!


茜「いたたっ…」


さあ、ここからが肝心だ


ここで相手の印象に残るようなことをしなければ…


選択肢1、謝る


選択肢2、名前が書かれたハンカチを落として学校に


選択肢3、相手を気遣う


いや、こんなのじゃだめだ!!わたしらしくない


ここは、選択肢4の…


ツンデレキャラで行く!!


これしかない!!


茜「ちょ//ちょっと//なにすんのよ//!?」


ぶつかった女子「ご…ごめんなさい…」


じょ…


女子だとおオオオオオオオオオオ!!!!!!?????


ここまでフラグを立てたのに…


同性と運命の出会いだとおオオオオオオオオオオ!!!!!???


茜「あんた…どうして女子なのよおおおおおお!?!?!?!?」


ぶつかった女子「ひっ!!…ご…ごめんなさい!!」


でも…この子…


茜「…かわいい///…」


ぶつかった女子「…はい?」






男子トイレ


櫻井「まだ来ねえな、茜のやつ…」


グルグル「高校1年生の初めだっていうのに…なにやってんだか…」


小柄な男子「なあ」


櫻井「えーと…確か同じクラスの…」


グルグル「工藤、だったよな?」


工藤(小柄な男子)「ああ。ところで…ここで天然っぽい女子を見なかったか?


櫻井「…えっと…まずここは男子トイレだし…」


グルグル「ふつう女子が入って来ることはない」


工藤「ふつうはな。でも彼女ならありえるんだ、余裕で」


櫻井「…余裕で?」


グルグル「まあ、どっちにしろ入学式早々に男子トイレに入って来る女子がいた

ら噂になると思うが…」


工藤「それもそうだな…。しょうがない、次は焼却炉を探してみるか…」


グルグル「…なんで焼却炉?」


櫻井「人だよね?探してるの」


工藤「彼女ならありえるんだ、焼却炉の中に入ってることくらい、余裕で」


櫻井「余裕で?」


工藤「すまない、わざわざ時間をとらせて…じゃあ、行って来る」


グルグル「…なんだ?あいつ…」


櫻井「女の子を見つけるために男子トイレに入って、焼却炉に向かった小柄な男

子だろ」


グルグル「そのままだな、オイ」






入学式


校長「それであって…」


櫻井「…暇だな」


工藤(櫻井の左隣)「…あいつ…まだ来ないのか…」


櫻井「あれ?さっきの女の子を見つけるために男子トイレに入って、焼却炉に向

かった男子じゃん、まだ見つかってないの?」


工藤「…工藤だ。自分の出席番号の一つ前のやつくらいおぼえとけ」


櫻井「名前をおぼえるのは苦手で…。それで例の女の子は」


工藤「まだ見つかってない」


櫻井「同い年なの?」


工藤「ああ。と、いうか出席番号はおまえの次だ」


櫻井「どうりで右隣がいないわけだ…」


工藤「ところで…おまえの名前はなんて言うんだ?」


櫻井「さっき『自分の出席番号の一つ前のやつくらいおぼえとけ』って言ってな

かった?」


工藤「一つ前のやつはな…後ろは別だ」


櫻井「…ただのヘリクツじゃねえ?」


工藤「で、名前は?」


櫻井「ああ、櫻井…」


バン!!(体育館のドアが開く音)


茜「ヘルプミイイイイイイイイ!!!!!!!!!!!!」


櫻井「茜!?」


校長「な、なんだきみは!?」


茜「すみません!!おさがわせして。わたしは意図的に遅刻した新入生です!!


校長「意図的に!?」


櫻井「おい、茜。入学式のときくらい静かにしろ」


茜「お、そこにいたか…ちょっと来て!!あとグルグルも!!」


グルグル「オレもか…」


茜「いいから黙って来て!!」


櫻井「入学式早々…問題が…」


グルグル「あきらめろ、こいつと関わったときからそれぐらいは覚悟しないと」


校長「ちょ…君たち!!」


茜「すみません!!あとで土下座しに行くんで許してください!!」


校長「土下座!?」


櫻井「退学とかになんなきゃいいけど…」


グルグル「なんなら今すぐにでも土下座してから行くか?」







櫻井「で、いままでなにしてたんだ?」


茜「運命の出会いを果たしてた」


グルグル「具体的には?」


茜「百合に目覚めた」


櫻井「…なぜ?」


茜「出会った相手がかわいい女の子でね…おもわずほれてしまった」


グルグル「…よかったな」


工藤「いいのか?なんか軽く流すスタンスで?」


櫻井「こんぐらいな感じで受け流すのが一番いいんだよ。いちいちかまってたら

それだけでこの一話が終わるぞ」


グルグル「あんまし一話とか言うな」


櫻井「それで、その女の子は?」


茜「それが…目を離したすきにどっか行っちゃったのよ」


グルグル「おまえセクハラとかしてないよな?」


茜「するわけないでしょ!!こう見えても恋愛は奥手なの!!」


櫻井「どこら辺がだよ!?」


茜「入学式に遅刻してまで運命の出会いを果たさないと恋愛が成就できる自信が

ないくらい奥手なの!!」


工藤「…奥手故にか…」


茜「そういうこと。で、あんただれ?」


櫻井「女の子を見つけるために男子トイレに入って、焼却炉に向かった男子だ」


工藤「だから工藤だ。いつまで引っ張るんだ?それ」


グルグル「で、なんでいんだ?」


工藤「なんかいやな予感がして…」


櫻井「いやな予感?」


グルグル「で、なんでわざわざオレたちを呼んだんだ?」


茜「だからその女の子を探してほしいのよ、いっしょに」


櫻井「…そのためにわざわざ呼んだの?」


茜「そういうこと」


グルグル「そのためにわざわざ土下座しないといけないのか…」


櫻井「土下座ですめばいいんだけどな…」


工藤「その女の子は高校生か?」


茜「うん。制服見たらいっしょの学校だった」


櫻井「…じゃあ学校行ってんじゃね?」


工藤「その女の子の特徴は?」


茜「ええっと…」


テレビ『速報です。○○デパートでテロ事件が発生しました。犯人は数名を人質

にとり、立てこもってる模様です』


ぶつかった女子(人質)『………』


茜「そうそう、ちょうどあんな感じの子…」


工藤「………」


テレビ『犯人グループは全員覆面を被り、首謀者と思われる仮面をつけた人物が

ひとりいるとのことです』


和「…本人っていう可能性は?」


茜「ぶっちゃけ…本人かも…」


グルグル「マジか…」


テレビ『いま、首謀者と思われる者からメッセージが届きました』


悪将軍テレビ『みなさま、初めまして。わたしは悪将軍、今回の事件の首謀

者、そして…テロ集団ショッカーのリーダーです』


工藤「………」


和「顔色悪いぜ」


グルグル「まさか探してた女の子が人質の中にいたとか?」


工藤「…そのまさかだ」


悪将軍『このように人質をとってこんな宣言をするのもなんですが…』


茜「…なにものなの?こいつ」


グルグル「さあな」


悪将軍『あることを宣言させていただこうと思います』


櫻井「宣言?」


悪将軍『我々、ショッカーは…この日本国に、宣戦布告する!!』






工藤「………」


グルグル「どこに行く気だ?工藤」


工藤「助けに行く」


櫻井「なに言ってんだ!!女の子を見つけるために男子トイレに入って、焼却炉

に向かった男子になにができる!?」


工藤「クドい!!工藤だと言ってるだろ!!」


グルグル「で、行ってどうする気だ?」


工藤「助ける」


櫻井「だから…女の子を見つけるために男子トイレに入って、焼却炉に向かった

男子になにができるんだ?」


工藤「…でも」


茜「ねえ、グルグル」


グルグル「なんだ?」


茜「手伝ってやってよ、助けるの」


グルグル「…無茶言ってんのわかってるよね?」


茜「もちろん」


グルグル「…わかったよ」


櫻井「なあ、オレには頼まないの?」


茜「じゃあ聞くけど、あんたなにができんの?」


櫻井「…特にこれといったものは…」


茜「じゃあ粋がんな」


グルグル「いまヘリを呼んだから」


工藤「…ヘリ?」


茜「毎度毎度悪いね」


グルグル「姫の命令じゃしょうがない」


工藤「ヘリっておまえ…」


バリバリバリバリ(ヘリの音)


グルグル「お、来たな」


工藤「…マジか…」


グルグル「ほら、はやく乗れ」


工藤「おまえ…なにもの?」


グルグル「なにものってほどじゃないな…」


櫻井「ただのスーパーボンボンだ、気にするな」





デパート上空


グルグル「あんましデパートに近づいたらヘリの音で感づかれるかもしんないか

ら、こっから飛び降りるぞ」


工藤「マジか…」


櫻井「大丈夫、ここ引っ張ればパラシュート開くから」


工藤「………」


グルグル「言っておくが、ここで怖じ気づくようなら置いてくぞ」


工藤「大丈夫、行ける」


櫻井「よし、じゃあ行こう」





デパート屋上


櫻井「無事到着したな」


グルグル「大丈夫か?」


工藤「なんとか…」


櫻井「ヘリが置いてある」


グルグル「やつらのヘリかなんかだろ」


茜「で、これからどうするの?」


櫻井「…来てたんだ」


茜「そりゃあ、未来の嫁が助けを待ってるのに他人任せになんてできないでしょ

?」


グルグル「とりあえず、これを見てくれ」


工藤「…デパートの地図か?」


グルグル「ああ。映像から見て人質が捕まってるのがこの部屋。この部屋の真上

には通気口があるからそこに行って犯人側にバレないようにこの紙を人質に渡し

てくれ」


櫻井「オレがか?」


グルグル「そう、後はこの紙に書いてあることを見りゃわかる」


櫻井「あーあー、なるほど、了解。じゃあ行って来る」


茜「頼むよ」


櫻井「まかせろ」


工藤「…大丈夫なのか?あいつ」


グルグル「問題ない、頼れるやつだから」


茜「わたしたちはどうするの?」


グルグル「おまえらは…」





ぶつかった女子「…紙が落ちて来た?」


櫻井「シー、黙って見て」


ぶつかった女子「はい…」


紙『七時半ちょうどに停電がおきますので暗闇に目を慣らしておいて、停電が起

きたら逃げてください。他の人質にもこの紙を回してください』


ぶつかった女子「………」





7時半前


グルグル「準備いいか?」


茜(携帯)『大丈夫』


工藤『こっちも』


グルグル「じゃあ行くぞ…」


ダン!!(停電の音)


ショッカー「停電?」


悪将軍「………」


人質「いまだ、逃げろ」


ぶつかった女子こけた「きゃあ!」


櫻井「マジか、一人逃げ遅れた」


しょうがない、オレが行くか…


バン!!(通気口から出てくる音)


櫻井「大丈夫か?」


ぶつかった女子「はい…」


カチャ(銃をつきつけられる音)


悪将軍「動くな」


櫻井「あれ?…見えてるの?この急な暗闇の中で」


悪将軍「人質がなにやらこそこそやってたからな、子供ダマシだ、こんな作戦な

んて」


櫻井「あれ?読まれてたの?じゃあなんでみすみす人質を逃したの?」


悪将軍「…おまえが知らなくてもいい」


櫻井「そりゃそうだ」


悪将軍「停電のせいで、せっかくのテレビ中継が台無しだ」


櫻井「悪いね」


悪将軍「おい、おまえら、さきに屋上のヘリに乗っとけ」


ショッカー「了解」


悪将軍「さて…じゃあ、正義の味方気取りの君には…死んでもらおうか…」


櫻井「………」


悪将軍「と、言いたいところだが、今回は見逃してやろう」


櫻井「…マジで?」


悪将軍「次はないぞ、小僧」


スウッ(悪将軍が消える音)


櫻井「…消えた」


ドサッ!!(櫻井が倒れる音)


ぶつかった女子「だ、大丈夫ですか?」


櫻井「こ…恐かった…死ぬかと思った…」


茜「おーい!!大丈夫!?」


工藤「大丈夫か!?」


ぶつかった女子「あっ、樹!!」


工藤「よかった…無事だったか…。まったく…なんでおまえは毎度毎度…」


ぶつかった女子「ごめん…」


茜「あっ!!わたしの嫁!!」


ぶつかった女子「はい?」


茜「よかったあああ!!無事だったああ!!」


櫻井「オレの心配は?」


茜「嫁を差し置いて心配するほどの関係か?わたしたちは」


櫻井「幼なじみじゃん…一応」


グルグル「おー、よかったよかった。まさかこんなにもうまく行くとは思わんか

った」


工藤「自分で考えといてこんなうまく行くとは思わなかったのか?」


グルグル「正直ひとりかふたりくらい…って予想してたが…。恐いくらいトント

ン拍子で進んだな」


櫻井「無茶させるなよ」


ぶつかった女子「あの!!」


茜「どうした?我が嫁よ?」


ぶつかった女子「嫁ってなんですか?」


櫻井「あんまり間に受けちゃダメ」


グルグル「こいつの変わったスキンシップの方法って思ってくれれば問題ない」


茜「ところで嫁よ、おぬし名はなんと申す?」


グルグル「名前もしらんやつを嫁扱いしてたのかよ?」


櫻井「それでよく恋には奥手なんていえたな、オイ」


茜「で、名は?」


ぶつかった女子「わたしは…佐藤恵っていいます」


茜「恵か…よき名じゃの。我が輩は篠原茜じゃ」


グルグル「オレは中山卓スグル


櫻井「っていうのが通称で本名がグルグルね」


グルグル「何人なの?グルグルって?」


工藤「一応オレも名乗っとくけど、工藤樹だ」


恵「あなたは?」


櫻井「ん?オレ?」


そう、これは…


恵「はい」


このオレ、櫻井萍の兄


櫻井「オレはね…」


櫻井和の物語である






櫻井の実家


櫻井(萍)「日記なんて書いてたのか…兄貴…」


冬休みを利用して実家に帰ってきた


姉「大掃除すっぞ」


と、いうわけで大掃除することになったんだが…


姉「和の部屋も…そろそろ掃除しといたほうがいいかもな…」


櫻井「そろそろって…どんくらい掃除してないの?」


姉「和がいなくなってからわたしは和の部屋には入ってないから…」


櫻井「と…いうことは…6年くらい…」


姉「開かずの間と化してる…」


櫻井「………」


姉「和の部屋は頼んだ」


櫻井「なんでオレが?」


姉「うるさい!!姉の言うことは素直に聞くもんだ!!」


と、いうわけで


6年、募りに募ったダストと戦闘した結果


この日記を手に入れた


人の日記をのぞくのはどうかと思ったが…


6年も帰って来ない兄貴が悪い、ということで覗き見


それで知ったのがさっきの話


姉「掃除終わった?」


櫻井「いや、まだ」


姉「な~に~?なんか見つけた?R18系?」


櫻井「いや…違うけど…」


姉「見せて、見せて。和の弱みをわたしにも握らせて」


櫻井「…これだけど」


姉「写真?」


櫻井「玄関に飾ってある姉ちゃんたちの10年前の写真と同じやつ」


姉「なんだ…和もまだ持ってたんだ…」


櫻井「ボロボロになってるけどね」


6年間も、日記にはさまってたから


それは言わないでおいた


姉「もとの場所に戻しといて、この写真」


櫻井「わかった」


姉「なんかおもしろい物見つけたら言ってね」


櫻井「りょーかーい」


日記のことは言わないでおいた


なんとなく…そうするべきだと思ったから


姉ちゃんが…知っちゃいけないことが書いてあるかもしれないから…


櫻井「これは家に帰ってゆっくり読むか…」


だって…もしかしたら兄貴は…


櫻井「あれ?この写真の裏になんか書いてある…」


写真『もうこの日には戻れないから…』


櫻井「………」


なにがあったんだよ?…兄貴…


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