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Misson:17 正体不明物体

司が足を踏み入れたそこは、前面ガラス張りの通路だった。ガラスの向こうには巨大な空間が広がっている。

覗き込めば一階分ほど下がった所に何やら巨大な檻。ガラス張りの小部屋が並んでいる。その間を縫うように歩く数人の白衣が見える。


司は端にあるドアから階段を降りていった。








「駿輔!どうだ?あれの様子は。」


司は、モニターの前でバインダーに書き込みをしていた白衣の男に話しかけた。


その声に男は振り返る。司と同じかそれ以上の長身に黒い短髪。白衣は着ているがその中はTシャツと楽な格好だ。


―――宮本駿輔


この基地で研究要員の総締めをしている。

若い割に業界じゃ天才と呼ばれ、一番の出世頭だ。


「あぁ。やっと来たか。遅かったな。」




「遅いって・・・まだ十時前だぜ?」


「十時って朝のか?夜のか?」


「お前・・・最近外に出たか・・・?」


司は呆れたとばかりに呟いた。







宮本は何かに集中すると全く周りが見えなくなる。

暇な時は何をするでもなく、基地を放浪しているが、面白い物を見つけると引き込もってそれに没頭する。

一ヶ月、姿を見ない時もあるほどだ。






司は一つ溜め息を吐いて話を促した。




「まだなんとも・・・。何かの卵だってことしかな。あらゆる検査を試みたが中がどうなっているのかは分からない。」


駿輔は苦渋の表情で続けた。


「X線や他の画像診断を使っても全く・・・周りを覆ってる殻が特殊なものでな。」


「じゃあ何で卵だって分かったんだ?ただの岩って可能性もあるだろ。」


卵の保管されているブースに向かいながら司は訪ねた。


駿輔は何かを考えるようにバインダーで頭をトントン叩いている。






任務でビーストのキャンプを潰した時、厳重に保管されていた物体を持ち帰ったのは一ヶ月ほど前だ。

何なのかは全く不明だったが、守るように張られていたキャンプから何か重要なものだったのだろう。


少し気になった司は物体の分析を駿輔に依頼したのだ。



「生体反応が見られた・・・。」


「は?」



「放射線も超音波も効かないのに、鼓動・体温の測定が出来たんだ。」


「殻は特殊だが中身はただの動物ってことか?」


司は不思議に思いながらも話を促した。


「そういうことになる。そして、鼓動を感知出来るってことは、発生が最終段階まで来てる。」


「そろそろ生まれる・・・か。」


ブースへの扉を潜りながら司は呟いた。

全面をガラスで覆われている部屋の中央に丸い物体が置かれている。

直径60センチメートルほどの球体には、様々なコードが繋がれ、近くのモニターに波形が示されている。



「現段階で確認されているビーストと照合してみたが、どれも当て嵌まらない。念のため他の動物とも照合したがダメだった。」


「新種ってことか・・・。あとどのくらいで孵るんだ?」


「それも分からない。ただ形は既に出来上がっているな。そろそろこの部屋から移そうと思ってる。」


「何が出てくるか分からないしなぁ。」


司は卵をコツコツ叩きながら(・・・なんだかなぁ)と呟いた。


駿輔はモニターを見つめながら司に伝えた。


「とりあえずこのまま分析を続ける。何か分かったらすぐ連絡するさ。」


「頼んだ。それじゃあ、任務の準備が有るから帰るな。」




「あぁ。」



「たまには地上に出てこいよ。」





潰したキャンプ→プロローグ参照

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