悪あがき
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子宮頸ガン
それが鈴に突きつけられた病名
選択肢はふたつあった
神崎「今すぐ手術をすることを勧める」
鈴「子供は?赤ちゃんはどうなるの?」
神崎「…今すぐ手術を受けた場合…あきらめるしかない」
母体の安全を確保するため今すぐ手術を受ける
その場合、子供はあきらめなければいけなかった
そして…もうひとつの選択肢は…
鈴「じゃあわたし……手術受けない」
胎児が大きくなってから帝王切開で取り出し
その後、母体を手術する
神崎「言っておくが…母子ともに危険なんだぞ?」
鈴「それでも産みたいの」
オレはもちろん止めた
鈴「わたしはあんたと違って、ずっとこの子と一緒にいるの!!」
でも…
鈴「わたしはもう…母親なの。自分の子供に、命をかけたいの…」
止められなかった
鈴はそういうやつ
わかってた
でも、鈴…
川上「子供なんかいらない…おまえさえいてくれれば…」
オレは誰よりもおまえを…
川上「愛してるんだ」
鈴「………」
最後のクリスマスは病院だった
鈴「クリスマスパーティーしたい」
鈴にしてはめずらしかった
川上「信じないんじゃないの?クリスマスとか」
鈴「…信じたいの、なんでもいいから」
いつになく弱気な鈴
川上「らしくない」
鈴「ねえ…わたしと結婚したこと…後悔してない?」
川上「するわけない」
鈴「そっか…ありがと」
川上「鈴は…オレと結婚してよかった?」
鈴「…ひみつ」
そして…12月27日
もしかしたらオレは
子供なんてどうでもよかったのかもしれない
鈴の手術の前に産まれた子供
鈴と、オレの子供
それなのに……
オレは鈴のことしか頭になかった
そして緊急手術の赤い蛍光が消えた
そこには…鈴が…
川上「…すず」
鈴「………」
川上「…すず?」
鈴「………」
川上「すずううううううう!!!!!!」
鈴「…うるさい」
川上「…す…すず…」
鈴「…こどもは…元気?」
いつもの笑顔でいたんだ…確かに…
なんか豪華な部屋
部長「…いつまでここに閉じ込める気だ?」
グリーン「閉じ込めるだなんて勘違いしないでくれ、保護してるんだよ、君を」
部長「なにが保護だ…」
グリーン「なんだい?豪華な食事も用意してやってるっていうのに…」
部長「それで、いつまで保護されるんだ?わたしは」
グリーン「さあね。君のお父さん次第だよ」
部長「わたしは…てっきりお父さんがショッカーの黒幕だと思っていたが…おま
えらなのか?黒幕は」
グリーン「…だったらなんだい?」
部長「つぶしてやるよ、完膚なきまで」
グリーン「…それは楽しみだ」
学校
櫻井「………」
下等「どうだ?頭に森ちゃん乗っけてる気分は」
櫻井「…首もげそう」
森(櫻井の帽子の中)「安心してください。櫻井先輩の首が飛んでも勝ってみせ
ますから」
櫻井「不吉なこと言わないで…」
佐藤「…やっぱりわたしと替わろうか?」
櫻井「いや、佐藤さんの手を煩わせるわけには…」
下等「よかった、オレ車いすで」
クラスメート1「めずらしいな、櫻井が帽子をかぶってるなんて…」
クラスメート2「まさか…禿げたのか?頭」
櫻井「ちげえよ」
クラスメート3「そうか…禿げちゃったのか。でも気にするな、オレはおまえが
いずれ禿げるであろう主役だと思ってたから」
下等「どんな主役?」
森「安心してください。禿げたって主役であることにはかわりありませんから」
櫻井「いや、あんたならそこいんならわかるよね?オレがふさふさなこと」
佐藤「…でも頭に人乗っけてたら禿げるよ、たぶん」
櫻井「…帰りに育毛剤買っとく」
授業
顧問「…授業中くらい帽子を取ったら?櫻井君」
クラスメート1「わかってないな、顧問。今のこいつにとってこの帽子は体の一
部なんだぜ」
クラスメート2「金魚で言えばフンだぜ?」
下等「いや、フンは体の一部じゃねえと思う」
クラスメート3「考えてみろ!!金魚からフンを取ったらなにが残る!?」
佐藤「…金魚」
クラスメート4「それでも授業中は帽子を取れと言うなら…われわれも黙って見
過ごすわけにはいかない」
クラスメート5「時と場合とその時の気分しだいでは」
クラスメート6「授業をボイコットする」
顧問「なんで?」
クラスメート7「友の恥をさらすわけにはいかんからな」
下等「ただ単に授業を放棄したいだけだろ、おまえら」
クラスメート8「せっかくの出番を授業なんかで終わらせらないんだよ」
森「…このクラスやかしくないですか?」
櫻井「しょうがないよ。このクラス下等ベースだし」
森「…終わってますね、このクラス」
病院
先生「おう、おまえらか…ちゃんと学校行って来ただろうな?」
櫻井「行ったよ、ちゃんと」
先生「そうか…安心した」
下等「今日は話があって来た」
先生「なんだ?」
佐藤「…先生は…まもるんジャーブルーだったの」
先生「そう…らしいな」
櫻井「と、言うと?」
先生「さっき神崎と名乗る男が尋ねて来てな…そのときに告げられた」
佐藤「レッドが…」
先生「もう一度ブルーをやってくれないかと聞かれてな」
櫻井「なんて答えたの?」
先生「断った」
佐藤「…どうして?」
先生「…教師だからな、オレは」
櫻井「先生…」
先生「まぁ、記憶はないがな。…もうすぐここを退院しておまえらの担任に戻れ
るらしい。そのときはよろしくな」
佐藤「…うん…待ってる」
下等「反省文書かせるなよ」
下等「やっぱ無理そうだな、先生を仲間にするのは」
森「恵さんも無理なんじゃないですか?」
櫻井「佐藤さんはどう思う?」
佐藤「…やっぱり…無理だと思う…最近バイトも忙しくて何日も帰れないくらい
だし…」
櫻井「そっか…それに教師目指して大学も行ってんだもんね…」
佐藤「…でも話だけでもしとく」
下等「森ちゃんを狙ってるやつらも来る気配もないし…どうするか…」
櫻井「そういえば…」
佐藤「…どうしたの?」
櫻井「グリーンってどんなやつ?」
佐藤「…わかんない」
森「そういえば櫻井先輩ってグリーンに助けられたことがあるんですよね?」
佐藤「…櫻井の正体も知ってた」
下等「櫻井は心当たりないのか?」
櫻井「あるわけないだろ」
下等「それもそうか…」
数日後
ショッカーアジト
櫻井「けっきょくなにもできないままこの日が来ちゃったな」
森「頑張ってください、先輩」
下等「あれ?森ちゃん連れて来たんだ」
櫻井「ひとりっきりにはさせらんないからね」
森「でも大丈夫なんですか?わたしを頭に乗せたままでも」
櫻井「問題ない、慣れてきたから」
下等「頭に人間乗せるのが慣れるってすごいな」
158「頭に人を乗せるとは…どういう意味でしょうか?」
櫻井「あ、158さん。…実はですね…」
下等「待て、櫻井」
櫻井「なんだよ?」
下等「ちょっとこっち来い」
櫻井「で、なんのようだ?」
下等「森ちゃんのことはむやみに言うな」
櫻井「いや…でも158さんにならいいだろ?むこうだって森ちゃんに会いたい
だろうし…」
森「そうですよ」
下等「忘れたのかよ。ライトパウアーには裏切り者がいるかもしれないってこと
を」
櫻井「………」
下等「森ちゃんを狙ってるまもるんジャーと悪将軍がグルとわかった、悪将軍だ
って森ちゃんを狙ってる」
森「裏切り者にわたしのことがばれたら…悪将軍にも伝わっちゃいますね…」
下等「それにライトパウアーに入る前に言ったはずだ、あいつらはなにかを隠し
ているって」
櫻井「…でも…」
下等「全部終わってから。…それでいいだろ?」
森「そうですね。まず終わらせるべきですね」
櫻井「わかった。そうしよう」
どこかの町中
レッド「………」
グリーン「自己紹介とかもうやらなくてもいいよね?」
悪将軍「ずいぶんと数が減ったじゃないか、まもるんジャーよ」
レッド「…たとえふたりだけでも…おまえを倒す!!悪将軍」
悪将軍「ふっ、おもしろい、やってみろ、レッドよ!!」
森「あのふたり…いったいどういうつもりなんでしょうか?」
櫻井「あのふたりはグルなんだし…なんのために…」
下等「さあな」
森「グリーンなら…部長の場所知ってますよね?」
櫻井「でもいまは危険だ。三人も敵に回すわけにはいかない」
下等「…チャンスを待とう」
森「ブルーは…佐藤先輩は来てませんね」
どっかの建物の屋上
ブルー「………」
ここからなら…狙えるな
まずは悪将軍…おまえからだ!!
ゼロ「悪いがそうはさせない」
ブルー「えっ…」
ドガッ!!
悪将軍「さてと…こちらには人質がいる。どうする?レッド」
レッド「…人質を離せ」
グリーン「元気がないよ、レッド。もっとハキハキ言ったら?」
レッド「人質を解放しろ!!」
悪将軍「アホが…解放するわけないだろ」
櫻井「やっぱり…芝居だよな、アレ」
下等「だろうな」
森「八百長ですか…。でも、なんのために?」
悪将軍「で、ブルーはどこだ?」
ゼロ「ここにいる」
ドサッ!!(ブルーを投げ捨てる音)
ブルー「…はぁはぁ…」
櫻井「佐藤さん!!」
下等「待て!!櫻井!!」
櫻井「でも!!」
下等「チャンスを待て…」
櫻井「…わかったよ」
ゼロ「あそこの建物の屋上からライフルで狙っていたところをな」
悪将軍「そうか。ご苦労だ、ゼロ」
ゼロ「どうする?」
悪将軍「……211番!!(櫻井)」
櫻井「…なんだよ」
悪将軍「…これをやろう」
櫻井「…拳銃?…これでなにをしろと?」
悪将軍「ブルーを…殺せ」
櫻井「…いま…なんて言った?」
悪将軍「ブルーを殺せ、と言った」
櫻井「………」
ブルー「はぁはぁ…」
下等「…できるわけない…あいつに…」
櫻井「その命令は…絶対なのか?」
悪将軍「もちろんだ」
櫻井「従わない場合は?」
悪将軍「おまえの仲間もろとも…ドカーン、だ」
櫻井「…貴重な適合者は殺したくないんじゃなかったのか?」
悪将軍「命令に服従する適合者なら殺さないさ」
櫻井「そうか…」
佐藤「櫻井…」
櫻井「………」
佐藤「かまわない…撃って…」
下等「………」
佐藤「撃って!!」
櫻井「森ちゃん、佐藤さんを頼んだよ」
森「…わかりました」
ズン!!(森が元の大きさに戻った音)
悪将軍「…森カネテ…」
グリーン「こいつは驚いた…」
櫻井「…頼んだよ」
森「はい。櫻井先輩も…気をつけて…」
櫻井「うん」
悪将軍「…なんのつもりだ?」
下等「オレも付き合うぜ、櫻井」
櫻井「大丈夫か?車いすで」
下等「まあ逃げたって無駄だしな」
悪将軍「ゼロ、やつらを追え」
ゼロ「了解」
櫻井「させねえよ!!」
バン!!
森「しっかりしてください、佐藤先輩」
佐藤「…どうして…わたしを助けたの?」
森「櫻井先輩にはできませんよ、佐藤先輩を殺すなんて」
佐藤「…でも…わたしを殺さなかったら…」
森「…おそらくあのふたりは…死ぬ気です」
佐藤「そんな!!戻ろう!!今すぐ!!」
森「ダメです!!あのふたりは…命をかけて佐藤先輩を救うことを選んだんです
!!だからわたしも、命をかけてあなたを救わなきゃいけないんです!!」
佐藤「でも!!」
森「無駄にしないでください!!みんなを…命を…」
佐藤「…森…ちゃん?」
森「…わたしは…お兄ちゃんからワープマークが書かれているお守りをずっと持
ってます。もちろん、今も」
佐藤「…泣いてるよ」
森「だからお兄ちゃんは…生きていればわたしの元に来てくれるはずなんです。
…でも…いつまで待っても迎えに来てくれません!!」
佐藤「…!」
森「生きましょう、先輩。…大切な人を…無駄にはさせないために。そして…最
後には…」
櫻井「ガハッ!!」
ドサッ!(櫻井が倒れる音)
下等「しっかりしろ!!櫻井」
櫻井「悪い…やっぱ無理…」
悪将軍「そいつらはいい…やつらを追え」
ゼロ「了解」
悪将軍「おまえはもう使えないな。爆発させるか…」
櫻井「…くそ…」
悪将軍「まぁ、あの威力の爆弾だ、苦しまず死ねるさ」
下等「待てよ!」
カチャッ!!(銃を突きつける音)
悪将軍「…車いすのおまえが勝てるとでも?」
下等「やってみなきゃわかんねえぜ」
悪将軍「無駄な抵抗を…」
下等「最後まで生きることをあきらめるな…あんたが教えてくれたことだぜ?」
悪将軍「…なんのことだ?」
下等「なあ、なんで悪将軍なんてやってんだよ?」
悪将軍「………」
下等「答えろよ」
悪将軍「………」
下等「答えろよ!!!」
悪将軍「答える義務はない」
下等「ふざけんな!!」
櫻井「…下等?」
下等「あんたはそんなやつじゃないだろ!?好き好んで命を奪ったりなんかしな
いだろ!?誰よりも命の大切さを知ってるんだろ!?」
悪将軍「………」
下等「こんなところでなにやってんだよ!?」
悪将軍「………」
下等「答えろよ!!……親父…」
櫻井「えっ…」




